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銀白色の金属元素。強い磁性をもつ。おもに合金に利用される。遷移元素に属する。ニッケル使用の歴史は古く、銅との合金が何千年もの間、貨幣に利用されていた。しかし、ニッケルが独立した元素として認識されるようになったのは、1751年にスウェーデンの化学者アクセル・クロンステットが紅ヒニッケル鉱NiAsからニッケルを分離してからのことである。この鉱石は銅鉱石に似ているが、銅をとりだせないことから「悪魔の銅(Kupfernickel)」とよばれていた。元素名のニッケルはこれにちなんでいる。 元素記号Ni。原子番号28。原子量58.6934。周期表10族に属する。融点1455°C。沸点2890°C。密度8.902g/cm³(25°C)。地殻中の存在量75ppm。安定同位体(→ 同位体)の質量数と存在比は、58Ni(ニッケル58:68.0769%)、60Ni(60:26.2231%)、62Ni(62:3.6345%)、61Ni(61:1.1399%)、64Ni(64:0.9256%)。
適度な硬さがあり、展延性(→ 延性:展性)があるので、鉄と同じく加工しやすい。みがくと光沢が出て、345°C以下の温度では磁気をおびる。金属ニッケルの反応性はややにぶく、希硝酸にはとけるが、濃硝酸中ではニッケル表面に酸化被膜がつくられ、それ以上反応しない。アルカリ水溶液にもとけない。ニッケルは鉄よりも酸化しにくく、常温の空気中ではさびを生じない。
地中の鉱石のほか、隕石中にも存在する。鉱石中では、ほかの元素との化合物として存在する。おもな鉱石は硫鉄ニッケル鉱(Fe,Ni)9S8、磁硫鉄鉱FeSで、ほかに珪ニッケル鉱(Ni,Mg)6Si4O10(OH)8、針ニッケル鉱NiS、紅ヒニッケル鉱NiAsなどがある。地殻中存在量は、多くないが、地球の中心部(→ 核)には、鉄とともに大量に存在すると考えられる。 ニッケル鉱石にもっとも多くふくまれる不純物は銅であり、ニッケルの精錬では銅とニッケルの分離が重要になる。硫鉄ニッケル鉱など硫化物の鉱石や、ニッケル含有量の多い磁硫鉄鉱は、溶鉱炉でとかして銅とニッケルの硫化物にかえたあと、さまざまな精錬工程をへてニッケルと銅を分離する。ほかに電極反応を利用した方法、ニッケルを一酸化炭素と反応させて揮発性のニッケルカルボニルNi(CO)4に変化させて精製するモンド法などがある。
ニッケルは耐食性が高く、装飾としても見ばえがよいので、鉄など腐食しやすい金属のめっきに利用される。とくにニッケルイオンをふくむ溶液中での、電極反応による電気めっき法が利用される。微粉ニッケルは、それ自身の体積の17倍もの水素を吸収するので、石油などの水素添加の触媒に利用される。 ニッケルのおもな用途は、合金材料である。鉄にニッケルをまぜると強度と耐食性が高まる。約2~4%のニッケルをふくむニッケル鋼は、自動車のシャフト、クランクシャフト、歯車、バルブなど、強度を要する機械部品や装甲板に利用される。ニッケルをふくむ合金で重要なものとしては、洋銀(洋白(ようはく)とも。銅、ニッケル、亜鉛の合金)、インバー(鉄、ニッケル)、モネルメタル(ニッケル、銅)、ニクロム(ニッケル、クロム、鉄)、パーマロイ(ニッケル、鉄)などがあげられる。ニッケル硬貨はニッケルと銅の合金である。またニッケルは、家庭電気製品などに広く利用されているニッケル・カドミウム電池の製造に欠かせない。 日本では珪ニッケル鉱を輸入し、精錬して鉄との合金を生産し、ステンレス鋼などの合金添加剤として利用する。また、ニッケルマット(精錬未了のニッケル合金)を輸入して、金属ニッケルの製造にもちいている。
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