| 炭素繊維 | 項目ビュー | ||||
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| II. | 炭素繊維の製法 |
一般的な製造方法は、炭素を大量にふくんでいる材料を繊維状に成形してから高温にして炭素の含有量を高くする。炭素繊維の製造法には、大きく分類すると、炭素の成分量を増加させる方法からは、固相炭素化、液相炭素化、気相炭素化の3種類があり、原料を中心に分類すると、繊維系、ピッチ系、炭化水素ガスの3種類になる。
| 1. | PAN系 |
もっともよくつかわれる原料は、ポリアクリロニトリル(PAN)というもので、セーターや毛布、カーペットにつかわれる繊維である。ほかにレーヨンやセルロースなどの繊維もつかわれる。炭素化するには、空気中で200~400°Cで熱して、酸化と架橋反応によって炭素の含有量が90~95%の繊維をつくり、さらに窒素などの不活性ガスの中で1000~1500°Cの高温にすると、炭素の含有量がさらに増大する。
| 2. | ピッチ系 |
ピッチは石油の揮発しにくい成分やコールタールからとる原料で、揮発しにくくゴムのように粘性があって、大量の炭素をふくむ。この物質を適度に加熱して流動性をもたせて、糸のように成形したものを高温で処理して繊維にする。一般には、PAN系と比較して強度は低いが、原料が安価で大量に利用できるという利点がある。そのため、コンクリートなどに混入して複合材料とし、建築用などに利用される。
ピッチ系炭素繊維には、等方性とメソフェーズの2種類がある。等方性というのは、炭素原子の配列が長さ方向と半径方向で大きな違いがない状態のもの。メソフェーズという意味は、2つの相ということで、成形する前の液体に近い流動性がある状態で一定程度規則正しく原子が配列されていることをいう。液体と結晶の中間的な原子配列であるため、一種の液晶とも考えられる。メソフェーズ系のピッチから製造される炭素繊維は、長さ方向にはしっかりと原子がならんで引っ張り強度が高くなり、断面には木材が乾燥したときにできる割れのように放射状の隙間がある。
| 3. | 気相成長 |
ガスから固体の結晶を製造する工程を一般に気相成長という。炭素繊維を気相成長で製造するには、ガス化したベンゼンやメタンを鉄の微粒子などを触媒につかって高温で熱分解して、炭素の粒子をつくる。温度、ガス濃度、触媒などの条件を調節すると、直径が15~800nm(ナノメートル:10億分の1m)の炭素粒子ができる。→ CVD
気相成長による炭素繊維の製造は、製造単価が高く、長繊維をつくれないという欠点はあるが、炭素原子の配列や結晶粒子の状態を精密に制御できる利点がある。そのため、ほかの方法では簡単に製造できない高性能の材料ができる。