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穀類の発酵液を蒸留した酒で、40%以上のアルコールをふくむ。ウィスキーとはスコットランド高地ゲール語(→ ケルト語派)の「ウシュクベーハuisgebeatha」、アイルランド語の「ウスケボーusquebaugh」から派生した語で、「命の水」の意。スコッチ・ウィスキー(スコットランド)、アイリッシュ・ウィスキー(アイルランド)、アメリカン・ウィスキー(アメリカ)、カナディアン・ウィスキー(カナダ)、ジャパニーズ・ウィスキー(日本)が世界の5大ウィスキーといわれる。ウィスキーのつづりは、スコッチ、カナディアン、日本ではwhiskyとつづられ、アイリッシュとアメリカンはwhiskeyとしている。
ウィスキーは、原料により、オオムギの麦芽(モルト)だけをつかったモルトウィスキーと、トウモロコシなどの穀類を主原料としたグレーンウィスキーの2つに大きくわけられる。製品の多くは、モルトウィスキーとグレーンウィスキーを調合したブレンデッドウィスキーである。 以下に産地別のおもなウィスキーの特徴をあげる。スコッチはモルトウィスキーで知られ、麦芽の乾燥にもちいるピート(泥炭)のスモーキーな香りが特徴である。ブレンデッドウィスキーの銘柄もたいへん多い。アイリッシュは、発芽していないオオムギ、エンバクなど複数の穀類を混合したものを主原料とし、麦芽で糖化する。ピートは使用しない。アメリカンの中でもっとも有名なのが、トウモロコシが原料の51%以上を占めるバーボンウィスキー(ケンタッキー州バーボン郡が発祥の地)である。トウモロコシの使用量が80%以上のものはコーンウィスキーとして区別される。ほかに、主原料によって、ライムギのライウィスキー、ライムギ麦芽のライモルトウィスキーなどがある。カナディアンは、ライムギを主原料にした香味の強い「フレーバリングウィスキー」を、トウモロコシを主体とする「ベースウィスキー」とブレンドする。ライトな味が特徴。日本のウィスキーはスコッチと同じタイプだが、日本人の嗜好(しこう)にあわせて工夫されている。
ウィスキーは、麦芽、または穀物(トウモロコシ、オオムギ、コムギ、ライムギなど)と、水からつくられる。ほとんどのウィスキーは、濃淡の違いこそあれ琥珀色(こはくいろ)をしている。ウィスキーに色がつくのは、木製の樽(たる)に貯蔵された影響である。使用される水の質がウィスキーの品質に重要だとされる。そのため蒸留所の多くが、花崗岩層や石灰岩層から出る湧水(ゆうすい)を利用している。 モルトウィスキーの製造工程では、オオムギを水にひたし、発芽させて麦芽にかえ、これを乾燥させる。スコッチは、乾燥用の燃料にピートをつかうため、ピートをいぶした煙のにおいが特有の香りとしてのこる。乾燥させた麦芽を粉砕して湯をくわえ撹拌(かくはん)すると、麦芽中の酵素の働きでオオムギのデンプンが麦芽糖にかわり、あまい麦芽汁ができる。これを濾過(ろか)して発酵タンクにいれ、酵母をくわえて発酵させる。発酵によって糖がアルコールにかわり、アルコール度数の低いビール状の発酵液ができる。この発酵液からアルコール分や香味成分をとりだすために、単式蒸留機で2度蒸留する。蒸留液は、木製(通常はオーク)の樽に貯蔵されて熟成をまつ。樽は、シェリー酒などの古樽が最適とされ、新しい樽は内側をこがしてつかう。熟成には20年もかかることがあるが、ふつうは8年以下である。この間に、樽の成分がとけだして、当初は無色だったウィスキーは琥珀色にかわり、芳醇(ほうじゅん)な味わいが生まれる。樽ごとに風味がことなるため複数の樽の原酒をあわせ、蒸留水で希釈してアルコール濃度を調整したのち瓶詰する。 グレーンウィスキーの場合は、発芽していないトウモロコシなどの穀類を粉砕し、デンプンが糖化されやすいように蒸す。それに、オオムギ麦芽と湯をくわえて撹拌する。糖化、発酵をへて、連続式蒸留機で蒸留する。
古代オリエント(→ オリエント)でも蒸留の原理は知られていたが、液体の蒸留はビールやワインの醸造よりは新しい技術で、11世紀のヨーロッパに起源をもつと考えられる。12世紀後半のアイルランドには自家製の蒸留機があった。また、同じころ、スコットランドでもウィスキーの原型となるアルコール飲料がつくられていた。しかし、ウィスキーに関する記録としては、1494年、スコットランドで出されている「8杯のモルトをジョン・コー修道士にあたえ、命の水をつくらせよ」という命令がもっとも古い。 ウィスキーはケルト文化(→ ケルト人)から生まれたとされるが、長い間、荒削りな地酒にすぎなかった。18世紀に入って、スコットランドで、木樽での貯蔵と熟成がおこなわれるようになり、モルトウィスキーの酒質が向上した。1831年には生産性の高い連続式蒸留機が発明され、これを機にグレーンウィスキーが量産されるようになった。19世紀半ばには、モルトウィスキーとグレーンウィスキーを調合したブレンデッドウィスキーが製品化され、スコッチの主流となる。アメリカへは、移民がウィスキーをもちこんだが、みずからウィスキー製造をはじめたのは、18世紀初頭になってからだった。東海岸ではライムギとオオムギがウィスキー原料としてこのまれたが、開拓が西にすすむにしたがってトウモロコシが使用されるようになった。 ヨーロッパ大陸では伝統的に、ワイン、ビール、ブランデー、ウォッカがこのまれ、ウィスキーはあまり人気がなかった。しかし、現在ではウィスキー、とくにスコッチをのむことは、ヨーロッパの多くの地域でステータスシンボルとなっている。
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