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人口の高齢化が一定の水準をこえ、さらに進展しつつある社会を高齢化社会という。
人口の高齢化をしめす指標の主要なものには、老齢人口比率(総人口に占める65歳以上人口の比率)と老年人口指数(15~64歳の生産年齢人口に対する65歳以上人口の指数)とがある。一般的には前者の老齢人口比率がもちいられる。国連では、老齢人口比率が7%をこえる社会を高齢化社会とよび、それが14%をこえると高齢社会とよびわけている。日本では、1970年に7%をこえて高齢化社会の仲間入りをし、94年に14%をこえ高齢社会に移行したことになる。 日本の高齢化は、欧米諸国と比較すると、急激に進行し、しかも世界有数の高水準に到達するという特徴をもつ。たとえば、高齢化社会から高齢社会にいたるまでの時間は、フランスでは115年、スウェーデンでは85年、アメリカでは75年、旧西ドイツやイギリスでは45年かかっているのに対して、日本ではわずか24年しかかかっていない。また、2014年には25%をこえ、世界のどの国にもみられない高い比率を占めることが予測されているのである。
かつて高齢者は、過去に蓄積した経験のゆえに尊敬され、子や孫と同居して家庭内に一定の場をもっていた。隠居はしたが財産を次の世代にゆずっていない場合であっても、実質的には財産の管理は子にゆだねられ、高齢者は子によって看護されていた。これは、公的な扶養のための年金制度などの整備があまりにもおくれていたことによるが、実質的には現在よりもふじゅうぶんなところがあったにしても、家族で扶養しなくてはならない、あるいは扶養しようとする傾向があった。 現在、高齢者をとりまく環境をみると、たんに高齢者比率が高くなったというだけではなく、その一方で核家族化が進行し、高齢世帯数(男65歳以上、女60歳以上の者のみで構成するか、またはこれらに18歳未満の未婚の者がくわわった世帯)も増加している。 人は高齢化にともなって感覚や知覚が鈍化し、記憶力や判断力が低下する。体力の衰えとそれにともなう気力の衰えも急激にすすみ、病気がちになったり対人関係をもとうとしなくなったりする。このような心身の諸機能の衰えによって、社会的な人間関係にも変化が生じ、人格的な柔軟性をうしなって、老人はしだいに対人関係から離脱していくことになる。 こうした状況にあって、高齢者は、貧困、病気、孤独においこまれることになり、生きがいをみいだしえないでいる。健康で、対人関係を維持しつつ経済的に豊かな生活ができることは、若い人々ののぞむところでもあるが、高齢者の場合これらがいったんそこねられたときにじゅうぶんな回復や対応ができないことが多く、問題は深刻化しやすい。老人三悪とよばれていたこともあるくらいである。 ただ、ここで老人三悪とか高齢者問題という表現をつかっているが、このことはなにも高齢者の存在を問題にしているのではない。高齢社会化があまりに急激にすすんだために、社会的対応がおくれたことの問題を指摘していることに注意しておかなければならない。 いずれにしても、高齢者の福祉をいかに保障していくかが、今問われているといえる。
高齢者の幸福について、老年学においては、「離脱理論」と「活動理論」の論争があった。先ほど高齢者は社会的な人間関係から離脱していくことになるとのべたが、離脱というのは、個人と社会の他の成員間の関係がはなれていく過程をさしている。離脱理論は、老化の終点には死があり、それにむかって個人と社会は相互にはなれていくと考えるもので、この理論にしたがえば「年をとるにしたがって離脱することがのぞましい」ことになり、したがって離脱している人のほうが幸福感が高いということにもなる。 これに対して活動理論というのは、離脱はけっしてさけられないものではなくて、活動の減少はむしろ幸福感の減少をまねくと主張する。この考え方によると、高齢者も社会的関係を維持し、社会的活動を可能なかぎりしたほうが高い幸福感にむすびつくことになる。 現実には、悠々自適の生活をしているほうが幸福だとかんじる人もいれば、たとえば趣味などを同じくする人といっしょになって活動をしているほうが幸せだとかんじる人がいるわけで、離脱と活動のどちらが幸福にむすびつくのかという議論は、総じてどちらが有利かというのではなくて、結局は離脱の起こり方の個人差や、個人の志向性に着目すべきだというようにかわりつつある。 ただ「お金があっても生きがいのためにはたらいていたい」とか、「趣味やスポーツなどで他の人といっしょにいると幸せを感じる」とのべる高齢者が少なくないことを考えると、なんらかのかたちで彼らの活動できる場を確保する必要があるといえよう。離脱型でも活動型でも本人が自由に選択できるようにすることが肝要なのである。
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