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ナビゲーションnavigationともいう。本来は、長距離の航海から発達した技術で、船、航空機、誘導ミサイルなどがある地点から別の地点に移動するとき、自分の位置を測定し、確実かつ迅速に移動経路をしめす技術(→ 飛行機:航空管制:誘導ミサイル)。最近は、自動車でもカーナビゲーションシステムが利用されている。航法をおこなうためには、航法のくわしい知識だけでなく、経験と判断力もかなり必要である。 航法には、おもに次の4つがある。(1)コースと速度だけから演繹的な計算によって船のおおよその位置を推定する推測航法。(2)地形的な目印や航路標識をそのつど確認し、測深によって船をみちびく地文航法。(3)天体の観測によって地球表面における位置をもとめる天測航法(天文航法ともいう)。(4)無線や電子機器を利用した電波航法。このうち電波航法が、今日ではもっとも重要で先端のシステムである。 船を操縦するとき基本になるのは、位置と方位をもとめ、ある地点から別の地点に移動する間の速度、距離、および時間をもとめることである。位置は、緯度・経度などの一般的な座標によって地球上の点として確認できる。方位は、距離に関係なく定義したある地点に対する別の地点の位置で、ふつう真北方向からの角度でしめされる。速度は、1時間当たりの海里(1ノット=1.853km/時)でしめされ、距離は、方位に無関係な2地点間の空間的な長さである。
航海の計画と最終的な結果は、地図や海図に記入される(→ 地図)。地図には、ほぼ球面になった地球の表面が、緯度と経度の座標と、地表や海面下の地形の特徴を重ねあわせた形であらわされている。海図は、位置、方位および距離の測定値と、航行者に必要な情報をしめしたものである。地球の球面を歪(ひず)みなく平面に表現できないため、航行者の用途にあわせた図法が開発された。それぞれの図法には長所と短所があり、航行者の必要をみたすように考えられている。 地図でもっとも広く利用されているのは、メルカトル図法である。この名は、発明者の数学者・地理学者のG.メルカトルにちなんでつけられた。この地図は、地球の球面を、赤道で地球表面に外接する円筒上に投影し、平面にしたものである。北を上にして円筒を平らにしたとき、子午線すなわち経線は、縦方向の等間隔の線としてあらわされ、緯線は横方向の平行な線としてあらわされる。子午線に対する方位のずれを少なくするように、平行な緯線が、緯度が高くなるにつれて間隔が大きくなるように作図されている。メルカトル図法は、歪みは大きいが、経路、方位、および距離が直線であらわされ、直接測定することができる。 航行者はふつう、2地点間の最短経路をみつけようとする。これは、大圏として知られるコースになる。地球表面の2地点間の大圏は、2地点と中心をふくむ平面が球面と交差するときの弧で、球面上の最短距離である。大圏コースは、心射図から直接もとめることができるが、コースをかえながら航行する船には適用できないため、ふつうは大圏に近いいくつかの弦をつなぐ。これらの弦は、一般にメルカトル式地図に記入される。 世界の航行できる水域の大部分は、主要海洋国家の水路測量当局によって正確に調査され、航行者は、高い信頼性の海図をつかうことができる。 さまざまな国の水路測量当局が、航行者を支援する航海暦や沿岸水路誌を発行している。沿岸水路誌は、沿岸水域、港の設備、航路標識、風、潮汐、潮流、航海危険箇所、制限水域への接近と進入の指示、および海図に表現できない詳細な情報をふくむ本である。
もっとも原始的な航法は、肉眼で沿岸の地形を確認しながら航行する方法だった。やがて船舶が大型化し、沿岸の地形が確認できない沖まで航海するようになると、天測航法が開発される。
中国では、紀元前1000年ごろから、磁石(→ 永久磁石)をもちいて、方位を知る道具があったといわれる。 後漢の時代の天文学者・数学者の張衡(78~139)は、星の配置を模型にした渾天儀(こんてんぎ)、指南車という方角を測定する機械装置、記里鼓車(きりこしゃ)という距離測定器を開発し、天子の外出につかっていたという。同じ時代に、木でつくった魚の中に磁石をいれ、水をはった器にうかべた、方位測定器もあったと記録されている。→ コンパス
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