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癌の80%は、環境要因によってひきおこされると推定されている。なかでも喫煙は、すっている本人も、周りの人も害をうける。肥満は多くの癌の危険因子であり、とくに乳癌、大腸癌、子宮癌、前立腺癌などになりやすい。また、食物繊維の少ない食事や脂肪は、大腸癌の発病率と関係がある。食品中の脂肪と肥満は、アルコールのようにプロモーターとして作用すると考えられている。
日本人の3大死因は、癌、心疾患(→ 心臓の「心臓の病気」)、脳血管疾患であり、1981年(昭和56)以来、癌が死因順位の1位となっている。癌の発現率は国によって大きな差がある。これらは、民族的な違いよりも、ライフスタイルの違いによるものとみられている。 部位別の罹患(りかん)率を欧米諸国と比較すると、日本人では、胃癌の罹患率が高く、乳癌、直腸癌、前立腺癌が比較的少ないといわれてきたが、1993年に男性の肺癌死が、長年トップを占めてきた胃癌死をぬいた。女性では依然として胃癌がトップである。近年の死亡率は、男性の場合、胃癌は減少傾向にあるが、肺癌、肝癌、大腸癌が増加している。女性では胃癌と子宮癌が減少しているが、大腸癌、肺癌、肝癌、乳癌が増加傾向にある。
癌は、早期に診断、治療するほど、治癒する可能性が高い。健康にみえる人でも定期検診をうけていれば、症状がでる前に癌を発見することができる。乳癌、結腸および直腸の癌、子宮頸癌、前立腺癌などについては、かなり精度の高い判別検査法が開発されている。 集団検診では発見しにくい癌の早期発見は、患者自身が病気の徴候にはやく気づくかどうかにかかっている。以下は、7つの典型的な癌の危険信号である。(1)排便や排尿習慣の変化、(2)なおりにくい痛みやただれ、(3)異常な出血、あるいは分泌、(4)乳房、その他の部位の肥厚やしこり、(5)消化不良、あるいは嚥下(えんか)障害、(6)いぼやほくろの明白な変化、(7)なかなかおさまらない咳やしわがれ声。 癌の診断にあたっては、まず、視診や、皮膚、頸部、乳房、腹部、睾丸(こうがん)、リンパ腺などのように確認しやすい部位の触診をふくむ徹底的な既往歴の調査と検査をする。直腸癌や前立腺癌、子宮頸部や子宮体部の癌では内診をする。X線や内視鏡などをつかった検査(→ 内視鏡診断)、細胞診、組織を一部採取して調べる生検(バイオプシー)もおこなわれる。
癌の程度、すなわち病期(ステージ)によって、予後や治療法がことなる。癌の組織検査を実施してその病期を判断する。病期は、それぞれ部位別の癌ごとに、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期に分類される。この分類は、予後がどの程度かという観点から、かぎられた部位の小さな癌、周囲に浸潤はあるがかぎられた部位の癌、リンパ節への転移がみられる癌、遠隔臓器に転移のある癌など、癌の進行度によってきめられる。
癌の治療は、一般に手術、放射線療法、化学療法などがおこなわれる。最近では、生体応答調節物質(BRM)の利用などの免疫療法や温熱療法などの新しい治療もこころみられている。
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