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海水と淡水がまじりあう、入江のようになかば閉じた沿岸水域や、川の下流で潮の干満があるウェットランドである。汽水域には、ふつう海水と淡水の重なり方に応じて3つの区域がある。 第1は河口の外の外海との接続部で、海水のほうがまさっている区域。第2は海水と淡水がよくまじっている河口中央区域。最後は淡水のほうがまさっている感潮河川区域である。 潮の上下運動(潮汐)は、入江でさまざまな汽水域の特徴をつくりだす。川からそそぐ水の量は季節によってことなるため、これらの区域の境界はそのつど移動し、これによって汽水域は生態学的にも全体としてさらに複雑になる。汽水域はたいへん生産性の高い生態系で、世界の海洋生物の半数がこの水域にみられる。
地質学的には今日の汽水域は歴史が浅く、短命な海岸地形である。汽水域が現在のような形をとりはじめたのは、最後の間氷期(極地方の氷冠がとけた暖かい期間)に、海面が約120m上昇したとき以来である。しかし、今日みられるような比較的高い海面や広大な汽水域は、過去100万年の歴史の2割を占める特徴でしかない。 氷河時代に海面がもっと低かったときには、汽水域は現在よりもはるかに小さく、現在では海面下にある陸棚の斜面になっている。もし海面が上昇しなければ、汽水域は堆積物でうまり、今よりはるかに小さくなったであろう。 堆積物は、川によって下流にはこばれる大陸の浸食物と、大陸棚から潮汐によってはこばれる砂からなる。アメリカのサウスカロライナ州のファンディ湾や、ブラジルのアマゾン川河口のような一部の汽水域では、潮位が突然極端に高くなる潮津波がおこることがある。はげしい潮流が河口からせまい川におしあげられると、水位が急速にきわめて高くなることがしばしばある。
世界じゅうで、地表に流出した淡水のほとんどは、汽水域で海洋にであう。淡水は塩分をふくむ海水よりも密度が低く軽いので、潮汐や風によって両者がまじりあわなければ、淡水は表面にとどまり、塩分濃度の勾配(こうばい)をつくりだす。潮汐は海水を、川を逆流して内陸にむけておしあげ、淡水の水面の下にくさび形に海水の層をつくる。
汽水域は一般に4つの主要なグループにわけられる。海岸平野の汽水域は、地質史上最後の大きな海面上昇のときに形成された。温帯地方の氷河がとけて、河川の流域にあふれたときである。アマゾン川流域のような起伏の少ない一部の熱帯地域では、海面の上昇と降水量の増加がいっしょになって、大きな洪水をおこした。海岸平野の汽水域は、ふつう深さが20m以下で、氾濫原をともなう。
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