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年金は、定期的な金銭の給付を意味するが、主として老齢、遺族、障害などに対する経済的準備のためにおこなわれる。年金には、国が法律にもとづいて、社会保障の一環としておこなう公的年金と、民間で任意におこなう私的年金がある。さらに私的年金には、企業が退職給与の一種として従業員に支給する企業年金と、生命保険会社等(→ 生命保険)が個人を対象としておこなう個人年金とがある。 公的年金には、租税を財源とする無拠出制年金もあるが、多くの国は、年金受給者(被保険者)が一定年数以上納付した保険料(掛け金)を財源とする拠出制年金を採用している。
年金には、拠出も給付も所得に比例しておこない、年金を受給する以前の生活水準の保障を意図した所得比例型年金と、拠出も給付も所得とは独立におこない国民的最低限の所得保障が意図された均一型年金とがある。前者の所得比例型年金の起源は1889年にドイツでビスマルクが労働者を対象として実施した社会保険制度であり、後者の均一型年金の起源は、1946年にイギリスでベバリッジ報告(→ W.H.ベバリッジ)にもとづいて実施された年金である。 労働者向けの所得比例型年金からスタートした国では、制度発足当初に対象となった公務員(軍人・文官)、国営産業、基幹産業、そして一般のブルーカラー、ホワイトカラーから、給付の対象が農業者、自営業者に拡張する際に、均一型年金の手法を導入していった。一方、均一型年金でスタートした国では、保険料の拠出水準が支払い能力の最低の水準によってきめられるために、給付水準が低くならざるをえなかった。そのため、均一型年金だけでは高齢者の貧困を解消することができるほどじゅうぶんな年金水準を確保できなかったことなどを理由により、所得比例型年金が導入されていった。その結果、現在の主要国は、所得比例型と均一型の両類型が融合した公的年金をもつにいたっている。
現在の日本の年金制度は、全国民に共通した「国民年金(基礎年金)」を基礎に、「被用者年金」「企業年金」の3階建ての体系となっている(図「日本の公的年金制度の体系」も参照)。
自営業者、農業者そして無業者(第1号被保険者)の95%程度は、1階部分の国民年金のみに加入し、自営業者の中でも、医師や弁護士などわずかな人たちが、2階部分の国民年金基金に加入している。民間サラリーマンと公務員等(第2号被保険者)は、1階部分の国民年金にくわえて、それぞれ2階部分の厚生年金と共済年金にも加入することにより、給与に比例した年金をうけとる(報酬比例年金)。民間サラリーマンは、3階部分の厚生年金基金や適格退職年金などの企業年金に加入している者もいる。 なお、アメリカのいわゆる「401k」は、日本では「確定拠出型年金」とよばれている。しかし、401kは一時金の老後貯蓄制度であり、ここで定期的な金銭の給付と定義した年金とは性格がことなる。つまり、アメリカの401k受給者は、それまでに拠出し運用したものを引退時にうけとり、その後の老後の出費に適宜とりくずして充当しているのである。 ただし、日本版401kは、加入者が一時金としてでなく年金としてうけとることをうながす工夫がなされており、将来は現在の企業年金の役割をはたすことが期待されている。
現在の年金制度の骨格は、1985年(昭和60)の大幅な改正によってつくられた。それまでの日本の公的年金制度は、農業者・自営業者、民間サラリーマン、公務員等という3種類の職種ごとに分立していた(3種8制度)。 しかし、分立した制度体系では、給付と負担の両面で制度間の格差や重複給付が生じるのみならず、就業構造や産業構造の変化によって受給者数と費用負担者数のバランスがくずれ、財政基盤が不安定になったり、給付と負担の不公平が生じるという問題が生じていた。 それを改善するために、1985年の改正では、次のような改正がなされた。 (1)基礎年金の導入:全国民共通の基礎年金を創設することにより、基礎年金部分についての給付と負担の公平化、重複した給付の整理をはかるとともに、産業構造などの変化の影響をうけずに安定的な制度運営をおこなうことができるようにした。 (2)女性の年金権の確立:サラリーマン等の妻(専業主婦)も国民年金に加入を義務づけ(第3号被保険者)、加入者ひとりひとりに自分名義の基礎年金を支給することとした。また保険料負担については、専業主婦には、医療保険同様、個別に負担することをもとめず、夫の加入する年金制度で負担することとした。 ついで1989年(平成元)、94年にも、次のような改正がなされた。
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