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項目構成
老年期の人格面についてはどうか。老人もかつては数多くの役割期待をにない、それにそうことによってアイデンティティを確認し、尊厳をもって生きていた時代があった。それが、いまや老いて当時の役割期待をひとつずつはずされ、かつてのアイデンティティを維持できなくなっている。そしてそれが、認知症を必要以上にはやくもたらしている可能性もある。何かうちこむ仕事をもっている人は90歳をすぎても生き生きしている事実にてらせば、老年期のアイデンティティの拡散と、気力の衰えや認知症の進行との関連が解明される必要があるだろう。それとともに、いむべき死ではなく、じゅうぶんに生きてむかえる悠々たる死という死生観を、各自が老年期を生きる中で身につけねばならないのである。
従来の能力発達の枠組みの下では、障害による発達のつまずきとは、平均的な能力発達のラインから逸脱することであり、したがってそれへの援助も、いかに「おくれた」能力をとりもどし、通常の発達ラインにもどるか、つまりいかに発達促進的な援助をあたえるかという発想の上にくみたてられてきた。多くの能力は時間連鎖の中であらわれてくるから、障害のためにある能力が欠落すると、それを必要条件としてあらわれる次の能力があらわれてこないという問題があり、それも発達促進的援助が強調される理由であった。 しかし、そのために発達促進的な訓練ばかりの生活になると、たとえそれが子供の将来のためにという善意からなされたものであっても、子供の人格には負担になることが多くなり、しだいに指示をうけいれるだけの受動的な構えを身につけてしまって、積極的に世界にでて、たのしく前向きに生きるという人間本来の姿が阻害される面があらわれてくる。しかも、家族との対人関係においてさえ、いっしょにたのしむという機会が少なくなり、そのことによって人格発達の面に問題をのこしがちであることが指摘されるようになってきた。 こうして、障害の援助をどのように考えるかがむずかしい問題になってくる。つまり今を否定して能力発達を促進しようという枠組みと、今を肯定してたのしい関係を数多くつくろうという枠組みとの対立である。そしてこの問題にどうとりくむかに、「なにが発達なのか」という親や教師の発達観が大きくかかわってくる。 → 障害児教育
身体的には健康に生まれても、たとえば乳幼児虐待、遺棄、養育放棄、過干渉など、養育者との関係に問題をかかえると、子供の発達そのものが阻害されてくる。つまり、人格面に問題をかかえこむことはもちろん、身体発育が阻害されたり、身体症状があらわれてきたりすることさえある。 この場合、つまずきへの援助は、子供のうっ積した情緒の解放もそのひとつであるが、本質的には、養育者をはじめ子供をとりまく人たちの前向きの姿勢をとりもどすことにもむけられる必要がある。実際、養育者もまたその周囲の人たちとの人間関係にきずつき、それによって子供との関係をむずかしくしていることがほとんどであるから、養育者の心理的な立ち直りがむしろ子供の問題解決にとって必要な場合が少なくない。養育者が精神的健康をとりもどして前向きに生きはじめると、子供は元気になっていくことが多い。
青年期になって自意識にめざめると、自分を対象化してとらえることができ、きびしい自己評価をくだすことができるようになる。その分、自己疎外が生まれる可能性もでてくる。人の言動が気になり、それにふりまわされるばかりでなく、理想が高すぎるためにそれを実現できないことによって自己卑下が生まれ、「自分はだめだ」「どうせだれも自分をみとめてくれない」「自分は生きているに値しない」といった自己否定的な感じが強まり、自己不全感にとりつかれるようになる。 そこに幼少のころの障害や親の離婚など、なんらかのスティグマがからむと、他者がみな自分を変な目でみているというような被害者意識にかられ(それが現実にそうである場合にはなおさらである)、さらに自己疎外(→ 疎外)の度合いが強まることがある。これらはある意味でコフートのいう自己愛がきずつけられることによるものである。これによって自己破壊衝動が強まると、自殺をこころみたり、非行などの反社会的行動につながったりすることがある。 成人期以降においてもこのテーマはあらわれてくる可能性がある。そもそも、人の生涯の発達は平坦な道のりではなく、つまずく可能性はだれもがもっているとみるべきであろう。 フロイトは人生は重い荷をせおって旅する旅人のようなものだといった。そのつらさにたえる強靭(きょうじん)な人格をはぐくむのが人の生涯の課題なのであり、発達心理学はそのような視点をもって、人の生涯をながめようとする。そのとき、発達のつまずきも、常識とはことなる人間的意味をもってたちあらわれてくる。
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