土器
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土器
II. 土器の起源

土器がつくられる以前を先土器時代というが、そのような時代にも、大型の木の実の殻(から)や大型鳥の卵殻、獣皮の皮袋や胃袋などを利用して多様な容器がつくられていた。樹皮や蔓(つる)や草をあんだ、さまざまな形と文様の籠類も発達していた。細かくあんだ籠の内側に粘土をぬりこめると、水もれしにくい容器ができる。それが火事で焼け、偶然に土器が発明されたという説もある。チェコでは2万7000年前の遺跡から、地母神像(土偶)やそれを焼いた炉(窯)の跡が出土し、粘土でつくられたぶあつい炉壁は土器のように焼きしまっていたという。

土器の発明によって、はじめてやわらかい食物とスープが生まれ、いくつもの素材のうまみがとけあう「味覚の革命」がおこったという説がある。しかし、先土器時代にも岩のくぼみや皮袋に水と食物をいれ、焼け石をほうりこんで沸騰させる調理法はあった。むしろこうした単発的な煮炊きの経験によってやわらかい肉やおいしいスープの味を知っていた人類が、いつでも食べられるように工夫を重ね、ついには土器を発明したと考えたほうが矛盾はない。

長い間、土器は世界各地の古代文明の発祥地でほぼ同時に発生したと考えられていた。しかし、日本列島の各地やロシアの沿海州、アムール川下流域、中国黒竜江省などから1万2000年以上も前の世界でもっとも古い土器が次々に出土し、土器の起源が東アジア東北部らしいことがわかってきた。今後、他の地域からさらに古い時代の土器が出る可能性もないとはいえないが、縄文土器は世界史上もっともはやく出現したもののひとつであり、その造形の確かさ、表現の豊かさ、力強さにおいて、世界に誇りうる美の宝であることはまちがいないだろう。