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中性微子ともいう。電気的に中性で、電子よりもはるかに小さな質量しかもたない粒子(→ 原子)。ニュートリノはレプトンの仲間で、素粒子の弱い相互作用(→ 標準モデル)をおこした結果、他のレプトンと対となってあらわれる。その相手のレプトンの違いによりニュートリノは電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類に分類されている。 中性子が陽子に変化するとともに電子を放出することをベータ崩壊という(→ 放射能)。イギリスの物理学者C.D.エリスとW.A.ウースターによる1927年の実験で、ベータ崩壊に関与している中性子、陽子、電子のエネルギーの和が保存しないことが確認された。原子核内ではエネルギー保存の法則が成立しないという可能性も考えられたが、オーストリア生まれの物理学者パウリは31年に、「未知の粒子が電子とともに放出されているとすれば保存則はみたされる」とニュートリノの存在を予測していた。エネルギー保存の法則にくわえて運動量や角運動量の保存則をみたすためには、ニュートリノは質量が0またはひじょうに小さく、電荷がなく、h/2p(hはプランク定数)の半整数倍のスピンをもたなくてはいけない。
ニュートリノは電荷をもたず、弱い相互作用しかしないので、他の粒子との相互作用がきわめて弱い。そのため宇宙から飛来するニュートリノのほとんどが地球を素通りするほど、検出しにくい粒子である。しかし、1956年にアメリカの物理学者F.ライネスとC.L.コーワンによって、原子炉から出た反電子ニュートリノが陽子に衝突して陽電子と中性子が発生するということが観測され、電子ニュートリノの存在が確認された。 ミューニュートリノとよばれる別の高エネルギーニュートリノは、パイ中間子の崩壊のときに、ミュー粒子とともに形成される(→ 素粒子)。パイ中間子(→ 中間子)が崩壊するとき、運動量保存の法則にしたがうためには、ミュー粒子と反対方向に電気的に中性の粒子が放出されていなければならない。最初、この粒子はベータ崩壊で出てくる電子ニュートリノと同じ粒子であると考えられた。しかし1962年にアメリカのブルックヘブン国立研究所でおこなわれた実験で、この粒子が電子とあまり相互作用しないことが測定されたため、電子と相互作用する電子ニュートリノとは別の粒子であることがわかった。 その後、電荷のあるレプトンは電子、ミュー粒子、タウ粒子の3種類なので、ニュートリノもそれに対応して3種類あるだろうという予想がたてられ、タウニュートリノとよばれる3番目のニュートリノおよびその反粒子が存在すると考えられていた。2000年(平成12)7月、名古屋大学の丹羽公雄教授らを中心とする日米の研究チームは、アメリカのフェルミ国立加速器研究所の加速器を利用してつくりだされたニュートリノの中からタウニュートリノの存在をしめす反応を確認したと発表した。
ベータ崩壊の際に電子とともに放出されるのは反ニュートリノであり、逆ベータ崩壊のときに陽電子とともに放出されるのがニュートリノである。ニュートリノはフェルミ粒子であるが、粒子と反粒子の区別がないフェルミ粒子をマヨラナ粒子とよぶ。 もしニュートリノがマヨラナ粒子であったならば、ベータ崩壊のときに中性子が出した反ニュートリノが別の中性子に吸収されて陽子と電子に変化することがありうる。このようにふたつのベータ崩壊がつづけておこることを二重ベータ崩壊とよぶが、このような現象は、たとえおこるとしてもきわめてまれである。 ニュートリノがマヨラナ粒子なのかどうかを確認するため、さまざまな実験がおこなわれているが決定的な結果は出ていない。
ニュートリノの質量は標準モデルにおいてはゼロであるとみなされていた。しかし、大統一理論の中には「質量がある」とする考え方もあった。これは、宇宙論や物理学全般に深い意味をもっている。つまり、宇宙にこのような質量が存在することは、宇宙が膨張をつづけるのではなく、やがては収縮することを暗示しているからである。そのため、ニュートリノは暗黒物質(ダークマター)の有力な候補と考える科学者も多いが、ニュートリノだけではダークマターの量は説明できないと考えられている。 ニュートリノに質量がある場合、小林・益川理論においてクォークの間に混合がみられたのと同様に、ニュートリノの間で混合が生じる可能性がある。混合があるとニュートリノは空間をすすんでいく間に、ある状態から別の状態へと変化するニュートリノ振動という現象がおこる。つまり、このニュートリノ振動の確認は、ニュートリノの静止質量はゼロではないことを意味している。
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