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項目構成
腎臓はレニンとよばれる一種の酵素を分泌する。レニンは肝臓でつくられるアンジオテンシンを活性型にする。活性型になったアンギオテンシンは血圧をあげるが、そのメカニズムの一部には、これが副腎を刺激してアルドステロンを出すようにはたらきかけることがある。アルドステロンは、腎臓に作用して、ナトリウムの再吸収をうながし、血圧をあげる。腎臓は骨髄を刺激して、赤血球をつくらせるエリスロポエチンも分泌する。消化管も消化機能を調節するいろいろな物質をつくる。胃からはガストリンとよばれる胃酸の分泌をうながすホルモンがでて、腸の上部からはコレシストキニンがでる。コレシストキニンは膵臓を刺激して、消化液やホルモンを分泌させたり、胆嚢(たんのう)を収縮させたりする。1980年代には、心臓が心房性ナトリウム利尿因子を分泌することがわかった。このホルモンは、体の塩分と水分の平衡を調節して血圧をコントロールする。 多くのホルモンが、本来のホルモンとしての働きをしない場所にもあることがわかり、内分泌系の働きの定義はあいまいなものになっている。たとえば、ノルアドレナリンは神経終末にあり、神経インパルスをつたえる働きをしている。レニン-アンギオテンシン系の成分は血管壁や脳内にもあるが、そこでどのような働きをしているのかは、まだよくわかっていない。消化管ホルモンであるガストリン、コレシストキニンも脳内にある。エンドルフィンは腸内にもあり、成長ホルモンはランゲルハンス島の細胞内にもある。膵臓では、成長ホルモンは局所的にはたらいて、内分泌細胞からのインスリンとグルカゴンの分泌をおさえるものと思われる。
ホルモンは、その化学構造から、タンパク質ホルモン、ステロイドホルモン、アミン類の3群にわけられる。タンパク質ホルモンには、脳下垂体前葉ホルモン、副甲状腺ホルモン、胎盤ホルモン、膵臓ホルモンなどがある。ステロイドホルモンには、副腎皮質ホルモンと性腺ホルモンがある。アミン類には副腎髄質ホルモンと甲状腺ホルモンがある。ホルモンは細胞内で合成されると、たいていの場合、血液中に放出されるまで細胞内にたくわえられる。しかし、甲状腺と卵巣には、ホルモンを貯蔵しておく特別の袋がある。 ホルモンが分泌されるかどうかは、血中の他のホルモン濃度や、血中のホルモン調節をうける代謝産物濃度、神経刺激によってきまる。たとえば、甲状腺ホルモンが血液中にある程度あれば、脳下垂体は甲状腺刺激ホルモンをつくるのをやめ、甲状腺ホルモン濃度が低くなったらふたたびつくりはじめる。こうして循環しているホルモンの濃度は、一定のバランスがたもたれる。このメカニズムは、負のフィードバックとよばれ、サーモスタットが部屋の温度を感知して、暖房をつけたり、消したりするシステムに似ている。 副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンや性ホルモンを体外から長期間あたえていると、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンや甲状腺刺激ホルモンや性腺刺激ホルモンが分泌されなくなり、ホルモンが作用する器官(標的器官)である副腎皮質や甲状腺や性腺は萎縮してしまう。これとは逆に、脳下垂体の刺激ホルモンが作用する内分泌腺ホルモンの濃度が、つねに正常より低いと、脳下垂体から刺激ホルモンが休みなくつくられ、甲状腺腫にみられるように標的器官が肥大する。 ホルモンに調節されている物質の血中濃度によっても、ホルモンの分泌は調節される。たとえば、血液中のブドウ糖濃度が高いとインスリンがつくられ、低いとアドレナリンとグルカゴンがつくられる。こうして炭水化物代謝の平衡がたもたれる。同じように、血液中のカルシウム濃度が低いと副甲状腺ホルモンの分泌がうながされ、高いと甲状腺からカルシトニンが放出される。 ストレスに対して副腎が反応するように、内分泌機能は神経系の調節もうける。内分泌器官が神経系にどのようにコントロールされているかは、内分泌器官によってそれぞれことなる。副腎髄質と脳下垂体後葉には、神経系に直接支配されている腺が多い。