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非金属元素のひとつで、地球上に広く存在する元素。炭素は化合物として、きわめて多様な形態をとり、有機化合物では結合の中心となっている。また、生体の存在にきわめて重要な元素であるだけでなく、産業上でも重要な用途が多数ある。天然に存在する炭素原子には、3種の同素体であるダイヤモンド、黒鉛(石墨)、無定形炭素(すすなど)がある。 元素記号C。原子番号6。原子量12.0107。地殻中の推定存在量約480ppm。安定同位体の質量数と存在比は、12C(炭素12)が12で98.93%、13C(炭素13)が13.003355で1.07%。周期表の14族に属する。密度3.513g/cm³(20°C、ダイヤモンド)、2.25g/cm³(20°C、黒鉛)。融点約3550°C。沸点4827°C(昇華)。
炭素の3種の同素体は融点の高い固体で、常温では、どのような溶媒にもとけない。これらの3種の同素体は結晶構造がことなるため、物理的な性質もかなりことなる。これまで知られている物質のうちでもっとも硬いダイヤモンドは、1個の炭素原子が他の4個の炭素原子と3次元的にしっかり結合しているが、黒鉛は六角形に配置された原子の平面層が弱く結合している。無定形炭素は結晶化度がひじょうに低い。純粋な無定形炭素は、空気をたって精製糖を900°Cに熱するとえられる。 炭素の特性は他の炭素原子と結合して複雑な鎖状と環状の化合物をつくることである。この特性により、ほぼ無限数の炭素化合物がつくられる。その中でもよく知られているのが、炭素と水素の化合物である。炭素化合物は、19世紀初頭に生体、つまり有機体中ではじめ確認され、このことから炭素化合物を研究する分野を「有機」化学とよぶようになった。→ 有機化学 常温では、炭素は反応性が弱い。高温で、ほとんどの金属と直接反応して炭化物を生じ、酸素と反応して一酸化炭素COと二酸化炭素CO2を生じる。コークスのかたちの炭素は、金属酸化物鉱石(→ 酸化物)から酸素をとりのぞいて純金属をえるのにもちいられる。炭素はほとんどの非金属元素とも化合物をつくるが、中には四塩化炭素CCl4などのように、間接的にしかつくられないものもある。
自然界に広く分布している。単体としては、ダイヤモンド、黒鉛のかたちで、また、金属の炭酸塩として、ほかに石油、石炭として存在する。二酸化炭素は大気の主要成分で、生体にとりこまれる主炭素源である。植物は光合成により二酸化炭素を炭水化物にかえ、この炭水化物は動物などによって消費される。→ 炭素循環 無定形炭素は木炭、石炭、コークス、カーボンブラックなどの中にさまざまな純度で存在する。カーボンブラックはガスブラックともよばれ、天然ガスやタールの不完全燃焼により生成される黒色の細かい炭素粉末で、ゴムの補強充填剤(ほきょうじゅうてんざい)や黒色顔料の原料につかわれる。炭素繊維(カーボンファイバー)は、合成繊維を窒素気流中で加熱分解して炭素化させたものである。ひじょうに丈夫で、スポーツ・レジャー用品に多く使用される。航空機の構造材などにも利用される。活性炭は、ヤシ殻などを塩化亜鉛やリン酸などの活性化剤で処理して炭化させたものである。脱色・脱臭剤、吸着剤、触媒などにつかわれる。 1985年、ヘリウム気流中でレーザーを黒鉛にあてて気化させると、60個の炭素原子からなる正20面体のサッカーボール状の安定な炭素分子ができることがアメリカで発見された。この分子はジオデシック・ドーム(→ ドーム)の発明者であるフラーの名にちなんでバックミンスターフラーレン、略して「バッキーボール」と名づけられた。この炭素分子C60は星間物質にふつうに存在すると推測され、90年にC60を大量に合成する方法がしめされた。超伝導体(→ 超伝導)としても注目されている。→ フラーレン
もっとも安定な炭素の同位体は12C(炭素12)である。1962年にこの核種は16O(酸素16)にかわる原子量の標準として選択され、原子量12をわりあてられた。 13Cと14Cは生化学研究でトレーサーとして広くもちいられる。14Cは化石や他の有機物質の年代を決定する炭素14法(→ 年代測定法)とよばれる技術でももちいられる。14Cは宇宙線により大気中にたえず生成され、全生体にとりこまれる。14Cは大気中の二酸化炭素に1.2 × 10-10%ふくまれ、半減期が5730年であるが、生体死滅後は大気中の二酸化炭素と生体内炭素との交換がなくなる。そのため、試料中の14Cの12Cに対する比率から年代を決定することができる。
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