三角法と三角関数三角法と三角関数 さんかくほうとさんかくかんすう Trigonometry and Trigonometric Function
百科事典項目
項目構成
三角形の辺と角との関係や、三角関数の性質とその応用などをあつかう、数学の分野。平面上の図形を三角形をもとにあつかう平面三角法と、球面上の三角形をあつかう球面三角法との2つにわかれる。 三角法が応用されたのは、航法や測量、天文学などであった。直接はかることのできない太陽と地球との距離や、大きな湖の対岸までの距離などをもとめることを、おもな課題とした。歴史的には、天文学上の応用からはじまったので、平面三角法よりも球面三角法のほうが古い。その後、応用範囲はひろがり、現代では物理学や化学・工学のほとんどすべての分野でつかわれている。とくに、音や橋、建物などの振動、さらには交流電流といった周期的な現象の研究に、三角関数はなくてはならない数学的手段となっている。
直接はかれないような距離を、三角測量によって、実測可能な角度や長さからもとめる方法である。たがいに相似な平面図形では、それぞれの図形の各部分の長さの比が同じにたもたれるという性質を利用している。こういう比の大きさは角度だけできまり、角度さえわかれば知ることができる。そこで、一定の比の値を角度の関数として定義し、数表をつくっておけば役だつ。これが、三角関数や三角関数表である。
三角法や三角関数を考えるときは、動径の回転によって定義される角度をつかう(図1A、1B、1C)。動径とは点Oを中心として回転する半直線のことで、はじめはOAの位置にあるとする。これが回転してOBの位置までくることによって、ÐAOBがつくられたと考え、その回転の大きさによって角度をはかるのである。ただし、時計の針と反対向きに回転するときは正の大きさの角度とし、時計の針と同じ向きに回転するときは負の角度とする。2つの角度がひとしいということは、動径が同じ位置にくることにくわえ、回転の大きさが向きもふくめてひとしいことであると定義する。
角度の単位を定義するには、ふつう図2のように角の頂点を中心とする円をえがき、角に対応する円弧の長さを考える。
弧の長さsが円周の長さCのつまりs = Cならば、OAとOBは垂直であり、その角の大きさを直角という。もしs = y Cならば、3点A、O、Bは一直線上にならぶ。s = 1/360 Cのときに、その角の大きさを1度(1°)という。s = Cならば、弧の長さは円の半径にひとしくなる。そのときの角の大きさを、1ラジアンという。これらの定義から、2直角 = 180° = pラジアンである(→ 円周率)。
1度(1°)を60等分したものを1分(1')、1分を60等分したものを1秒(1'')という。さらに細かい角度については、秒に小数部分をつけてあらわす。つまり、時計と同じで、秒までは60進法で、それ以下は10進法になる。ラジアンを単位として角をはかる方法を弧度法といい、1ラジアン未満の角度については、やはり小数をつかってあらわす。ラジアンが単位であることをはっきりさせる目的で何ラジアンと書くこともあるが、数字だけで単位名をつけずにあらわすことも多い。そこで、たとえば、
三角法や三角関数では、角度をあらわすのにギリシャ文字θ(シータ)がよくつかわれる。角θをラジアンの単位(弧度法)であらわしてあれば、弧の長さsは、公式s = r θ(rは円の半径)でもとめられる。また、角θが度を単位としてあらわされていれば、
三角関数は、平面図形の実際の大きさとは無関係に、角の大きさだけできまる特定の比を、角度の関数としてあらわしたものである。三角関数の値は、角度とともに変化してゆくから、回転する動径をもとに三角関数を定義しておくと便利である。
図3のように、回転する動径上の点Pが、原点からの距離rを一定にたもってうごいてゆくものとする。角の頂点を原点とし、図の矢印であらわされた回転の大きさを角θとする。つまり、x軸の正の方向を最初の位置(始線)として、動径が現在の位置までくる回転の大きさが、角θである。そして、点Pの座標を(x, y)とするとき、6種類の三角関数が、次のように定義される。
定義式の右辺の比の値は、動径上の点Pが原点からどれだけはなれているかには無関係で、角の大きさだけできまる。つまり、三角関数の値は角θの関数である。 x座標やy座標は、図3でI~IVと表示された領域(象限という)のどこに点Pがあるかによって、正負の符号がちがってくることに注意しておこう。これに応じて、三角関数の値も符号がかわってくる。 また、点Pがy軸上にあるときはx = 0であり、x軸上にあるときはy = 0である。数学では、0による割り算はみとめられていないから、90°とか270°や -90°のような角については、正接(tan)や正割(sec)の値は定義されない。同様にして、0°とか180°や -180°のような角については、余接(cot)や余割(cosec)の値は定義されない。
しかし、rは0にならないから、すべての角に対して正弦(sin)や余弦(cos)の値はつねに存在する。ピタゴラスの定理により、
角θに2pラジアンまたは360°をくわえても、xやyはかわらないから、三角関数の値もかわらない。たとえば、
また、定義式から、3つの三角関数は、次のように、他の3つの三角関数の逆数になっていることがわかる。
図4のように直角三角形の鋭角の1つをθとすると、上であたえた三角関数の定義を、これにあてはめてつかうことができる。頂点Aを図3の原点にとり、ACをx軸の正方向にとり、Bを点Pとすれば、c = AB = r, a = CB = y, b = AC = x。したがって、たとえばsin θ = y/r = a/cであり、同様にして次の式が成立する。
いくつかの特別な角について、その三角関数の値は容易にもとめられる。たとえば、図4の特別な場合として、AC = CBの直角二等辺三角形になっているとすれば、鋭角は45°であるから、
さまざまな角度をもつ三角形を、定規、コンパス、分度器をつかって書き、xやyやrを測定して比の値を計算すれば、三角関数の値は近似的にもとめることができる。しかし、微分積分学(→ 微積分)からみちびかれる計算式をつかえば、どんな角度に対する三角関数も、かぎりなく正確に計算できることが知られている。現在では、これを利用した三角関数計算用のプログラムが、スプレッドシート型のアプリケーションで用意され、どんなパソコンでもつかえる。関数電卓とよばれるものもあり、以前のように数表や計算尺は不要になった。
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