いっぽう、副腎皮質や甲状腺や性腺は、神経刺激に反応はするが、神経の支配はうけておらず、体のほかの場所に移植してもホルモンを分泌しつづける。脳下垂体前葉にはわずかしか神経がきていないが、移植するとはたらかない。 ホルモンがどのようにして、さまざまな代謝作用や器官の形に影響をおよぼすのかはわかっていない。しかし、細胞レベルでは、細胞膜や酵素にはたらくか、遺伝子発現を調節するか、イオンやその他の小さい分子の放出をコントロールするかして、細胞の機能に作用すると考えられている。ホルモンが、代謝の過程で少なくなったり、ほかのものに変化することはないようにみえるが、少しは化学的変化をおこして破壊されているかもしれない。ホルモンの最終産物はすぐに排泄され、大部分は尿中にでてくるが、大便や汗の中にもあらわれる。→ 代謝
内分泌系は、生殖周期や月経周期や妊娠期間を調節している。下等動物の発情期の周期もホルモンに調節される。 思春期には、脳下垂体の性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の分泌がふえ、精巣や卵巣が成熟し、精巣や卵巣からの性ホルモンの分泌がふえる。性ホルモンは、付属性器や体全体および精神の発達に影響をあたえる。 女性が思春期になると、月経と排卵がはじまる。ヒトでは、排卵は約28日おきにおこる。月経周期の最初は月経期で、平均3~5日つづき、このころ脳下垂体の卵胞刺激ホルモンがはたらいて卵胞が成熟しはじめる。成熟した卵胞が卵子を放出すると、ぬけ殻の卵胞は脳下垂体の黄体形成ホルモンの働きで黄体をつくり、黄体はプロゲステロンとエストロゲンを分泌する。プロゲステロンは子宮内膜にはたらいて妊娠の準備をととのえる。妊娠をしないと黄体はちぢんでしまい、子宮内膜の増殖をたすけるホルモンがなくなるので、子宮内膜はこわれ、月経になる。月経が周期的におきるのは、エストロゲンと脳下垂体の性腺刺激ホルモンが、たがいに抑制したり刺激したりするためである。 妊娠した場合は、胎盤が性腺刺激ホルモンとプロゲステロン、エストロゲンを分泌し、黄体や子宮内膜を維持し、乳腺に乳汁をつくる準備をさせる。エストロゲンとプロゲステロンは妊娠中に大量に分泌され、出産直前には分泌量は最大になる。乳汁分泌は分娩直後にはじまるが、これはおそらく、出産で胎盤がはがれ、ホルモンバランスが変化するためだと考えられる。 卵巣がだんだんはたらかなくなり、エストロゲンの量がへってくると閉経する。この時期には、エストロゲンの抑制がなくなるため、性腺刺激ホルモンの分泌がふえる。このような女性の更年期にあたる時期に、男性では、アンドロゲンの分泌が徐々に少なくなる。
ホルモンをつくる働きの異常は、機能亢進(過度に活発)と機能低下(ふじゅうぶんな活動)にわけられる。機能亢進は、ホルモンを分泌する腫瘍(しゅよう)が原因の場合もある。このような腫瘍は良性のこともあり、まれに悪性のこともある。機能低下は先天的な欠陥、癌(がん)、炎症、変性、脳下垂体の病気(標的の内分泌腺の機能を低下させる)、外傷などが原因だったり、甲状腺疾患ではヨウ素(ヨード)の欠乏が原因となる。内分泌腺を手術でとりのぞいたり、放射線照射によってこわれたりしても機能低下になる。 脳下垂体前葉が活動しすぎて、成長ホルモンが過剰につくられると、巨人症や先端巨大症になり、副腎刺激ホルモンが過剰につくられるとクッシング症候群になる。脳下垂体前葉の働きがじゅうぶんでないと、小児では小人症、性的発達不全、筋力低下をおこし、ひどくやせることがある。副腎皮質の働きが不十分だとアジソン病に、過剰にはたらくとクッシング症候群になり、女性や子供では男性的な特徴があらわれる。性腺の働きに異常があると一次性徴や二次性徴の発現に影響する。甲状腺がじゅうぶんにはたらかないと、乳児ではクレチン症や小人症、大人では粘液水腫(皮膚は乾燥して冷たく、眼瞼(がんけん)浮腫、脱毛などがみられる)になる。甲状腺がはたらきすぎるとバセドー病や中毒性甲状腺腫になる。バソプレシンが欠乏すると尿崩(にょうほう)症といって尿が絶え間なくもれる病気になり、膵臓がインスリンをじゅうぶんにつくれなかったり、体がインスリンにじゅうぶん反応できなかったりすると糖尿病になる。
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