| 稲作 | 項目ビュー | ||||
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| IV. | アジアモンスーン風土と米 |
| 1. | 自給のための栽培 |
米は生産量では三大穀物に入るが、総生産量に対する貿易量の割合でみると格段に小さい。コムギやトウモロコシが、おもに販売や輸出という商業目的で生産される傾向が強いのに対し、米はアジアを中心に自給目的の生産が中心となっているのである。
| 2. | 米の重み |
イネが湿潤な気候をこのむ作物であるために、米はアジア、とくにアジアモンスーン地帯で多く生産、消費され、世界の米食民族も大部分が日本など東アジアや東南アジアに集中している。世界の米生産の90%以上がアジアに集中しており、同時に、アジアで生産される穀物の大部分は米となっている。
もちろん、欧米諸国においてもスペイン、イタリア、アメリカ合衆国などではわずかながら水田が存在し、稲作がおこなわれているが、日本やアジアの諸国では水田が圧倒的に多く、比較にならないほどの重要性をもっている。日本の歴史においては、これまで水田としてつかえる土地はすべて水田として開墾され、それが不可能な所だけが畑地としてつかわれてきたといえるほどである。
| 3. | 乾田と湿田 |
ところで、水田は、その状態や機能によって、次のように分類される。必要に応じてじゅうぶんに排水できる水田は乾田であり、これに対して、排水困難で常時水をたたえた湛水(たんすい)の状態にある水田を湿田という。さらに、河川、池沼や地下水などを水源として、灌漑施設によって灌水される水田を灌水田という。また、灌水施設を欠き、もっぱら天水をあつめて水稲栽培に利用する水田を天水田という。
| 4. | 湛水栽培 |
イネ(水稲)は、湛水条件で栽培される唯一の穀物で、生産力が高く、しかも安定している。これはイネそのものの優秀性のほかに、水田土壌が肥沃(ひよく)であることに由来する。アジア稲作地帯の人口密度の高さは、イネの高い生産性と安定性にささえられて生じたものである。
水田は、土壌有機物が分解されにくい、土壌の酸化還元電位(pH)が中性近くにたもたれる、土壌中のリン酸がイネに利用されやすい形態となる、イネが吸収するかなりの量の無機養分が灌漑水から供給される、雑草の発生が抑制される、などの特徴をもつ。これらは、いずれも水田が水を湛(たた)えることからくる特性である。
さらに、湛水下では有害な微生物センチュウが死滅し、有害物質もあらいながしてくれる。そのため、イネは同一の場所で何年もつくりつづけること(連作)ができる。同じイネでも、陸稲を同じ畑で2~3年もつくりつづけると、連作障害をおこし、収量はいちじるしく減少してくる。
一般に植物は、湛水条件では根が酸素不足となり生育できないが、水生植物であるイネは、酸素を地上部から根へ供給することのできる通気組織をもっているため、湛水条件でも生育が可能なのである。
| 5. | 表作と裏作 |
日本の水田においては、昭和40年代ごろまでは、夏季に水稲をつくった後、冬季には可能なかぎりムギ、ナタネ、野菜、牧草などが栽培されてきた。これらの水田の冬作物を裏作といい、夏作のイネは表作とよばれる。また、表作の水稲作の後につづいて裏作がつくられる水田は二毛作田であり、表作だけしか作付けされないものは一毛作田とよばれる。