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精製したものは白色の結晶で、なめると舌をさすような刺激がある物質。塩は、地球に海が誕生したときからその主要な成分として存在している。現在1リットルの海水には約30gの塩がふくまれ、海水の約3重量パーセント濃度を占める。地殻の変動等で陸に閉じこめられた海水は塩湖となり、さらに水分が蒸発して結晶となった塩が地下にうもれると岩塩層が形成される。塩は、海水を蒸発させたり、岩塩を精製したりしてつくられる。 塩の成分である塩素とナトリウムは多くの生物にとって必要不可欠な物質で、人類の歴史においても、初期文明の時代から海水や塩湖、岩塩などからの製塩法が発達するとともに、貴重な生命の糧として、それぞれの時代、地域、民族に特徴的な文化を形成してきた。また、現在においては、さまざまな工業製品の製造に欠かせない基礎原料としての新たな役割もにない、先端技術の分野にもその用途を拡大しつつある。 海水からつくられた塩の主成分は、塩化ナトリウムNaClで、微量の塩化マグネシウムMgCl2、硫酸マグネシウムMgSO4、硫酸カルシウムCaSO4、塩化カリウムKClおよび臭化マグネシウムCaSO4をふくんでいる。
人間は塩なしでは生きられないとよくいわれる。塩は血液やリンパ液、組織液などの細胞外体液に約0.9%の濃度でとけている。腎臓の働きで常に一定になるよう調整され、体液の水分量や浸透圧、pHの調整など、身体を健康にたもつために欠かせない働きをする物質だからである。また、神経による刺激の伝達(→ 神経生理学)、筋肉の収縮、小腸から血液への栄養素の吸収のほか、胃液(塩酸)として食物の殺菌と消化にもかかわっている。 そのため、多量の発汗、はげしい嘔吐や下痢などによって体内の塩分が欠乏すると、脱水症状や血圧低下、倦怠感、精神不安定、眠気などがあらわれ、症状が重い場合は、身体の内部環境の平衡がたもてずに死にいたる。緊急時の輸血には代用血液として生理食塩水がもちいられる(→ 輸液)。 また、食塩の過剰摂取も体に影響をあたえる。高血圧や胃癌をひきおこす恐れがあるともいわれ、1日10g以下を目標にするのがよい。
食品加工にもちいられる塩は、たんに調味料としてだけでなく、保存作用を利用する漬物や塩蔵品(→ 塩漬け)、発酵調整作用(→ 発酵)を利用する醤油や味噌、グルテン形成作用によって独特のコシを生むうどんなどの麺類(めんるい)、タンパク溶解作用によって粘りを出す蒲鉾などの練り製品ほか、さまざまな目的で使用されている。→ 食塩
塩は、タイヤなどの合成ゴム製造(→ ゴム)、皮革製品のなめし、染色、道路の融氷雪に使用されるなど、食用以外にも幅広く利用されている。とくに日本の塩使用量の約8割は、塩素、水酸化ナトリウム、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)などの原料としてソーダ工業に使用され、さまざまな工業製品に姿をかえている。塩からつくられた塩素は塩化ビニル、水道水の消毒、漂白剤(→ 漂白)、接着剤などに、水酸化ナトリウムは紙、アルミニウム、石鹸などの製造に、ソーダ灰はガラス製品や鉄鋼などの製造に使用されている。 人と塩との関わりは、生理作用の面では、海の中での原初の生命の誕生(→ 進化)にまでさかのぼる歴史をもち、現在の生活においては、食品から工業製品まで、塩と関わりがないものをさがすほうがむずかしいほどの広さと深さとをもっている。
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