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項目構成
細菌には、細胞壁がおもに糖タンパク(ペプチドグリカン)の厚い層からできているものと、うすい層からできているものがある。細菌をグラム染色法にかけたときに色がつくかつかないかは、この構造の違いによる。グラム染色法で色がつく細菌はグラム陽性菌、つかない細菌はグラム陰性菌というふうにわけられる。色がつくという性質は細菌のさまざまな性質と関係するため、グラム染色法は細菌の分類の基本である。 一方、抗菌物質は、さまざまな種類の細菌に作用する抗菌範囲の広いものと、範囲がかぎられているものとにわけられる。抗菌範囲の狭いペニシリンはグラム陽性菌に作用し、同じく抗菌範囲の狭いアミノ配糖体系はグラム陰性菌とグラム陽性菌の一部に作用する。抗菌範囲の広いテトラサイクリンとクロラムフェニコールは、グラム陽性菌にも陰性菌にも作用する。
抗生物質はまた、静菌性のものと殺菌性のものとにわけられる。静菌性の抗生物質は、増殖分裂中の細菌の成長を抑制する働きをする。抗生物質に成長をとめられた細菌は、やがて次々に死んでいくか、宿主の防御機構によって死ぬ。テトラサイクリン、サルファ剤などがこれにあたる。殺菌性の抗生物質は細胞膜をこわす。そのため細胞の中身が外にもれだし、その結果細菌は死ぬ。作用のメカニズムから、ペニシリンやセファロスポリンなどが殺菌性の抗生物質の中に入る。
抗生物質をむやみにつかうと、細菌が抗生物質に対して強くなり、自分を防御するように変質するので、注意が必要である。防御のおもなメカニズムは、抗生物質の活動をおさえることである。また、抗生物質によって合成できないようにされていた酵素を変化させ、抗生物質の影響をうけないようにするものもある。テトラサイクリンなど、タンパク質の合成をはばむ抗生物質に対しては、細菌はこのようにして抵抗する。 いったん抵抗する力がつくと、この能力は遺伝によって次の世代につたえられる。また、抵抗する遺伝子などほんのわずかの遺伝子をもった染色体のかけら(プラスミド)が、1つの細菌から別の細菌につたわって、別の細菌に抵抗力がつくこともある。別々の抗生物質に対する抵抗遺伝子をもつ2つのプラスミドが1つの細菌につたわると、2つの抵抗遺伝子は1つのプラスミドにまとめられる。いっしょになった抵抗遺伝子はほかの細菌につたえられ、そこでまた別のタイプの抵抗遺伝子とむすびつく。 こうして、プラスミドがつたわることによって、いくつかのことなる抗生物質に対する抵抗力が次々と遺伝する。そのうえ、プラスミドは1つの種類の細菌からほかの種類の細菌にうつっていき、数種類のまったくことなる細菌が、いくつもの抗生物質に対する耐性をもつようになるのである。 細菌に感染する前に予防的に抗生物質をつかうと、このような耐性菌をふやす。ふつうの風邪やふつうのウイルス感染には抗生物質は効果がないのに、むやみにつかったり使い方をまちがえたりすると、その抗生物質のきく細菌がいなくなって、耐性をもった細菌がふえる。ニワトリや家畜のエサに抗生物質をまぜると、抗生物質に抵抗する細菌がふえ、サルモネラ菌などに肉が汚染される危険性もある。 1970年代には、結核は開発途上国ではまだ流行していたものの、先進国では急激に減少していた。ところが、現在、結核はふたたびふえている。その原因のひとつは結核菌が抗生物質に抵抗するためである。ブドウ球菌をはじめとする細菌の中には、ひじょうに多くの抗生物質に耐性をもつものがあり、そのような細菌による感染症は治療がきわめてむずかしい。そういうMRSA(→ MRSA感染症)などの耐性菌が病院の手術室のある病棟に入りこんだら、その病棟全体を一時閉鎖しなければならないこともある。 同じように、マラリアの原因となる原生虫も抗生物質に対して抵抗力がある。同時に、原生虫をはこぶカについても、以前はきいた殺虫剤がきかないものが出てきた。
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