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同位元素、あるいはアイソトープともいう。原子番号が同じでも、質量数がことなる核種どうしのことを、たがいに同位体であるという。原子番号とは原子核中の陽子の数のことで、質量数は原子核中の陽子と中性子の数の和であるから、同位体どうしは原子核中の中性子の数だけがちがう。同位体どうしは化学的性質がひじょうによく似ている。→ 原子
同位体は2種類ある。たとえば、ふつうの水素(1H)の場合は陽子1個からなる原子核と電子1個でなりたっているが、同位体である重水素(ジュウテリウム)は原子核に陽子と中性子を1個ずつもつため²Hとあらわし、三重水素(トリチウム)は原子核に陽子1個と中性子2個をもち、³Hであらわされる。しかし、重水素が非放射性であるのに対してトリチウムは不安定で、放射線の一種であるベータ線(β線)を放射して、³He(ヘリウム3)へとかわってしまう。これは放射性崩壊(放射性壊変とも)のうち、β-崩壊とよばれるもので、ベータ粒子(実態は電子)の放出により1個の中性子が陽子にかわるが、質量数の変化はない。 このように、不安定で放射能をもち、放射性崩壊するものを放射性同位体、安定で崩壊しないものを安定同位体あるいは非放射性同位体という。ちなみに、放射線を放出する能力を放射能といい、放射性物質の量が半分になるまでの時間を半減期という。
元素の化学的原子量は、同位体の原子量とその存在比からもとめられる。たとえば、塩素(Cl)の原子量35.453は、存在比75.76%の35Cl(質量34.969)と存在比24.24%の37Cl(質量36.966)の混合物として計算される。
1906年にアメリカの物理学者バートナム・ボルトウッドは、当時イオニウムとよばれていた放射性元素がトリウム(Th)の放射性同位体230Th(トリウム230)であることを発見した。12年には、イギリスの物理学者トムソンがネオン(Ne)に、質量数20の20Neと質量数22の²²Neの2つの安定同位体があることを、電磁場を利用した実験でしめした。さらにその後、自然界には21Neという同位体も存在していることがわかった。 同位体に関する研究は、イギリスの物理学者アストンなど、多くの科学者によってひきつがれ、質量分析器などの発展にともない、同位体の検出や研究がさらに促進された。現在では、ベリリウム(Be)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ナトリウム(Na)、フッ素(F)などをのぞく、ほとんどすべての元素が2つ以上の同位体混合物として自然界に存在していることが知られている。 周期表で原子番号83のビスマス(Bi)以降の元素の同位体はすべて放射性同位体である。ただし、原子番号6の炭素(C)の14C(半減期:5.730×10³年)や、原子番号19のカリウム(K)の40K(半減期:1.277×109年)のように原子番号がビスマスより小さな元素でも放射性同位体があるものも存在する。現在、1900種類以上の核種が知られているが、自然界では安定同位体が約280種存在する。 人工の放射性同位体は、1934年にフランスの物理学者ジョリオ・キュリー夫妻によって、はじめてつくられた。人工の放射性同位体は、中性子や電子、陽子、アルファ粒子(a粒子)や重イオンなどを、加速器をもちいて標的となる原子に衝突させてつくられる。
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