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製造工程のおもな部分に化学反応を利用する工業を総称して化学工業という。実際の工程には、合成、分解、交換、重合、発酵などがつかわれる。鉱石を還元して金属を抽出する金属精錬業(→ 冶金)や粘土などを焼結して焼物をつくる窯業なども、主要な工程には化学反応を利用するが、通常は、化学工業にはふくめない。
化学工業を、基盤となっている技術をもとにより細かくわければ、電気化学工業、発酵化学工業、高圧ガス化学工業、有機化学工業などのような分類もできる。ただし、このような分類法は、化学工業の技術的特徴を考えるうえでは有効だが、原料をふくめた材料と製品相互の経済的な関連を考察するうえではふじゅうぶんであるため、出発原料から基礎材料、中間材料、最終製品までの流れをつかむためには、別の分類の考え方もある。 まずひとつには、石炭化学工業(→石炭の「石炭化学工業」)や石油化学工業などのように、出発原料によって分類する方法である。また、ある化学工業部門でつくられた基礎材料は、他の部門で中間材料に加工され、さらに最終製品へと加工されることから、それぞれの加工、製造部門によって化学工業を分類することもある。その分類にしたがえば、まず基礎材料部門として、石炭乾留工業(おもにコークス、タールを製造)、電気分解工業(塩素、苛性(かせい)ソーダなどを製造)、石油分解工業(エチレン、プロピレンなどを製造)などがある。そして、この段階で製造された基礎材料は、次の中間材料製造部門の原料となる。アンモニア工業(アンモニアを製造)、メタノール工業(メタノール、ホルマリン(→ ホルムアルデヒド)などを製造)、石炭系有機化学工業(アセチレン、ベンゼンなどを製造)、石油化学系有機合成化学工業(オレフィン系炭化水素(→ アルケン)を製造)、硫酸工業などが中間材料製造部門である。さらにこの段階でつくられた中間材料は、化学肥料工業、プラスチックと合成ゴム工業、油脂工業、塗料と染料工業、紙パルプ工業などの最終加工部門によって、最終製品になる。
厳密にいえば、鉱石の精錬のように、生産活動に化学反応を利用する行為は、原始時代や古代からおこなわれていたが、化学工業という近代的な工業の形態が成立したのは、産業革命をへた18世紀以降のことである。
イギリスの産業革命は、繊維工業をはじめとして機械設備を広く採用する大工場制を生みだし、冶金工業を発展させた。この過程で、繊維の漂白に必要な硫酸ソーダが大いに利用されるようになった。需要が拡大するようになると、硫黄を原料とする鉛室法(→ 硫酸)による硫酸製造、またルブラン法(→ ソルベー法)によるソーダ(炭酸ナトリウム)の工業的製造など、酸とアルカリといった基礎化学製品を製造する無機化学工業が急速に発展した。同時に、ガラス工業や石鹸工業などが発達したのもこの時代である。このような化学工業の発展は、18世紀末のラボワジェによる元素説の確立、ドルトンによる原子論の確立など、近代的な化学研究の展開と呼応する。
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