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常温では黄緑色の気体であるハロゲン元素のひとつ。塩素気体(以下、塩素)はプールの消毒剤でなじみのある独特の刺激臭があり、有毒で、濃度が高いと危険である。高濃度の気体は、喉(のど。→ 咽頭:喉頭)や鼻、肺などの粘膜に作用して充血や呼吸困難をひきおこすことから、第1次世界大戦中には毒ガスとしてつかわれた。→ 生物化学兵器
1774年にスウェーデンの化学者カール・W.シェーレが二酸化マンガン(酸化マンガン(IV))MnO2に濃塩酸HClをくわえて加熱することで、塩化マンガン(II)MnCl2と水H2O、気体の塩素Cl2をはじめて分離したが、当時は塩素は化合物であると考えられていた。
元素記号Cl。原子番号17。原子量35.453。融点-100.98°C。沸点-34.05°C。周期表の17族のハロゲン元素。密度は気体が3.214kg/m³(0°Cのとき)、液体が1.56g/cm³(-33.6°C)、固体が2.2g/cm³(-273°C)。地殻中存在量は全元素中20位で、130ppm。
天然には塩素それ自体は存在せず、塩として産出する。塩素は、20°Cの温度で6.8気圧の圧力をくわえると、たやすく凝縮(液化)する。化学的にひじょうに活発で、水や有機化合物、多数の金属と反応する。空気中では燃焼しないが、他の物質の燃焼をたすける。ふつうのパラフィンろうそくCmHmは塩素中では煤(すす)mCを出してもえるが、これは水素化合物であるろうそくから塩素が水素をうばい、塩化水素HClとなるためである。
塩素はふつう、高濃度の食塩水(塩化ナトリウム水溶液)の電気分解により製造される。炭素を陽極、鉄を陰極とすると、陽極に塩素が、陰極に水素が発生する。そして、電解液中のナトリウムイオンNa+と水酸化物イオンOH-の濃度が高まるため、副産物として水酸化ナトリウムNaOHが生じる。実験室では、塩化物を酸化させるか、漂白剤のさらし粉(水酸化カルシウムに塩素を吸着させたもの)に塩酸を作用させてつくる。 塩素の輸送は、加圧・液化して鉄製の黄色のボンベにつめた状態か、またはタンク車でおこなわれる。紙パルプほかの有機材料の漂白、上水道の殺菌にもちいられる。
有機塩素化合物は、炭素あるいは炭化水素に塩素が付加された化合物で、溶媒や農薬として盛んに利用されていた。しかしながら、分解されにくいうえに蓄積性や毒性があり、地下水の汚染や食物連鎖による生物濃縮が問題となった。さらに、有機塩素化合物の一種であるダイオキシンによる生体への影響(→ ダイオキシン汚染)や、塩素によるオゾン層の破壊などの環境破壊が問題となっている。
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