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造礁サンゴの外骨格、石灰藻類、軟体動物の石灰質(炭酸カルシウム)が岩のように蓄積して隆起した地形。前世代のサンゴの骨格の上に次の世代のサンゴがそだち、またその上に次の世代がそだつという過程によって、層をなしながら上方へと、1年に1~10cmの割合で成長する。赤道から南北に緯度にして約30度までの熱帯地方に分布し、表面海水の温度が16°Cをけっして下まわらないところで形成される。
サンゴ礁は、光合成をする植物とそれを消費する動物の両方をふくむ、はっきりした構造をもつ生態系である(→ 生態学)。礁の外側の層は生きているサンゴのポリプからなる。 造礁サンゴの体内には、褐虫藻とよばれる単細胞の藻類がすむ。ポリプの下や周囲には石灰質の骨格がある。骨格は死んでいるものも、生きているものもあり、糸状の緑藻類をふくむ。古い骨格の堆積表面にそだつ藻類には、柔組織をもつ藻類と石灰藻類とがある。これらの藻類やその他の共生植物が一次生産者のほとんどを構成する。 光合成をする褐虫藻と糸状の緑藻類は、食物エネルギーの一部を直接サンゴのポリプにかえる。ポリプはまた、夜間には動物プランクトンを触手でとらえて食べる。動物プランクトンを食べるのは、とぼしい栄養素、とくにリンをとるためである。消化を通じて、これらの栄養素を藻類側に放出する。こうしてサンゴと藻類は、これらの栄養素を両者の間で循環させ、栄養が水中にうしなわれるのをふせいでいる。 藻類を食べるのは、チョウチョウウオのような植食性の魚類、ウニ、ナマコ、クモヒトデなどの棘皮動物、さまざまな種類の軟体動物である。サンゴ礁の無数のすきまや洞穴には、小さなカニ、ウツボ、サメ、ベラなどの捕食者(→ 捕食)がひそんでいる。サンゴ礁の無数の微小生息地や高い生物生産性は、きわめて多様な海生生物をやしなっている。
サンゴ礁には、裾礁、堡礁、環礁の3つのタイプがある。裾礁は島や大陸をふちどり、海岸から沖にむかってひろがるサンゴ礁で、礁と陸の間に水域はない。堡礁はもっと沖合にみられ、サンゴ礁と海岸の間には水路や礁湖(ラグーン)がある。環礁はサンゴ礁の島で、幅のせまい馬蹄型のサンゴ礁が浅い礁湖をかこんだような形をしている。
最近になって造礁サンゴに脱色現象がみられるようになった。色をうしなうというのは、サンゴの中から共生する褐虫藻がうしなわれることにより、サンゴ本来の色があらわれることで、サンゴ本来の白い石灰分の骨格があらわれることから、これを「白化」という。 白化現象は、1979年に最初の確認がされたが、80年代にはいると因果関係については不明な部分もあるがエルニーニョ現象と関連して、頻繁に観測された。また、97年は「国際サンゴ礁年」ということで、世界中でリーフチェックというサンゴ礁の健康診断をする試みがあり、世界中のサンゴ礁に広く白化現象が発生していることが判明した。98年にはサンゴ礁全体に白化現象が発生した琉球諸島をふくむ西太平洋の広い海域で大規模なサンゴの白化現象が観察されている。 こうした広域の白化現象の原因はわかっていない。ただ最近の調査から、異常に高い海水温が持続することが原因であることが明らかになっている。そして、多くの研究者の見解として、地球温暖化の影響が大きいといわれている。それでも、なぜ世界中で時を同じくして白化現象がおこったのかという点については、よくわかってはいない。サンゴ礁にとっての最適な海水温は25~28°Cであるといわれているが、これよりも温度が低すぎても、また高すぎても褐虫藻はサンゴから放出されてしまう。また陸地から大量の淡水や濁水がサンゴ礁にながれこんだ場合にも白化現象は発生する。 1999年にアメリカのジョージア大学の研究グループが、サンゴの白化の原因についての調査報告を発表した。この研究グループは、97年に異常に海水温が上昇したフロリダキーズ諸島で、PAM型葉緑素蛍光計をもちいて褐虫藻の光合成を測定し、褐虫藻の働きにより光がどれほど効率的にエネルギーへと転換されるかということに関する調査をおこなった。さまざまな水深でサンゴに共生する褐虫藻をしらべた結果、海水温が上昇すると、光合成に必要なタンパク質(D1)が損傷をうけることが判明した。このタンパク質は、平年の最高温度をほんの少し上まわる程度の上昇でも相当なダメージをうけるのである。その結果、光合成の働きが弱まった褐虫藻はサンゴにとって必須の糖分がつくれなくなってしまうらしい。現象としてはサンゴから褐虫藻が放逐され、白化がおきるが、高い海水温度により褐虫藻が死滅したとも考えられ、この点についてはさらなる調査が必要だと考えられる。 1998年に発生した石垣島周辺の大規模な白化現象は、干ばつがおきるほどの夏季の天候と、台風がなかったことによって海水の撹乱(かくらん)がおこらなかったことによる海水温の上昇が原因と考える研究者が多かった。だが、高い海水温度にくわえ、前年比で2倍もの降水量があった梅雨期の表土や淡水の流入による相乗効果を指摘する研究者もいる。実際、石垣島では20年以上にわたり土地改良事業や大規模土地改革により、森林や原野がうしなわれ、降雨のつど表土が大量の化学肥料とともにサンゴ礁にながれこみ、生態系へ大きなダメージをあたえている。サンゴ生息の北限にあたる琉球諸島では、降雨量の多い亜熱帯気候という、ひじょうにきびしい環境のなかでサンゴは生息している。 白化したサンゴは回復が困難である。何年もかかることがあるし、白化がつづいておこれば回復は不可能になるかもしれない。サンゴは共生する褐虫藻なしに、サンゴ礁の基礎をなす石灰質の骨格を集積することができない。サンゴ礁を形成する石灰質構造が浸食されれば、サンゴだけでなく、サンゴ礁にすむあらゆる生物がその生息場所をうしなう可能性がある。
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