茶の湯
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茶の湯
II. 茶の湯の楽しみ

日本では家庭でも会社でも、たずねてきた人に、まずお茶を出す。お客をあたたかくむかえることは、一杯のお茶からはじまるといってよい。この一杯のお茶の効果を最大限に生かすように、さまざまな美的要素をそそぎこみ、日本のもてなしの文化として体系化したのが茶の湯である。

茶の湯にはさまざまな作法や道具の約束、行動の型がきまっていて、たいへん儀礼的にみえるけれど、それは目的へ到達するための手段なのである。その中に身をおいてみると、自然に五感のすべてがじゅうぶんに活動し、心身ともに、こころよくなるようにはこばれていく。茶の湯での五感の楽しみとは、視覚をたのしませる道具の美術工芸、手に感じる茶碗(ちゃわん)のぬくもりや唇に感じるやわらかさといった触覚、料理や茶の味覚のたのしさ、嗅覚(きゅうかく)は茶室にたちのぼる香のかおり、聴覚をみたす水をくみあげる音や銅鑼(どら)のやわらかな響き、さらに道具やその取り合わせにこめられた亭主の心を読み解く知的な楽しみもつけくわわる。このように五感を総動員して、茶の湯の集大成である茶会はすすめられる。

茶の湯のもてなしは、ただ亭主が客をたのしませることだけを目的とするのではなく、亭主自身も同じように客からたのしませてもらうことが大切である。亭主と客がたがいにもてなしあうことで、つまり両者の共同作業によって茶会がすすむところに茶の湯の楽しみがある。