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温度計

温度計 おんどけい Thermometer
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

温度を測定するための装置。一般的に使用されるのは水銀温度計で、細いガラス管の一端には水銀をみたした球部(水銀だまり)がついており、ガラス管が真空になるように密封されている。温度があがると、水銀が膨張してガラス管を上昇し、とまった位置の目盛りの数値を温度として読みとる。通常の温度の測定には水銀温度計が広くつかわれているが、灯油その他石油系の溶液をもちいた温度計もつかわれる。

密封された温度計が記録にあらわれるのは1611年のことで、この年にパリで刊行された文献にはじめて温度計の図が掲載された。膨張式の目盛りのついた温度計は、ガリレイ、サントーリオ、ドレッペル、フラッドのうちのひとりによって発明されたといわれている。1724年にドイツの物理学者ファーレンハイトが、自分の名前にちなむ華氏(°F)という温度単位を提案した。この温度単位は通常の1気圧において32°Fが氷の融点、212°Fが水の沸点となる。アメリカでは、気温に華氏温度をもちいている。

それ以降、いろいろな温度単位が提案された。1742年にスウェーデンの天文学者セルシウスが、百分温度すなわち摂氏(°C)という単位を考案した。これは氷点を0°C、水の沸点を100°Cとするもので、ほとんど世界じゅうで使用されている。

現在は、セルシウス温度と1848年にイギリスのウィリアム・トムソン(のちのケルビン卿)が確立した熱力学的温度(別名絶対温度またはケルビン温度:記号はK)の2つが温度の国際単位系(SI)となっている(絶対零度)。

II

温度計の種類

いろいろな装置が温度計としてもちいられている。温度をはかる装置としては、水銀柱の高さなどのように、測定が容易で、温度の変化が確実に読みとれることが、まず重要である。また、温度の変化を正確に反映するものでなければならない。

抵抗温度計は、金属や半導体などの電気抵抗が温度によって変化する現象を利用するものである。半導体を利用したサーミスター温度計では、一定の電圧すなわち電位が、温度センサー(センサー)であるサーミスターにかけられている。サーミスターにつかっている素子の性質がわかっているので、具体的な温度の測定は、サーミスターの抵抗値から計測できる。この抵抗は電気計器で測定することができ、換算して温度の値とする。ニッケル、マンガン、コバルトなどの酸化物を利用する各種のサーミスターが、-46°Cから150°Cの温度を感知するのに使用される。

ほかに、金属や合金をもちいた抵抗温度計があり、高温度用につかわれている。たとえば、白金の場合は930°Cまで使用することができる。適切な電気回路を使用すれば、電流値から直接温度が読みとれるようなデジタル表示に変換することができる。

正確さを要する温度測定は、熱電対温度計(熱電気)によっておこなう。ことなる2種類の金属の針金をつないでループ状の回路をつくり、2つの接点をことなる温度にたもつと、接点の間に電流が流れる。熱電対温度計は、この効果を応用したものである。

サーミスター温度計と熱電対温度計は、感温部の容積が小さく、ごくせまい場所やはやい温度変化の測定に適しているため、生物学、工学などで利用するには理想的である。

700°Cをこえる温度の固体物体の温度の測定には光高温計が使用される。ほとんどの温度計では溶解してしまうこのような高温では、固体物質は目が感じる光の周波数範囲でじゅうぶんなエネルギーを放射しているので、その色温度を標準色温度と肉眼で比較して、見かけの温度をもとめる。

ほかに温度測定装置としては、主としてサーモスタットにつかわれるバイメタル温度計がある。これは、熱膨張係数のことなる2種類の金属板を密着させたバイメタルを使用している。

最高温度や最低温度を測定するための温度計もある。たとえば、水銀体温計は最高温度を読みとるもので、水銀槽とガラス管の境目には、留点という細いくびれがある。水銀は温度があがると膨張してガラス管に流入し、最高温度に達する。このあと体からはなしても水銀柱がさがらないのは、留点の作用のためである。水銀柱をさげるには、強くふる。また、サーモカラーといって、ある温度に達すると色が変化する特殊な塗料を利用して最高温度を知る温度計もある。

III

測定の正確さ

温度計は温度計自体の温度をしめすのであって、測定しようとする物体の実際の温度と一致することはない。たとえば、建物の外の気温を測定する場合、ひとつの温度計を日陰におき、別の温度計を日なたにおくと、たとえわずかな距離しかはなれていなくても、気温は同じなのに温度計の数値がちがうことがある。日陰の温度計は建物の冷えた壁の影響で、数値は実際の気温よりやや低くなる。他方、日なたでは、太陽からの放射熱の影響で、しめされる気温は実際の気温より高い。このような誤差をさけて、正確な温度を測定するには、熱い物体や冷たい物体の影響、伝導や対流による熱の移動などから温度計を隔離する必要がある。

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