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1884年には南アフリカ共和国のウィトウォーターズランドで金鉱が発見され、86年に採掘がはじまると、ゴールドラッシュがおこった。この地域は当時、オランダ系入植者のボーア人が統治していたが、金鉱の発見によってイギリスとの間にボーア戦争がおこり、1902年以降は戦勝国イギリスの統治下にはいった(→ トランスバール諸州:セシル・ローズ)。現在、金産出国の第1位は南アフリカ共和国で、年間600t以上の金を産出する。これは全世界の金産出量の約半分に相当する。 全世界の金産出量のうち約80%は、南アフリカ、アメリカ合衆国、旧ソ連、オーストラリア、カナダ、中国、ブラジルで産出したものだが、そのほか約60カ国で、金の商業生産がおこなわれている。
最初の産金の記録は、「続日本紀」の749年(天平21)2月の項にみられ、現在の宮城県遠田郡にあたる陸奥国国司から、砂金採取の報告があったとしるされている。4月には陸奥から金13kgが貢金として京にとどけられた。東大寺の大仏の金めっきには、150kg前後の金がつかわれたという。奥州藤原氏3代約100年間に、合計約10t(年平均約100kg)の砂金がとれたとつたえられている。 平安時代には、金鉱脈が多く存在する東北地方から、ひきつづき砂金の採取がつづけられた。12世紀に建立された平泉の中尊寺金色堂は、当時の盛んな産金を象徴するものである。また、このころ日宋貿易が盛んになり、日本は金を大量に輸出していた。元(げん)の時期の中国にきたマルコ・ポーロが、「東方見聞録」の中で日本について「黄金の国ジパング」と紹介したのは、金色堂のうわさをきいたためだといわれる。室町時代にはいっても、明や朝鮮への金の輸出はつづいた。
16世紀から17世紀初めにかけて、産金は盛んにおこなわれるようになり、佐渡金山の開発が江戸幕府によってすすめられた。佐渡金山は、江戸期には合計40tの金を産出した。17世紀半ばごろには薩摩藩の山ヶ野金山が佐渡金山とならんで全国屈指の産金量を記録している。しかし、その後産金はふるわなくなった。明治期に政府により新しい技術を導入するなどの努力がなされたが、産金量は17世紀中葉のそれにはおよばなかった。 やがて1940年には鉱山からの産出量は27tに達するが、60年代にはいると10t台に、80年代には3t台に減少した。しかし、85年7月に採掘がはじめられた鹿児島県の菱刈金山は、金の含有量がいちじるしく高く、有望な鉱床として注目されている。90年代半ば、鉱山からの金産出量は8t台になった。
日本の産金量は、奈良時代から安土桃山時代にかけて255t、江戸期に100t、明治初期から1980年代末にかけて1250t、合計1605tと推定される。古代から世界で採掘された金の総量は約10万tと推定され、日本は世界の1.6%の金を産出したことになる。
金は近代以降の世界貿易で、国際通貨の役割をはたした。金を貨幣制度の基礎におき、政府の発行する通貨が一定量の金と交換されることを保証した金本位制は、1816年にイギリスで最初に確立され、19世紀末には多くの先進国で採用された。日本では、97年(明治30)に確立をみた。しかし、第1次世界大戦の勃発(ぼっぱつ)で、各国の金本位制は停止され、戦後、一時は復活したものの、世界大恐慌によってふたたび停止においこまれた。 第2次世界大戦後は国際連合にIMF(国際通貨基金)が発足し、当時最大の金保有国だったアメリカ合衆国の通貨、ドルが国際通貨にさだめられた。IMF体制のもとでは金1トロイオンスの交換比率は35ドルにさだめられていたが、ドルの流通量が世界的に増加し、ドルと交換可能な金の量が大幅に不足したため、1971年、ドルと金との交換は停止された。 現在、金価格は国際市場での需給関係によって決定されるが、国際的な政治・経済の動向によって大きく変動することもある。1970年代以降、金価格は上昇をつづけ、80年には1トロイオンス850ドルを記録したが、その後は下降し、96年にはいって1トロイオンス約380ドル台におちついた。 日本国内では、1973年(昭和48)に金輸入が、78年には輸出が自由化され、金取引が活発になった。82年には東京金取引所が開設されたほか、新銀行法により銀行や証券会社で金の窓口販売がはじめられるようになった。 日本の金価格は、主要地金(じがね)業者により、1g当たりで価格が新聞に公示される。ほかに、金地金ディーリング(ロコ・東京取引)が市場として急成長をとげている。これは、大手地金業者、鉱山、商社を取引メンバーとする現物取引の市場である。 元素記号Au。原子番号79。原子量196.966569。周期表(→ 周期律)の11族に属する。モース硬度2.5。地殻中の存在量は0.004ppm。融点1064°C。沸点2808°C。密度19.32g/cm³。
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