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地球上の天然飲料水のおおもとは雨だが、海水にかこまれた孤島以外では直接の水源としてはつかわれない。孤島では唯一の水源である雨水をあつめ貯水タンクにためている。雨がふると地表で流れをつくり、あるいは地面にしみこんで多孔質の地層で濾過(ろか)され、水が浸透しない層に到達し、たまって地下水となる。地下水は井戸や、小川や河川、湖への水の供給源である。地下に浸透する間に地下水は可溶性の無機質をとかしこむが、河川や湖の地表水は生活廃水や工場廃水の流入によって汚染される(→ 下水処理:水汚染)。現代の水供給システムでは、ある流域全体を、水の汚染をさけるため管理している。水はダムにたくわえられ、重力のはたらきによってながれおち、ポンプで地域の給水施設におくりこまれる。→ 水
水質は水源によって大きくちがう。地表水は一般的に地下水よりも大量のにごりや細菌をふくんでいるが、地下水は高濃度の水溶性物質を溶解している。海水もまた高濃度の水溶性化学物質と微生物をふくんでいる。水源によって水質が大きくちがうため、法律で飲料水の基準をさだめている。同様の水質基準はすべての地域、および世界保健機関(WHO)でさだめられている。飲料水として供給するためには、処理ずみの水にふくまれる化学物質や細菌の濃度が安全基準にさだめられた範囲内でなければならない。
水の不快な味やにおいは、空気をふきこんで水に溶存する酸素によって有用なバクテリアを活性化するエアレーションという方法でとりのぞく。細菌は1リットルあたり1~2mgの塩素で殺菌し、塩素のにおいを硫酸ナトリウムでけす。硬水の度合が高く、工業用に適さないときは消石灰(→ 石灰)などをくわえたり、沸石でイオン交換して軟水にする。細菌を多くふくむ有機懸濁物や無機懸濁物は、ミョウバンなどの凝集剤をくわえたのち、濾過して除去する。虫歯をふせぐ手段として公共の水道水に人工的にフッ素を添加することもある。→ フッ素
狩猟民や遊牧民は、新鮮な水をたたえた天然の水源の近くに居住したが、人口密度が低く、水の汚染はほとんど問題にならなかった。農村から都市へと変貌(へんぼう)すると、都市をとりまく農村での灌漑とおなじく、都市生活者への水の供給が重要になってきた。灌漑は先史時代からおこなわれた。前2000年以前にバビロニアやエジプトの支配者は、ユーフラテス川やナイル川の氾濫した水をたくわえるダムや運河をつくって、川の氾濫をコントロールし、乾季には灌漑をほどこした(→ 運河:ダム)。灌漑用の運河は生活用の水も供給した。最初に水の衛生に配慮したのは古代ローマ人で、前312~226年の間に大規模な水道システムを建造し、アペニノ山脈から数十kmもきれいな水を都市までひき、さらに水の透明さをたもつため、水道本管にそって溜池(ためいけ)や濾過池をもうけた(→ 水道)。このような広範囲の水供給システムはローマ帝国の崩壊とともに衰退し、そのほかの国では地域の泉や井戸を家庭用や工業用の水源としていた。 16世紀半ばにイギリスで押上ポンプが発明され、水供給システムの発展があった(→ ポンプ)。1562年ロンドンで、世界最初のポンプによる水供給がおこなわれた。このシステムは、テムズ川の水を水面から37mの高さにある貯水槽までポンプでくみあげ、貯水槽から近隣の建物に導管でひいたもので、貯水槽の水は重力にしたがって導管にながれこむ。アメリカ合衆国初の市営ポンプステーションは1760年につくられ、ペンシルベニアのベスレヘムの町に水を供給した。このポンプステーションは13cmの木製ポンプをつかい、カナダツガに穴をあけた管をとおして、水を約21mくみあげた。1800年までにアメリカ合衆国では、16の都市で水供給システムが建設され、そのときまでにほとんどすべての町で水資源は公営のものとなっていた。公営のシステムにくわえて、多くの州では治水や水力発電の副産物として灌漑用水、工業用水、家庭用水が供給されるようになった。 日本では、1590年の神田上水、1654年の玉川上水など、江戸期に水源から傾斜を利用した給水設備が建設された。水処理とポンプによる送水がはじまったのは、1887年(明治20)以後である。
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