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鉱物の種類を確認し、その性質、起源、分類に関する研究をおこなう学問。鉱物の性質は、鉱物化学、鉱物物理学、結晶学というさらに細かい分野にわかれて研究されている。個々の鉱物の産地や産状、その用途などの性質と分類は、記載鉱物学で研究されている。化学的、物理学的、結晶学的な性質からの鉱物種の決定もひとつの分野になっている。さらに、鉱物の利用や資源としての鉱物を研究する応用鉱物学もある。なかでも、造岩鉱物や粘土鉱物(→ 粘土)、細菌などによりつくられる生体鉱物など、種類や分野を限定した鉱物を深く研究する手法や、環境と鉱物の関係、生物と鉱物の関係に注目した研究も最近では重要となってきている。 鉱物の利用は古くからなされている。鉱物に関する記述は、古代ギリシャ時代にまでさかのぼり、テオフラストスの「石について」という書が、最古とされている。鉱物が、科学としてととのってきたのは、ルネサンス期の16世紀になってからである。「デ・ナチュラ・フォッシリウム」(1546)と「デ・レ・メタリカ」(1556)をあらわしたドイツの鉱物学者アグリコラは、鉱物学の父とされている。「フォッシリウム(fossilium)」は、現在の化石(fossil)という語であるが、当時は、「ほりだされたもの」として、鉱物も化石と同等にあつかわれていた。17世紀になると、イギリスの科学者フックは自作の顕微鏡をつかいミョウバン(明礬)や食塩の研究から粒子の規則的配列を推定した。デンマークの地質学者ニコラス・ステノは水晶(→ 石英)や赤鉄鉱、黄銅鉱の研究から面角一定の法則(→結晶の「結晶系」)をみいだした。劈開(へきかい:鉱物をたたいたときに、一定の方向の面にそってわれる現象)と1669年に複屈折(→光学の「偏光」)をみいだしたデンマークの科学者バルトリヌスと、オランダの科学者ホイヘンスによるその理論化(ホイへンスの原理)など、鉱物学的に重要な研究がなされてきた。そして、18世紀になって、フランスの鉱物学者ロメ・ド・リルは「結晶学」(1783)で結晶の現代的モデルを提唱し、フランスの鉱物学者ルネ・アユイの「鉱物学概論」(1801)によって鉱物学の体系化がはじまった。
鉱物種を決定し、他と識別するのにもっとも重要な性質のひとつはその化学組成である。鉱物化学では、その化学組成をしらべ、鉱物を分析する。鉱物の分析は、定性的(→ 定性分析)あるいは定量的(→ 定量分析)な化学分析の手法によっておこなわれる。鉱物はその化学組成と結晶の対称性によって分類される。鉱物の化学組成は、電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analysis)によってもしらべられ、その精度は向上し、微小な結晶でも化学分析が可能になってきた。 化学的な分類は統一されているわけではないが、以下のような化合物の分類が一般的である。 (1)元素鉱物:金、石墨(黒鉛)、ダイヤモンド、硫黄などのように、単一の元素でできているもの。 (2)硫化鉱物(セレン化鉱物、テルル化鉱物、ヒ素化鉱物、アンチモン化鉱物、ビスマス化鉱物もふくむ):硫黄(またはセレン、テルル、ヒ素、アンチモン、ビスマス)と化合した金属によってできている鉱物で、方鉛鉱や閃亜鉛鉱などの重要な鉱床鉱物がここにふくまれる。鉛、銀、銅などの硫化物や、銀の重要な鉱石鉱物である濃紅銀鉱Ag3SbS3などもここにふくまれる。 (3)酸化鉱物および水酸化鉱物:酸素もしくはヒドロキシル基(水酸基:-OH)と化合した金属によってできている鉱物。赤鉄鉱のような金属と酸素の化合物や、ボーキサイトの成分であるダイアスポアAlO(OH)、細菌の作用により酸化された褐鉄鉱である沼鉄鉱(しょうてっこう)FeO(OH)のようにヒドロキシル基をもつものもここにはいる。 (4)ハロゲン化鉱物:金属と塩素やフッ素、臭素、ヨウ素が化合したもの。岩塩はこうした鉱物のうちでもっとも有名なものである。 (5)炭酸塩鉱物:炭酸イオン(CO32-)をもつグループで、方解石CaCo3、苦灰石(ドロマイト)CaMg(CO3)2、霰石CaCo3などはここにふくまれる。 (6)ホウ酸塩鉱物:オルトホウ酸イオン(BO33-)をもつグループで、コトウ石(小藤石)Mg3(BO3)2、ホウ砂(硼砂)Na2B4O7・10H2Oなどはここにふくまれる。 (7)硫酸塩鉱物:硫酸イオン(SO42-)をもつグループで、クロム酸塩鉱物、タングステン酸塩鉱物、モリブデン酸塩鉱物、ウラン酸塩鉱物などもふくむ。石膏、硫酸カルシウム(硬石膏)CaSO4、ミョウバン石(明礬石)Kal3(OH)6(SO4)2、タンバン(胆礬)CuSO4・5H2O、硫酸鉄(II)(緑礬)FeSO4・7H2O、硫酸バリウムの鉱石鉱物である重晶石BaSO4などはここにふくまれる。 (8)リン酸塩(燐酸塩)鉱物:リン酸イオン(PO43-)をもつグループで、バナジン酸塩鉱物、ヒ酸塩鉱物などもふくむ。燐灰石Ca5(PO4)3F、イットリウムをふくむゼノタイム、ネオジムをふくむモナズ石、緑鉛鉱Pb5(PO4)3Clなどがここにふくまれる。 (9)ケイ酸塩鉱物:ケイ酸イオン((SiO4)4-)をもつグループで、もっとも大きな区分である。いろいろな元素がケイ素と酸素と化合し、複雑な化学構造をつくる。ケイ酸塩鉱物は、SiO4四面体(ケイ素酸素四面体)の結合の形式により、ネソケイ酸塩鉱物、ソロケイ酸塩鉱物、サイクロケイ酸塩鉱物、イノケイ酸塩鉱物、フィロケイ酸塩鉱物、テクトケイ酸塩鉱物に細分される。長石や雲母、輝石、石英、沸石、角閃石族など、代表的な造岩鉱物がここにふくまれる。 (5)から(9)は、まとめて酸素酸塩鉱物とよばれることもある。
鉱物物理学では、鉱物種を決定するのに重要な助けとなる鉱物の物理的性質をしらべる。ほとんどの物理的性質は、観察や簡単な試験によってきめることができる。重要な物理的性質としては、電気的性質、熱的性質、光学的性質、磁気的性質、条痕色(じょうこんしょく:素焼きの条痕板に鉱物をこすったときにできる筋の色のこと)、劈開、断口(劈開をしめさない鉱物の割れ口のこと)、硬度などがあげられる。 電気的性質には、電気伝導度や熱電気、焦電気(パイロ電気)、圧電気(ピエゾ電気、→ 圧電効果)、摩擦電気などがある。熱的性質には、生成熱や結晶熱、潜熱(→熱の「潜熱」)、熱伝導、熱透過、熱膨張、比熱、溶解熱、分解熱(→ 熱分解)などの性質がある。 光学的性質とは、色や透明度、光沢、蛍光、リン(燐)光(→ ルミネセンス)などのことである。鉱物の光学的性質をしらべるために、偏光顕微鏡をもちいる。磁気的性質とは、磁性の有無と、強弱のことである。 硬度は、10段階にわかれたモースの硬度計やビッカース硬さ、などがある。モースの硬度計は、滑石や石膏、方解石、蛍石、燐灰石、正長石、石英、トパーズ、コランダム、ダイヤモンドが標準鉱物で、あいだの硬度の場合は、1/2あるいは0.5という表記がされる。 ほかにも、物理的性質として、密度や比重、弾性、変形、触感、臭気、味、放射性現象などがある。
多くの鉱物は、生成条件がととのっていれば、結晶の形でえられる。結晶学では、結晶の成長、形、幾何学的特徴の研究をおこなう。結晶内での原子の配列はX線回折(→ 回折)によってしらべることができる。近年では、微小部分の結晶の構造をしらべることのできるX線回折装置もあり、微小結晶の研究もすすんでいる。結晶化学の分野では、化学組成や原子の配列、原子同士の結合力の関係などを研究している。結晶は、その対称性から等軸晶系や正方晶系、斜方晶系、単斜晶系、三斜晶系、六方晶系の6つの晶系にわけられている。
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