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アメリカ先住民の諸言語アメリカ先住民の諸言語 アメリカせんじゅうみんのしょげんご Native American Languages
百科事典項目
項目構成
北米のエスキモー語、ネズ・パース語、中米・南米のユト・アズテク諸語などは、ロシア語やラテン語同様、名詞に格変化がある。 単数や複数とことなる双数形(2つのものをあらわす)をもつ言語に、北米のイヌイット語、アサバスカ諸語、スー諸語、南米のアラウカノ語などがある。 ケチュア語や、北米平原のショショニ語、イロコイ諸語などは、「われわれ」という場合に聞き手をふくむかふくまないかで2つのことなる形をもつ。 北米のメノミニー語、オジブワ語、中米のナワトル語、南米のアウカ語などには、日本語の「1枚」「2本」「3冊」などのように物をかぞえる際にもちいる類別詞がある。→ 品詞の「助数詞」 英語のbabysit「子守をする」のように、行為の対象となる名詞を動詞の中にくみいれる名詞抱合形が北アサバスカ諸語、ツィムシャン語、ナワトル語、マヤ語などにみられる。 動詞において、時制よりもアスペクト(事象の持続、反復、完了などをしめす)の区別が重要なツィムシャン語、アサバスカ諸語、イロコイ諸語などがある。
北米のヤナ語、マスコギ諸語、南米のタカナ語などでは、男性と女性のつかう言葉がはっきり区別されている。また、儀式用の特別な言葉がズニ語、イロコイ諸語、ナワトル語、ケチュア語などにみられる。多言語地域では、単純化した交易混合語ピジン(→ クレオール)が発達した。北米のチヌーク混合語、デラウェア混合語などがそうである。テキサスの近くのメキシコのキカプー語や中米のナワトル語の方言など、いくつかの言語で口笛言語が発達している。これは求愛のためにつかわれ、口笛のメロディがその言語の音調に対応しているものである。
ケチュア語の話し手であるインカ族は、キープ(結び目をつけた縄で、数計算にもちいられるもの)を情報記録の手段にもちいていた。また、布地に図像をおりこんだりして一種の伝達手段としたが、これらは真の文字とはいえなかった。北米では、おもにヨーロッパの文字の影響から、興味深い書記法を発達させた集団もある。チェロキー族、ミクマク族、クリー族、イヌイットなどの音節文字がその例である。 ヨーロッパ人による征服以前の真の文字体系としては、中米のアステカ族、マヤ族などがもちいた神聖文字だけしかない。これは、1つの記号が1単語全体をあらわす記号文字で、ある語をあらわす記号がその語と発音が同じ別の語をもあらわす方法もくわわっていた(英語でいえば、目をあらわす絵がeyeとI(アイ)の両方をあらわすやり方)。 アメリカ先住民諸語の研究から、言語理論、言語変化、両アメリカ大陸の先史、および思考様式や言語と文化の関係などについて多くの洞察がえられている。これら諸語の多くは現在消滅の危機にあり、その研究と記録は緊急の課題である。
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