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メキシコの文化は、先住民文化、スペイン文化、アメリカ文化がまじりあっている。農村部には、高度に発達したマヤ、アステカ、トルテカなどの文化を継承している先住民と、スペイン系やメスティソの農民、労働者が居住しており、それぞれの伝統が豊かな地方文化をつくりあげている。都市部で顕著なのは、ヨーロッパ、とくにスペインとフランスの文化と北アメリカ文化の影響である。メキシコの現代芸術家の多くは、スペイン、先住民、近代ヨーロッパの様式を融合させた独自の創作をめざしている。
16世紀からスペイン語によるメキシコの文学作品がつくられたが、作品の多くは先住民の口頭伝承から題材をとっている。20世紀の著名な作家としてアスエラ、ルイス・グスマン、ヤニェス、フエンテスがおり、ほかに戯曲家のバロソ、ウシグリ、詩人で散文家のレイエス、1990年にノーベル文学賞を受賞したパスらがいる。→ ラテンアメリカ文学
地方では古くから民謡や民族舞踊が盛んで、マリアッチ楽団は大衆的な辻楽団として有名である。この楽団は通常、バイオリン2、5弦ギター2、低音部を担当する大型のギタロン、トランペットで構成される。東部の港ベラクルスの合奏団は、ハープ1台と2つの小さなギターだけで演奏する。南部ではマリンバ合奏団が人々をたのしませている。コリードとよばれる物語歌は、スペインのロマンサに由来する4行詩で民間伝承の物語をうたいあげるもので、アメリカのフォーク・ミュージックや民衆詩に大きな影響をあたえた。スペイン植民地時代以前の舞踊も、伴奏はスペインふうながら地方にのこっている。 芸術音楽の分野では、作曲家で指揮者のカルロス・チャベスが知られている。彼は1928年のメキシコ国立交響楽団の創立に貢献した。振付師のアマリア・エルナンデスは、バレエ・フォルクロリコを52年に創立している。
スペイン植民地時代の建造物が各地にのこされている。その建築様式はゴシック様式、プレテレスコ様式(16世紀スペインの建築様式)、古典様式、バロック様式などによるものだが、先住民文化の装飾をとりいれたものもある。19世紀後半から20世紀前半にかけて、ハプスブルク家出身の皇帝マクシミリアンとその後のディアス大統領の統治期に、フランスの壮麗な第2帝政期様式が首都に導入された。メキシコシティにある華麗な芸術院宮殿は、ディアス独裁下で建設がはじまり、1930年代に完成したものである。 1945年からメキシコでは建築のルネサンスがおこり、世界じゅうの注目をあびた。メキシコ国立自治大学につくられた新しい建物群は、カルロス・ラソの基本計画のもとにデザインされ、建築家で画家のフアン・オゴルマンやディエゴ・リベラらによるフレスコやモザイクの壁画がかざられている。メキシコの著名な建築家としてフェリックス・カンデラがいる。彼はコンクリートをつかった独創的なデザインで、教会のほか、68年にはメキシコシティのオリンピック・スタジアムなどを手がけた。
メキシコには、スペイン人の植民以前から絵画や彫刻のすぐれた伝統があった。植民地時代の美術家は、この伝統とスペインの文化、技術とをむすびつけ、みずみずしく深みのある作品を生みだした。しかし植民地時代後半になると、形式ばかりを重視する作品が主流になる。 19世紀末から20世紀にかけて活躍した版画家ホセ・グアダルーペ・ポサダ(1852~1913)は、強烈で衝撃的なポスター、石版画、木版画によって、民族の独立と革命をうながした。ポサダにつづくリベラ、シケイロス、オロスコら現代メキシコ派の代表画家は、美術家集団のリーダーとして壁画芸術を再興し、写実的な油絵でも重要な作品を制作した。民族美術をモチーフとしたのはフリーダ・カーロで、彼女自身の体験と幻想をおりまぜた作品を発表した。また織物、陶器、銀細工、木工、ガラス、皮革の工芸職人たちも、独自の伝統工芸を生みだしており、世界じゅうの人々を魅了している。
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