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光沢のある白色の金属元素。遷移元素に属する。金属元素の中で、電気と熱の伝導率がもっとも高い。日本では、かつては白金(しろがね)とよばれていた。 古代から、装飾や貨幣に利用されてきた。小アジアでは、前2500年より前に、銀鉱床から銀を産出していたと推定される。中世ヨーロッパの錬金術師(→ 錬金術)は、月の女神の名前であるルナやダイアナを銀の呼び名とし、シンボルには三日月をもちいた。
金をのぞいた金属元素の中で、もっとも可鍛性と展延性(→ 延性)があり、圧力と衝撃をくわえることにより、簡単に加工することができる。銀は金よりかたいが銅よりやわらかい。 銀の反応性は、貴金属の中では高い。希薄な酸やアルカリにはとけないが、硝酸や熱濃硫酸にはとける。常温で酸素や水と反応せず、硫黄と反応する。銀製品が黒く変色するのは、表面に硫化銀AgSの層が形成されるためで、空気中にただよう微量の二酸化硫黄SO2や、家庭用の天然ガスにふくまれる硫化水素H2Sも、銀の変色の原因となる。黒っぽい硫化銀は、水にひじょうにとけにくい化合物であり、各種の金属イオンの混合物から銀だけをとりだす場合、硫化銀の沈殿として銀を分離することができる。
銀のごく一部は純粋な自然銀として産出する。ペルーとノルウェーにはひじょうに大きな銀鉱床があり、数世紀にわたって銀を産出してきた。金との合金(エレクトラム)からも産出される。また金の精錬過程では、かなりの量の銀が副産物として生みだされる。鉱石中の銀は通常、他の元素との化合物となっている。形態としては硫化物がもっとも多い。重要な銀鉱石としては角銀鉱AgCl、輝銀鉱Ag2Sがあげられる。銅、鉛、亜鉛の鉱石中にも銀がふくまれ、世界の銀生産量のうち半分は他の鉱石の副産物として生産されたものである。 ヨーロッパで生産される銀は、ほとんど方鉛鉱の副産物である。世界の主要な銀産出国はメキシコ、ペルー、カナダ、ロシア、アメリカ合衆国、オーストラリアである。日本はかつて銀の輸出国だったが、国内での工業的需要がしだいに多くなり、1950年代末以降は輸入国となった。
輝銀鉱など硫化物の銀鉱石を炉の中で加熱すると、鉱石中の硫黄が二酸化硫黄となって分離し、金属の銀がえられる。各種の金属鉱石から銀をとりだす精錬には、おもにシアン化法(青化法)がつかわれる。鉱石をくだいてシアン化ナトリウムなどのシアン化物水溶液とまぜ、鉱石中の銀をとけこませる。この溶液に金属亜鉛やアルミニウムをひたし、表面に銀を析出させる。鉱石からえられた不純物の多い粗製の銀は、電解(→ 電気化学)などによって精錬される。
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