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土星の大きな衛星。ティタンはギリシャ語読みで、英語読みではタイタン。ティタンは土星からおよそ122万kmの軌道にあり、地球の日数でかぞえておよそ16日で1周している。軌道は土星の赤道面に平行で、ほぼ円形をしている。ティタンは、1655年にオランダの天文学者クリスチャン・ホイヘンスにより、土星の衛星としてはじめて発見された。名前は、ギリシャ神話に登場する巨人族ティタンに由来する。 ティタンは球形で、直径およそ5150kmあり、木星の衛星ガニメデについで、太陽系では2番目に大きな衛星である。ティタンは惑星である水星(直径4880km)や準惑星の冥王星(2390km)よりも大きい。ティタンの平均密度は高く、科学者は、ティタンは氷におおわれた直径約3400kmの岩石の核をもっていると考えている。この核はおそらく所々とけた状態になっていると思われる。 ティタンは窒素化合物でできた厚いオレンジ色の靄(もや)でおおわれているため、アメリカの惑星探査機のパイオニア11号(1979年)やボイジャー1号(1980年)、同2号(1981年)は、ティタンの地表面の詳細な画像をとらえることができなかった。そのため、NASA(アメリカ航空宇宙局)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)は共同で、カッシーニ=ホイヘンス・ミッション(計画)を実行。2005年1月14日にESAが製作した小型探査機ホイヘンスが、ティタンに軟着陸に成功した。その後も、カッシーニはティタンにフライバイ(最接近)しながら、観測を継続中である。
ティタンは太陽から遠くはなれているため、表面温度はおよそ-180°Cしかない。2005年3月に、探査機カッシーニにより同じ土星の衛星エンケラドゥスにも大気の存在がみとめられるまでは、太陽系の衛星で唯一大気の存在が確認されていた衛星だった。気圧は地球の約1.5倍程度。大気は地球よりも60%ほど密度が高く、その組成は95%が窒素で、3%程度のメタンやエタンと、きわめてわずかなアルゴン、シアン化水素、二酸化炭素などがふくまれている。 ホイヘンスの観測データの解析結果から、ティタンの雲には2つの層があり、高度20~30kmの層はこおったメタンの粒でできた雲で、下方の高度10km付近の層は液体メタンをふくむ雲であることがわかった。そして、地球における水の循環と同じように、ティタンではメタンの雨が地表にふりそそぎ、河川となってながれ海にそそぎこみ、蒸発してまた新たな雲を形成しているらしい。事実、ティタン表面に降下中のホイヘンスは、河川や海とみられる地形や、河川の浸食作用と思われる地形を撮影している。着陸地点の周辺では炭化水素の塊のようなものが存在することや、着陸時の熱によりメタンが噴出したことなどがスペクトル測定やガスクロマトグラフィー(→ クロマトグラフィー)による分析で確認されている。こうしたティタンの大気組成は原始地球と似ているといわれ、地球での大気形成の過程解明や、メタンから有機物が合成されるようすもわかるのではと、期待されている。
惑星探査機カッシーニの観測により、ティタンの地形に関する情報も多くえられている。その結果、ティタンの地表は、地球と同じく風やメタンの川による浸食、水の氷やアンモニアをふきだす火山活動によって形成されているらしい。2006年には北極地方で多くの湖も発見されているほか、150kmにわたりつづく山脈や砂丘、溶岩が流れた跡のような堆積物(たいせきぶつ)も観測されている。07年には北極地方でこれまででは最大の液体メタンでできた海もみつかっている。
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