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動植物の油脂からつくられる洗浄剤または洗剤。皮膚の洗浄や洗濯などにつかわれる界面活性剤。化学的には、高級脂肪酸とアルカリ金属の化学反応によってつくられる脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩をさす。
石鹸に似た物質や洗浄剤の使用については、古代から多くの例が記録されている。旧約聖書や古代ローマの博物誌家プリニウスの著作の中に、それに類する記述がみられる。8世紀には、石鹸の製造がイタリアとスペインで普及していた。 13世紀にイタリアからフランスに石鹸工業が導入されるまでは、ほとんどの石鹸は羊脂とアルカリをふくんだブナの木からつくられていた。フランスで、獣脂の代わりにオリーブ油から石鹸を製造する方法が考案された。とくに、日本での名称「マルセル石鹸」にその名をのこすマルセイユは、特産のオリーブ油をつかった良質な石鹸製造の中心地となった。 1779年、スウェーデンの化学者カール・ビルヘルム・シェーレは、オリーブ油を酸化鉛とともに煮沸して今日グリセリンとして知られる甘みのある物質を生成したが、その際にとった方法は、 偶然にも今日おこなわれている石鹸製造法と同様のものだった。この発見にもとづき、フランスの化学者ミッシェル・ウジェーヌ・シュブルールは石鹸にもちいられる油脂の化学的性質を研究し、油脂がアルカリと直接結合して石鹸をつくるのではなく、まず分解して脂肪酸とグリセロールを形成することを発見した。90年には、フランスの化学者ニコラ・ルブランは食塩から炭酸ナトリウムをえる方法を発明し、石鹸製造に革命をもたらした。
日本では16世紀末ごろにポルトガル語に由来する「シャボン」という言葉がはじめて記録にあらわれる。江戸時代には、おもに薬用につかわれた。洗濯石鹸の製造は、1870年代にはじまった。 その後石鹸工業は隆盛をきわめ、1950年代末ごろには生産量はおよそ40万t近くにのぼったが、合成洗剤の発達により、石鹸の生産量はやがて激減した。しかし、合成洗剤の排水のもたらす環境問題が懸念されるようになり、生分解性(微生物によって単純な化学物質に分解されること)がよく、汚染問題の少ない石鹸がふたたびみなおされている。
製法には、油脂鹸化法と脂肪酸中和法がある。油脂鹸化法は、牛脂、ヤシ油、オリーブ油などの天然油脂と水酸化ナトリウム(→ ソーダ)を反応させて石鹸生地をつくる。脂肪酸中和法は、脂肪酸をアルカリ(水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなど)で中和して石鹸生地をつくる。 えられた石鹸生地は、次の工程で機械練りまたは棒練りの方法によって固形石鹸に加工する。ほかに、石鹸生地を乾燥、粉砕してフレーク状、粉末状の製品にする。 近年では、油脂鹸化法とは別に、脂肪酸中和法、脂肪酸エステル鹸化法も多くおこなわれている。 種類は、家庭用と工業用に大きくわけられる。家庭用石鹸には化粧石鹸、洗濯石鹸、薬用石鹸などがある。工業用石鹸には繊維工業用、金属工業用のものがある。逆性石鹸は、殺菌作用が強いので消毒用につかわれる。ふつうの石鹸は、泡立ちの作用が陰イオンの性質による陰イオン界面活性剤だが、逆性石鹸は、その逆の陽イオン界面活性剤である。 性状からみると、固形のかたい硬石鹸(ナトリウム塩)と、液状の軟石鹸(カリウム塩)、洗濯用などの粉石鹸、フレーク状の石鹸などがある。
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