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イネ科のコムギ属の穀類の総称。温帯地域で有史以前から食料として栽培され、現在では世界で一番多くつくられている重要な穀物(→ 農業:食料需給)。 コムギは、丈の高い一年草または越年草。日本のコムギはふつう越年草である。高さ60~120cm。葉はほかのイネ科植物に似ており、細長い剣状で、基部はさやとなって茎をだく。まず葉がでて、その後に細い茎が根元から5~10本にわかれてでる。そだつにつれて茎は中空になる。茎の先に穀粒の穂がつく。
コムギは、染色体の数によって分類される。染色体数14の二倍種のヒトツブコムギ系、染色体数28の四倍種のフタツブコムギ系、染色体数42の六倍種の普通系コムギの3群にわけられる。コムギの種間交雑は、自然界では比較的よくおこる。多くの国々で、国内向けの優良品種の選抜がおこなわれている。今日、経済的に重要なのは、パンコムギ、クラブコムギ(密穂コムギ)、デュラムコムギ(マカロニコムギ)だけであるが、ほかの種も地域によっては今でも栽培されており、品種改良の基礎となる遺伝子源を提供している。
小麦は栽培されている地域の標高、気候、収量などによって、つくられる種類がことなる。ロシア、アメリカ合衆国、カナダで栽培されているパンコムギは、春コムギと冬コムギがあり、春にまいて夏に収穫するか、秋にまいて春に収穫する。穀粒の色は種類によってことなり、白いコムギはたいてい冬コムギであり、赤いものは春コムギである。パンコムギに近縁なのは、とくにコンパクトな穂をしたクラブコムギと、頴が種子をかたくつつむスペルトコムギである。デュラムコムギ(duramはラテン語の「かたい」という意味)は、穀粒がかたいことによる。マカロニコムギともいい、マカロニやスパゲティの原料にするために地中海沿岸地域で多く栽培されている。アメリカの北部中央地域でも栽培される。 新しい高収量のコムギが1960~70代年にかけて研究、育成され、耐寒性と耐病性の高い品種がつくりだされた。78年には、中東に生育している耐干ばつ性で高タンパク質の古い種が確認され、より改良されたコムギの品種改良が期待されている。 日本では地域ごとの気候、土質、標高などにあった品種改良がおこなわれてきたが、全国の栽培面積の3分の1以上につかわれる安定した品種は「農林61号」である。
コムギの病気には寄生性の菌類がかかわっている。おもな病害はさび病(→ サビ菌)と黒穂病(→ 黒穂菌)である。コムギはまた、コムギタマバエなど何種類もの害虫による被害をうけやすい。 アメリカではふつう、種子は播種(はしゅ)機でまかれる。耕起、砕土、あるいは病害虫防除のための薬品散布をする以外は、栽培管理はあまり必要でない。一般に、アメリカ東部ではトウモロコシ、干し草、牧草と輪作され、比較的乾燥した西部ではエンバクやオオムギと輪作したり休耕したりする。日本のコムギ栽培は秋まきを主体とし、北海道では一部で春まき栽培がおこなわれている。
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