燃料電池
燃料電池 ねんりょうでんち Fuel Cell
百科事典項目
項目構成
電解質の溶液に直流電流をながすと、水が電気分解されて、酸素と水素が生成するが、逆に水素と酸素の化学反応から電力をとりだす装置。19世紀から考えられてきたが、1965年にアポロ宇宙船(→ アポロ計画)につかわれて、実用化にむかった。乾電池や蓄電池とちがい、外部から水素と酸素を供給して反応させていれば、連続して電力をとりだすことができる。→ 電池
燃料電池は陽極と陰極とで化学反応をおこなわせるもので、陰極には水素、ヒドラジン、天然ガス、ナフサ、メタノール(→ アルコール)などの燃料が使用され、陽極の酸化剤としては空気、または酸素が使用される。燃料電池の2つの電極は、イオンを伝導する電解質をはさんでむきあっており、陽極と陰極を電気回路でつなぐと、電流がながれるようになる。水酸化アルカリ金属、たとえば水酸化カリウムの水溶液を電解質にもちいたアルカリ型燃料電池の陰極では、
の反応がおき、
の反応が陽極でおこる。陰極で生成した電子は、電気回路をとおって陽極へ移動し、陽極で生成した水酸化物イオンOH-(→ 酸化物)は、電解質の中をとおって陰極に移動する。陰極では、水酸化物イオンと水素との反応で水が生成する。この燃料電池の電圧は約1.2Vだが、回路の電気抵抗が大きくなれば電圧は減少する。
燃料電池は、化学反応に利用される電解質の種類によって分類される。その電解質としては、リン酸、溶融炭酸塩、安定化ジルコニア、高分子電解質膜などがつかわれ、電極としては、白金触媒をつかった多孔質カーボン、多孔質ニッケルなどがつかわれる。ジェミニ宇宙船(→ ジェミニ計画)に使用された固体高分子型やアポロ宇宙船でつかわれたアルカリ型など比較的小型のものからはじまり、より大型のリン酸型(第一世代)、溶融炭酸塩型(第二世代)、固体電解質型(第三世代)と研究、開発がすすめられている。
もっとも歴史が古いイオン交換膜を電解質に利用した固体高分子型燃料電池は、1965年にアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)で1kW型のものが開発され、ジェミニ宇宙船の電源に使用された。当初は軍による利用が中心だったが、小型、軽量のうえ騒音もでないことから、現在では一般住宅での利用も研究されている。アポロ宇宙船では、水酸化カリウムを電解質としたアルカリ型燃料電池が使用されたが、この電池は、電池としての利用のほかに、発生する水蒸気を利用した水の製造装置としても利用された。現在でも原子力潜水艦やスペースシャトルなどで利用されている。この2つは、他の燃料電池とはちがい、発電時の動作温度は100°C以下と低く、長い実績から信頼性も高い。
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