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ビーバー

ビーバー Beaver
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

ダムをきずくことで有名な半水生の哺乳類。その1種は北アメリカに、もう1種はユーラシアに生息する。2種のめだった違いは鼻骨の形で、ほかはよく似ている。このことから、2つは亜種にすぎないとする説もある。大型のげっ歯類で、おとなの平均体重は16kgだが、体重40kgに達する標本もある。絶滅したビーバー類の中には、クマとほぼ同じ大きさのものもあった。

II

特徴

体長は75cm、肩高は30cmほどである。尾の長さはおよそ25cmで、扁平で幅がひろく、鱗(うろこ)状になっている。水面にうちつけて警告の信号をだしたり、後肢だけでたつときの支えとしたり、およぐときの舵としてつかわれる。体はまるっこく、背は弓なりで、首は太い。後足には水かきがあり、爪(つめ)はすべてかぎづめである。毛色は、ふつう背部が赤みがかった茶色で、腹部は明るい同色か灰色。目は小さく、鼻孔はとじることができる。頭骨は大きくがっしりとしていて、顎骨(がくこつ)をうごかす筋肉が付着する隆起がめだつ。

上下の顎(あご)のそれぞれ2本の門歯は、ほかのげっ歯類と同様、背面がよりはやくすりへり、前面のエナメル質はのこるため、するどいのみ状の歯となる。この歯で大木をかじってたおすことができる。ふつうは直径5~20cmの木をえらぶが、直径80cm近い木をたおすこともある。特有な1対の肛門腺があり、ビーバー香あるいは海狸(かいり)香とよばれ、じゃ香のようなにおいをもつ物質を分泌する。なわばりのマーキングにつかわれているらしい。一夫一妻制をとる場合が多く、寿命は20年以上と思われる。メスはふつう年に1回、2~4頭の子をうむ。

III

ビーバーは社会性をもつ動物である。食物が豊富で、ほかと隔絶した場所では、集団内の家族数はかなり大きくなる。ロッジともよばれる巣は、独特のつくりをしている。3つのことなった型があり、巣をつくる場所が島か、池沼の岸か、湖の砂浜かによってきまってくる。島につくる場合、中央の巣室1室からなり、床面は水位よりやや高い位置にあって、出入り口を2つもつ。

そのひとつ「木材搬入口」は、巣室の床面から水中にまっすぐつながる斜めの穴である。もうひとつが「ビーバーの入り口」で、もっと急角度で水中におちこんでいる。巣そのものは、小枝や草、コケをいっしょにあみこみ、泥でぬりかためた、すり鉢をふせたような形の建造物である。毎年手入れや補修がなされ、だんだんと大きくなっていく。中の巣室は幅2.5m、高さ1mにもおよぶ。床面は樹皮や草、木ぎれがしきつめられ、ときには、貯蔵用のつづき部屋がいくつかあったりする。池沼の巣は、岸からわずかにさがった位置か、一部が水辺の上にはりだすようにつくられ、この場合、巣の前側の壁面は池沼の水底からたてられる。湖の巣は、なだらかな砂浜につくられる。

IV

ダム

ビーバーは、巣のまわりの水域をひろげ、水深をますためにダムをきずく。ダムは、枝や丸太でつくるが、さらに泥とそだ木、石をつかってもっと堅固につくる場合もある。ダムはしだいに補修され、大きくなっていく。せきとめられた浮遊物がたまると、その上に植物が根をはって、さらにダムを強化する。このダムの下流側に、小さなダムをつくることもよくある。小さなダムにたまった水が、上流側からの水圧を軽減するからである。ダムは高さが1.5mほどで、幅は基底部でふつう3m以上あり、上にいくにしたがってせまくなる。長さ300m以上もあるダムが、コロラド州のロッキーマウンテン国立公園でみつかったことがある。

貯水池には、魚やガン・カモ類といった水生動物があつまってくる。ダムによって付近に水があふれることになるが、雨水の流出量を調節し、下流域での洪水をおさえる働きもしている。この貯水池が堆積物でうまってしまうと、ビーバーは新たな場所へ移動する。放棄された貯水池のあとは、よい牧草地となる。

泳ぎはきわめて達者なものの、地上では、巣用あるいは食料として必要な丸太や木の枝をうまくひきずることができない。そのため、集団生息地では、池から木立まで運河をほることが多い。こうした運河は、大きいものでは幅、深さとも1mにもなり、長さはときに数百メートルにおよぶ。木材はこの運河にうかべて容易に池へながすことができる。いくつかの観察や実験によると、ビーバーは流れの深さに応じてダムをつくると考えられる。

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