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中枢神経系の働きにかかせない神経伝達物質。アドレナリン、ノルアドレナリンとともに生理活性アミン(→ アミン)のカテコールアミンとよばれる。ドーパミンはひとつの神経細胞(ニューロン)から隣のニューロンへつたえられ(→ 神経回路網)、脳の働きを調節している。ドーパミンが作用するニューロンを、ドーパミン作動性神経という。ドーパミン作動性神経にはドーパミン系という2つの系列がある。1つは中脳の黒質にある細胞体から大脳基底核の線条体にかけての経路、もう1つは中脳の腹側被蓋(ふくそくひがい)から前脳基底核の中核側座核あるいは大脳皮質の辺縁系にかけての経路である。主として、前者は運動を、後者は感情の働きに関係している。 ドーパミンは、L–ドーパという前駆体からつくられる。L–ドーパは、肝臓でチロシンというアミノ酸からつくられ、血流にのって脳のニューロンに達し、ここでドーパミンにかえられる。
ドーパミンはひじょうに活動の幅の広い神経伝達物質であるが、中枢神経系における2つの活動が重要である。1つは、体の運動にかかわる働き、もう1つは、感情にかかわる働きである。運動にかかわる場合は、ドーパミンは中脳黒質の細胞体から大脳線条体へおくられる。線条体では、骨格筋の細かい運動を調整している。感情にかかわる場合は、中脳の腹側被蓋からでる神経線維をとおる。大脳皮質では、感情、動機づけ、行動などのほか、嗅覚(きゅうかく)、自律神経(→ 自律神経系)、心拍や呼吸のように不随意の動きを調節する。
ドーパミンがつくられなくなると、さまざまな障害がおこる。なんらかの原因で黒質のニューロンが死んでしまうと、L–ドーパからドーパミンがつくられなくなり、ニューロン間の伝達がうまくいかなくなる。その結果、手足に震えがおこり、全身の動作が緩慢になったり歩行困難になる。これがパーキンソン病である。治療にはL–ドーパがもちいられる。L–ドーパはのこったニューロンでドーパミンにかわる。 反対に、ドーパミンがふえすぎた状態も異常である。ハンチントン舞踏病(→ 舞踏病)は、ドーパミンが過剰になって大脳基底核の一部が変性するために体の動きが異常になるだけでなく、大脳皮質がおかされるために、精神障害が生じる。突然居眠りにおそわれるナルコレプシーは、ドーパミンとアセチルコリンの両方がふえすぎたためにおこると考えられている。 ドーパミンの量に異常がなくても、ドーパミン受容体の反応が過敏になると、ドーパミンがふえたのと同じような状態になる。統合失調症はこのドーパミンの過剰や活動の増進によって発病するのではないかという説がある。ドーパミンの働きをおさえる薬を投与すると、症状が軽くなる。→ 向精神薬 ところで、アルコールやニコチン、あるいはコカイン(→ 興奮薬)などの麻薬中毒患者をしらべてみると、大脳皮質にドーパミンが少ないことがわかった。アルコールや麻薬を大量に摂取したり連続して摂取すると、たのしい気分になる。これは、アルコールやドラッグがドーパミンの量をふやすせいではないかと考えられる。
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