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ベクトル

ベクトル Vector
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I

プロローグ

速度などのように向きと大きさをもった量のこと。これに対して向きをもたない量のことはスカラーという。ベクトルは有向線分$であらわされ、線分ABの長さが量の大きさ、→の向きが方向を意味する。このとき、点Aをベクトルの「始点」、点Bを「終点」という。また、ベクトルは ともあらわされる。

2つのベクトル は、向きと大きさがそれぞれ同じとき「等しい」といい、 = とあらわされる。 の絶対値は| |とあらわす。大きさが0(ゼロ)のベクトルを「零ベクトル」といい、 であらわす。また大きさが1のベクトルを「単位ベクトル」という。 と同じ大きさで、向きが反対のベクトルを であらわす。Enにおいて原点Oをさだめるとき、ベクトル = を点Pの「位置ベクトル」という。

II

ベクトルの演算

ベクトルに対して、数(実数)はスカラーである。ここでは、ベクトルの和と、ベクトルに数を掛けること(スカラー倍という)を次のように定義する。

ベクトルの和である + において、 =A, =$とあらわすとき、 + =Bとさだめる。

スカラー倍m (mは実数)においては、以下のようにさだめる。



ベクトルの和とスカラー倍については次のことが成立する。

(1) + = + :交換法則
(2) ( + )+ = +( + ):結合法則
(3) + =
(4) に対して がさだまり、 + ( )=
(5) h( + )=h +h
(6) (h+k) =h +k
(7) (hk) =h(k )
(8) 1 =
ただし、h, kは実数である。

このことを、ユークリッド空間Enのベクトル全体の集合Vは実線形空間をつくるという。一般に、上の(1)から(8)の成り立つ集合Vがあたえられたとき、Vを「(実)ベクトル空間」といい、Vの元を「ベクトル」という。

III

ベクトルの成分表示

ベクトル空間Vr個のベクトル , …,

c1 +…+cr =  ならば c1=…cr=0

を満たすとき、 , …, は「(R上)1次独立(線形独立)」であるという。

さらに、Vのベクトルの , …, が1次独立で、Vの任意のベクトル

=c1 +…+cr  (1)

の形にあらわせるとき、{ 1, …, }をVの「基底」という。このとき、表現(1)はただ一通りにさだまることに注意する。(c1 , … , cr)をこの基底に関する の「成分」といい、ci を「第i成分」という。

基底の選び方は何通りもあるのがふつうである。ここでは簡単にするために、Vをユークリッド平面E²として考えてみよう。

OをE²の原点とする。2点E1(1,0),E2(0,1)をとり、2つのベクトル

= , =

を考えれば、{ , }はE²の基底になることがわかる。つまり、ベクトル

=a1 +a2

とただ1通りに書ける。この場合は、

=

とあらわせば、点Pの座標が(a1, a2)である。a1, a2をそれぞれ の「x成分」、「y成分」といい、

=(a1, a2)

と書く。 =(1,0), =(0,1)を「基本ベクトル」という。

には2通りの表現法がある。

=(a1, a2), =(b1, b2)のとき、

IV

ベクトルの内積(スカラー積)

ユークリッド空間Enにおいて、 = , = とする。ÐPOQ=θとするとき、

| | | | cosθ

の「内積(スカラー積)」といい、 とあらわす。これ以外に( , )がつかわれることが多い。

次の結果は重要である。 , のとき は直交する。

内積は次の性質をもつ。

(1) ≧0で、 = のとき、かつそのときに限り、等号が成立する。
(2) =
(3) (m )・ = ・(m )=m( )(mは実数)
(4) ・( + )= +
一般のベクトル空間Vにおいても、任意のベクトルa, bVに対して(a, b)∈Rがさだめられ、上の(1)から(4)を満たすとき、(a, b)を内積といい、内積が定義されているベクトル空間のことを「計量ベクトル空間(内積空間)」という。

一般のベクトル空間Vにおいても、任意のベクトルa, bVに対して(a, b) ∈ Rが定められ、上の(1)から(4)を満たすとき、(a, b)を内積といい、内積が定義されているベクトル空間のことを「計量ベクトル空間(内積空間)」という。

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