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水素と酸素からできた無機化合物。純粋な無水過酸化水素は無色の油状の液体。皮膚にふれると発泡し、金属臭がある。濃厚溶液は不安定で、純液は100°C以上に加熱するとはげしく爆発する。水によくとけ、水溶液は過酸化水素水とよばれており、ふつう市販のものは3%と30%水溶液である。
現在では、過酸化水素はおもにアントラキノン法によって製造されている。この製造方法では、まず2-エチルアントラキノンなどのアントラキノン誘導体を水不溶性の溶媒中で水素化(水素による還元)してアントラヒドロキノンをえる。つづいて、空気により酸化することで、アントラキノンとともに生成された過酸化水素をイオン交換で抽出して水溶液をえている。しかしながら、この方法でえられた過酸化水素水には不純物がふくまれているため、高純度に精製する操作が必要となる。 かつては、硫酸または硫酸水素アンモニウム(→ 硫酸アンモニウム)の水溶液を電気分解してえられたベルオキソ二硫酸を加水分解することで製造されていた。また、たとえば酸をナトリウムやバリウムの過酸化物などほかの過酸化物に作用させてもえることができる。
過酸化水素は酸化剤と還元剤の機能をあわせもっている。酸化特性は、ほかの漂白剤(→ 漂白)では繊維がいたみやすい毛髪や羽毛、高級繊維などの物質の漂白に利用される。3%水溶液は防腐剤、およびうがい液として医薬でももちいられる。液体ロケット(→ ロケット)の燃料混合物の酸素源や、かつては魚雷の推進剤としてももちいられた。還元剤としては、酸化銀や過マンガン酸カリウムなど還元されやすい化学物質のみと反応する。
常温でも徐々に分解して酸素を発生することから、実験室では酸素を発生させるのにもちいられる。このとき、反応速度をはやめる触媒として二酸化マンガン(酸化マンガン(IV))がつかわれる。その際の反応式は次のようになる。
過酸化水素の3%水溶液を薬局方ではオキシドール(商品名はオキシフル)とよび、傷の消毒に利用されている。傷口にオキシドールを塗布すると、白色の泡が発生するが、これは血液中にふくまれるカタラーゼという酵素を触媒として発生する酸素である。
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