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旧石器時代(→ 石器時代)の絵画がのこされた洞窟遺跡。スペインのカンタブリア県サンタンデルの西約30kmのサンティヤナ・デル・マール村にある。フランスのラスコーとともに、先史時代の壁画のある洞窟として世界的に有名である。→ 旧石器時代美術
洞窟は約270mの長さがあり、少なくとも930の壁画がのこるといわれる。絵は壁面や天井に描かれ、おもにバイソン、シカ、ウマ、イノシシなどの動物で、最大のものは長さが2.2mある。 とくに、入り口から30mほどの所にある「大広間」とよばれる部屋の天井に描かれた絵は圧倒的な迫力をもつ。赤や黒、褐色などの色をもちいたバイソンなどの動物の群れが、長さ18m、幅9mにわたって細部まで写実的に表現されている。バイソンの頭や腹、尻などの体の部分が岩の隆起をうまく利用した立体感あふれる表現で、これまでに発見された旧石器時代の洞窟壁画の中でも最高水準にあるといわれる。 のちに「旧石器時代のシスティナ礼拝堂」と称賛されるようになり、ヨーロッパでもっともうつくしく、規模の大きな壁画と考えられた。
洞窟が最初に発見されたのは1879年で、地元の弁護士サウストゥオラが、5歳の娘マリアとともに洞窟にはいり、娘のマリアが天井にある壁画をみつけたといわれている。サウストゥオラはさらに洞窟の奥にすすみ、いくつもの絵をみつけた。翌年、サウストゥオラは考古学会でこの発見を報告したが、旧石器時代の絵とする彼の主張は学者たちにうけいれられなかった。 その後、フランス南部やスペイン北部で洞窟壁画がいくつか発見され、発見から20年以上たった1902年、フランスの考古学者ブルイユなどの調査によって、旧石器時代の絵とみとめられた。
洞窟はその後の調査で、オーリニャック文化期(3万5000年前~2万7000年前)にはすでに人間がすんでいたといわれ、ソリュートレ文化期(2万年前~1万7000年前)やマドレーヌ文化期(1万7000年前~1万2000年前)の地層からも石器やシカの骨がみつかっている。 洞窟の天井が一部くずれたことが原因で、壁画のある部屋にはいることができなくなり、19世紀後半に発見されるまでそのままの状態でのこされることになった。壁画の描かれた年代はいくつかの時期にわけられるが、「大広間」の絵はマドレーヌ文化期のものとされ、1万3000年前ごろのものと考えられている。 なぜ洞窟内にこのような絵が描かれたかについては、狩猟のための呪術(じゅじゅつ)的な意味があったとも、動物の繁殖をねがったともいわれるが、はっきりしていない。洞窟は約70年間にわたり一般公開されていたが、二酸化炭素や照明などによって壁画の損傷がすすみ、1977年からは中止されている。 → クロマニョン人
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