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シーア派は、スンナ派に対立する主要な党派の中で唯一生きのこっているものである。シーア派は、預言者ムハンマドの政治的継承をめぐる争いの中から台頭した。イマーム・アリーにはじまる12人の最高の指導者を信じるため、十二イマーム派としても知られている。スンナ派とは対照的にシーア派は、共同体の合意よりも奥義についての知識を強調する。
シーア派からはいくつかの小さな党派が発展したが、もっとも重要なものはイスマーイール派である。イスマーイール派の神学的思想は、シーア派よりも過激で、ほとんどはグノーシス主義と新プラトン主義から派生したものである。現在、インドとパキスタンでおもにみられるほか、最近では東アフリカからカナダに移住する者もあらわれてきた。イスマーイール派の分派のひとつにドルーズ派がある。イスマーイール派のファーティマ朝カリフ、ハーキムがカイロで謎めいた失踪をしたのちに出現し、ドルーズ派の多くはハーキムが神の化身であると信じている。 1844年、シーア派の若者、シーラーズ出身のイラン人セイエド・アリー・ムハンマドは、みずからを「バーブ(神への門)」であると宣言し、救世主の役割をはたした。しかし、彼の弟子のバーブ教徒たちはシーア派の聖職者によってきびしく迫害され、彼自身も50年に処刑された。彼の弟子で、バハー・アッラーフとして知られるミールザー・フセイン・アリーは、バーブ教徒を中心として人類の平和と統一をめざす教義を生みだし、独立した宗教であるバハーイー教を創始した。そして、アメリカで多くの信者を獲得した。
中世に大発展をとげたイスラム文明は、その後停滞する。そのため、社会や道徳を改革しようとする宗教改革運動が台頭するようになった。その最初のものはワッハーブ運動とよばれる。この運動は、18世紀にアラビア半島でおこり、イスラム世界の各地に分派をもつ広範な復古主義運動となった。ワッハーブ運動は、反イスラム的影響、とくに一神教の信仰をあやうくするものをとりのぞくことと、盲目的に伝統をうけいれるのではなく各自が考えることがイスラム教徒の責任であることを強調して、イスラム教の復興をめざした。→ ワッハーブ派 それ以外のイスラム教の諸改革は、西欧思想の影響をうけたものである。そのうち、もっとも影響力のある19世紀の改革者は、エジプト人のムハンマド・アブドゥフであった。彼は、理性と現代西欧思想はイスラム教の真理を台無しにするどころか、むしろ強固にするであろうし、イスラム教の教義は現代の言葉におきかえられると信じた。また、インドのムハンマド・イクバールはイスラム教の教義の再解釈をこころみたもっとも重要な現代哲学者である。 エジプト、トルコ、インドの知識人は、コーランの教えを、憲法にもとづく民主主義、科学、女性解放といった思想と調和させようとした。コーランは合議による支配の原理をおしえているが、彼らの議論によれば、それは現代において君主国ではなく代議政体においてもっともよく実現されるのである。彼らはまた、コーランは自然の研究と開発を奨励しているが、イスラム教徒たちはかがやかしい科学的業績をのこした数世紀後にそれをヨーロッパにひきわたし、放棄してしまったのだと指摘している。さらに、コーランは女性にも同等の権利をあたえたが、一夫多妻を悪用した男たちによってうばわれてしまったともいっている。 近代主義者の考えはコーランの解釈に基礎をおくものだったが、彼らはとくに1930年代以後イスラム原理主義とはげしく対立した。原理主義者たちは、現代的教育や科学技術それ自体には反対しなかったが、西欧の道徳までもたらす近代主義者たちを非難した。彼らは、西欧が生みだした女性解放は、家族の崩壊やみだれた性道徳をまねいた責任があると考えている。原理主義者の中には民主主義をもうたがう者がいる。彼らは民衆の道徳観念を信用しないからである。さらに、イスラム国家における近代主義者の指導者や官吏たちが自国の貧困や人口増加といった問題の解決に失敗していたことも原理主義者による批判の論拠となった。最後に、おそらくもっとも重要なことであるが、イスラム教徒たちが西欧植民地主義に対していだいたはげしい憤慨が、彼らの多くに西欧のすべてを悪であるとみなさせたのである。 現代において、イスラム教は新しい信者を獲得しつづけている。とくにアフリカとアメリカの黒人社会で顕著だが、その根本的な平等主義が彼らの関心をひいているのである。
イスラム教の絶対的真理を確信していたため、イスラム教徒は伝統的に他宗教の代表者たちとの対話をもとめなかった。最近になってイスラム教徒たちは、イスラム教が「啓典の宗教」であるとみとめるキリスト教やユダヤ教の代表者たちとの対話をおこなうようになった。しかし、西欧植民地主義のさまざまな記憶が疑念を生み、世界的な活動となることをさまたげている。
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