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| IV. | 片仮名 |
片仮名は、漢字の偏やつくりなど、一部だけをとってつくられた音節文字である。片仮名の「片」には、漢字よりも不完全な文字という意味があるものと考えられている。9世紀ごろから、漢文を訓読するための覚え書きとして、漢文の行間に万葉仮名で漢字の読み方などをしるすようになり、この万葉仮名の字画を省略してつくられたのが片仮名である。たとえば、「イ」は「伊」の偏を、「エ」は「江」のつくりを、「ナ」は「奈」の上の部分をとってつくられている。
平仮名とちがって、片仮名の字体は成立当初には統一がなかった。しかし、片仮名が一般にもちいられるようになるにつれて、字体がしだいに統一されるようになり、室町時代には現在とほぼ同じ形になった。
平仮名が文学性をもとめる文章にもちいられる文字だったのに対し、片仮名は漢文訓読などの実用性を中心においた文字であった。このため、平仮名における変体仮名のような多様な字体が発達せず、書道でうつくしい字体をもとめるということも、片仮名に関してはおこなわれなかった。文学作品でも、片仮名をつかって書かれているのは、「今昔物語」のような素朴な文体で書かれたものにかぎられる。