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本来は石炭酸、フェニル酸、ベンゼノール、あるいはヒドロキシベンゼンともよばれる特定の有機化合物をさしていたが、ベンゼン核などの芳香環の水素が一部、ヒドロキシル基(水酸基)に置換されたものを総称してフェノール類あるいはたんにフェノールという。
特有の刺激臭があり、無色で潮解性(→ 潮解)がある結晶。水溶液は、pH6.0の弱酸性で、ベンゼンの水素原子1個がヒドロキシル基–OHに置換された構造になっている。純粋なフェノールは、無色の針状結晶だが、空気または光にふれると、しだいに赤みをおびる。アルコール、エーテルなどの有機溶媒にはよくとける。100gの水には、20°Cで8.5g、40°Cで9.7g、60°Cで17.5gとけるが、約66°C以上では自由に混合する。かつては、石炭を乾留したときにえられるコールタールから分離されていた。
化学式C6H5OH、分子量94.11、比重1.071、融点40.9°C、沸点182°C。
1834年、ドイツの化学者ルンゲが、コールタールの中からフェノールをはじめて分離した。67年にはイギリスの外科医J.リスターによって、傷や手術衣、医療器具の消毒薬として使用された。フェノールの希釈溶液には、すぐれた消毒作用があるが、濃度の高い溶液は腐食性で、生体組織に有害となる。現在では生体への刺激が弱く、大きな効力をもつ殺菌剤が、フェノールのかわりに利用されている。フェノールはコールタールからの抽出のほか、ベンゼンを原料にした合成法でも生産される。フェノールの用途は広く、樹脂、殺虫剤、爆薬、染料、洗浄剤に、またアスピリンのような医薬品の原料にもちいられる。
現在でもコールタールから製造されるものもあるが、経済性の面からほとんどは合成によっている。多数の合成法が開発されているが、主要な方法としてクメン法とトルエン酸化法がつかわれている。クメン法は、ベンゼンを出発原料にしてクメンC6H5CH(CH3)2を合成してから、酸化(→ 酸化と還元)してクメンヒドロペルオキシドを合成し、触媒で分解してフェノールをつくる。トルエン酸化法は、トルエンをコバルト触媒で酸化して安息香酸C6H5COOHをつくり、さらに銅やマグネシウムの触媒で酸化してフェノールをつくる。
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