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携帯電話

携帯電話 けいたいでんわ Mobile Telephone:Cellular Radio:Cellular Phone
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

無線通信技術をつかった移動体通信システムのひとつ。世界最初の携帯電話は、1946年にアメリカのセントルイスでサービスが開始された自動車電話である。日本では、79年(昭和54)に日本電信電話公社(現、NTT)が東京23区内でサービスを開始したセルラー方式の自動車電話が、その後に小型・軽量化、省電力化され、80年代後半から90年代初めにかけて現在のような携帯電話が誕生した。日本には、携帯型の電話としてはPHS(Personal Handy-phone System:簡易型携帯電話)もあるが、PHSはアナログ方式のコードレス電話をデジタル化したものであり、通常、携帯電話とは区別される。

II

通話の仕組み

携帯電話は、1998年(平成10)よりサービスを開始したイリジウム・グループなどによる通信衛星をつかって電波をやりとりする衛星携帯電話(イリジウム計画)をのぞけば、地上の基地局を中心としたセルラー方式とよばれる仕組みで電話・通信サービスを提供している。携帯電話が使用できる無線周波数の割り当てには限度があるため、これを極力多くの利用者でつかえるようにするために考案されたのがこのセルラー方式である。

この方式は、基地局を中心に特定の周波数帯のセル(Cell:細胞の意味)をもうけ、隣接するセルでは別の周波数帯を使用するようにし、またそのセルからじゅうぶんにはなれた場所でまた同じ周波数帯をつかう。こうして利用者を分離することにより、かぎられた周波数でも多くの人が共用できる環境をつくっている。

また、基地局はその上位層である制御局(移動アクセス交換機)とつながっており、利用者があるセルから別のセルに移動した場合でも、これを追跡し、交換機の接続を切りかえている。そのため、携帯電話は高速で移動しながらでも使用できる。さらに、制御局を経由して携帯電話から一般の固定電話へも通話することができる。

III

広がる携帯電話の世界

当初、日本でサービスが開始されたのは周波数帯域800MHz(メガヘルツ:ヘルツ)までのアナログ携帯電話だった。これを携帯電話の第1世代とよび、これにつづくデジタル方式を第2世代とよんでいる。2001年10月に日本でサービスが開始されたIMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)にもとづく広帯域マルチメディア伝送方式が第3世代となる。さらに携帯電話は、2010年ごろからは最大バンド幅20Mbpsを実現する第4世代に入り、20年ごろにはその数倍のバンド幅を実現する第5世代携帯電話の時代がおとずれると予想されている。

この間、携帯電話の利用形態も大幅にかわってきたし、今後も変化すると予想されている。たとえば、かつてのアナログ携帯電話では音声による通話サービスが一般的だったが、第2世代のデジタル携帯電話ではNTTドコモのiモード(1999年2月サービス開始)に代表されるようにインターネット接続端末としての役割もになうようになった。総務省の発表によれば、2002年末時点での国内のインターネット利用者数は6942万人に達したが、そのうち携帯電話やPHSで利用している人が2794万人と約40.2%を占めている。つまり、日本のインターネット人口の約半数はパソコンではなく携帯電話でアクセスしているということになる。こうしたことにより、着信メロディー配信サイトなど、従来では考えられなかったような携帯電話向けの多様なコンテンツ提供サービス会社が登場してきた。

また、インターネットにアクセスできるため、携帯電話を音声通話端末ではなくメール端末として使用する人がふえてきた。最近のある調査によると、携帯電話でメールのやりとりをする人は若い世代ほど多く、しかもその多くがメールだけに使用しているという。これにともない、電話会社の売り上げでも、その25%以上は音声通話以外からえられるような状況になった。

さらに第2世代では、2000年11月のJ-フォン(日本テレコム)にはじまり、au(KDDI:2002年4月)、NTTドコモ(2002年6月)によってあいついで商品化されたデジタルカメラ付き携帯電話がヒット商品になり、その利用範囲が拡大した。カメラ付き携帯電話では、その画像データの通信料の増収が期待できることから、携帯電話サービス会社も力をいれている。

これにつづく第3世代では簡単な動画の転送やテレビ電話が可能となり、さらに第4世代携帯電話は「無線アクセス網からのデータをインターネット網(IPv6)に効率よく接続する高速無線インターネット環境を実現し、シームレスな移動体通信サービスを提供する」(e-Japan重点計画)と期待されている。

しかし日本においては、新規加入者は2000年度末の時点で完全にアナログからデジタルの携帯電話に切りかわった(第1世代から第2世代へ切りかわった)ものの、つづく第3世代携帯電話は「通信料金や機器端末の料金が高い」、「使用できるエリアが狭い」などの理由で普及が当初予想よりおくれている。

IV

通信規格をめぐる攻防

1

第2世代携帯電話

現在、主流を占めているのが第2世代といわれるデジタル方式の携帯電話である。

国内において、以前のアナログ式の携帯電話にはNTT方式(HiCap方式)とアメリカのモトローラが開発したTACS方式の2種が併存していたが、第2世代携帯電話は、国内ではTDMA(Time Division Multiple Access:時間分割多重接続)のうちのPDC(Personal Digital Cellular)方式で統一されている。基地局を中心とするセルの半径は0.5~20kmと比較的大きいため、高速移動中でも利用が可能となる。しかしながら、33.6kbpsというひとつの周波数帯域を6台の携帯電話で共有すると1台当たりが5.6Kbps(ハーフレート)の帯域幅となり、また3台で共有した場合でも1台当たり11.2Kbps(フルレート)の帯域幅となるため、通話品質(音質)が悪いという欠点がある。また、データ通信につかえる伝送速度は9.6Kbpsと低速である。

PDC方式によるサービスは、1993年3月、NTTドコモが首都圏において800MHzの周波数で開始した。その後、NTTドコモは積極的にPDC規格の基地局を開設。それがiモードとともに他の通信業者との差別化戦略となり、同社の高いシェアをきずくひとつの要因となったといえる。

しかし、日本国内においてはPDC方式が統一規格となっているが、ヨーロッパやアジア地域(韓国はのぞく)、中東、アフリカなどでは同じ無線接続方式TDMAであっても、GSM(Global System for Mobile Communications)方式が主流である。アメリカの場合も、アナログ携帯電話からデジタルに発展したDAMPS(Digital Advanced Mobile Phone System)方式であり、いずれとも方式がことなっている。これらの各方式の間に互換性はない。

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