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天然に地下から産出する原油(crude oil)および原油を精製してえられるガソリンや軽油、重油、灯油などの液体燃料、潤滑油(→ 潤滑剤)、アスファルト、ナフサなどの石油化学製品を総称して石油という。原油は、液状の炭化水素を主成分とし、少量の硫黄、酸素、窒素化合物、微量の金属化合物などをふくむ混合物である。 原油からつくられる各種の石油化学製品は、近代以後、エネルギー源として、また化学工業の出発原料としてもっとも重要な資源であり、近代工業は、さまざまな石油化学製品の生産によって大きく成長してきた。資源として豊富であり、価格がやすく、便利なことが、現代社会に多様な恩恵をもたらしたといえる。しかし近年、石油の利用は世界じゅうでしだいにへりつつある。それは埋蔵量が減少し、供給不安が広がっているためばかりでなく、石油製品の燃焼や石油化学製品がもたらす地球環境へのさまざまな影響と関係している。→ 地球温暖化:温室効果ガス:大気汚染
石油はカンブリア紀以降の地層、主として古生代の石炭紀、中生代の白亜紀、新生代の第三紀に属するさまざまな地質時代の地層から産出する。だが、その約60%は、2億4500万~6500万年前の中生代とよばれる時代の地層からのものである。石油が何からどのようにできたかについては、19世紀初め以来、有機(生物)起源説と無機(非生物)起源説とが対立してきた。 当初有力だった無機起源説は、たとえば炭酸ガス(→ 二酸化炭素)とアルカリ金属の接触、カーバイドと水との反応など、地下の無機化合物が石油の成因だというものだが、現在では多くの反証があり、否定されている。一方、有機起源説は動植物を石油の起源と考えるもので、その決め手のひとつは、生物のヘモグロビンや葉緑素(クロロフィル)の誘導体であるポルフィリン類、コレステリン、カロテン(カロチンとも)、テルペンの誘導体などのように光学活性をもつ生物由来の有機化合物が微量ながら石油の中にふくまれていることである。 現在もっとも有力な有機起源説は、古代の海生動植物、とくに熱帯の海に生息していたプランクトンや藻類などの死骸(しがい)が海岸線に近い海底に土砂とともに堆積(たいせき)し、これが石油のおもな成因となったとする考え方である。この説によれば、まず堆積物にふくまれる有機化合物中の酸素が嫌気性細菌の作用で除去され、石油質の母体を形成した。これが地中層に浸透して、地熱、地圧、地下鉱物の触媒作用(→ 触媒)などによってしだいに石油に変化したのち、地中層を移動して岩石化した油母頁岩(オイルシェール:→ 頁岩)中に集積し、今日の石油鉱床を形成したとされる。
地下から採取されたままの原油は、一般に黒褐色または黒緑色の粘り気のある油状物質で、多少の泥水や塩分をふくんでいる。原油の主成分は、炭素原子数5~40程度の複雑な各種炭化水素化合物だが、ガス状炭化水素(湿性天然ガス)もとけこんでいる。世界じゅうに分布する原油にふくまれる元素は、炭素79~88%、水素10~14%、硫黄0~4%、酸素0~3%、窒素0~1%、金属0.5%以下となっている。
石油の炭化水素を分子構造のタイプによって大別すると、パラフィン系(アルカン)、アセチレン系(アルキン)、オレフィン系(アルケン)、ナフテン系、芳香族系(→ 芳香族化合物)の5種類に分類される。このうち原油の炭化水素として多いのはパラフィン系とナフテン系で、芳香族系は比較的少ない。オレフィン系炭化水素は石油が熱分解すると容易に生成するが、原油中にはほとんどふくまれていない。アセチレン系炭化水素は、以上4種類の炭化水素にくらべて重要度は低いと考えてよい。原油とともに産出する天然ガスの炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、イソブタン(→ ブタン)、ノルマルブタン、ペンタンが主である。
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