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製鋼
I. プロローグ

製鉄所の高炉で生産される鉄は、銑鉄とよばれ、大量の炭素をふくんでいて、そのまま鋳造の原料にはなるが、もろい製品しかできない。そこで炭素の含有量をさげ、靭性(じんせい:粘り強さ)や強度を高くするのが製鋼という工程である。製鉄

一般には酸素で炭素を燃焼させて含有量をさげるが、本質的にはどのような方法で銑鉄から鋼を製造するにしても、鉄の中の過剰な炭素などの不純物を除去するのは同じである。

II. 鉄鋼材料の分類

ふつう鉄というときは、元素としてのFeをさすこともあれば、さまざまな鉄鋼材料の場合もある。鉄と炭素との合金は、大きく鋳鉄(銑鉄)、錬鉄(鍛鉄)、鋼などに分類される。工業的に分類するときは、炭素含有量を基準にして、鋳鉄は1.7~6.9%だが、実用では2.5~4.5%の範囲のものがつかわれ、鋼は0.035~1.7%、錬鉄は0~0.1%、鋳鋼は0.15~0.50%である。

純度の高い鉄は、針金につかわれるように、簡単に変形することができる。鋼は、「はがね」とも読むように、鍛造や焼入れによってかたくなるため、昔はおもに刃物の材料につかわれた。鋳鉄は、その名のとおり、鋳造で鋳物をつくる材料になるもので、かたくてもろいが、錬鉄や鋼の融点1400°C程度に対し1130°C前後と低く、鋳型で成形するには適している。

1. 鋼の分類

炭素だけをふくんでいる鋼は、とくに炭素鋼といい、マンガン、ニッケル、タングステン、コバルト、バナジウム、アルミニウムなどの元素がくわわったものを合金鋼、比較的純度の高い鉄に炭素以外の元素がくわえられているものを合金鉄という。炭素以外の元素を大量にふくむ鉄系の合金は、全体をフェロアロイといい、フェロクロム(クロム)、フェロシリコン(ケイ素)など主要にくわえられる元素の名前がつけられる。

そのほかに、製鋼の方法によって、転炉鋼、平炉鋼、用途によって工具鋼、構造用鋼、脱酸の方法によってつくるリムド鋼、キルド鋼などというように、多数の分類方法がある。

III. 平炉法

製鋼のむずかしさのひとつに、鋼の融点が約1400°Cと高いため、通常の燃料や炉材を使用できないことがある。この困難を克服するために開発されたのが平炉である。1856年に開発されて普及したが、日本では1960年代に姿をけした。

平炉は炉内の燃焼につかわれる燃料ガスと、空気を予熱する蓄熱法により、一定の高温で運転できる。蓄熱法では、炉から放出される燃焼ガスは、大量の煉瓦(れんが)をつみあげた一連の蓄熱室におくられ、もっている熱をほとんど煉瓦にあたえる。つづいて炉内の燃料気体の流れが逆転し、燃料と空気が蓄熱室をとおり煉瓦によって熱せられる。この方法により平炉を1650°Cの高温にすることも可能である。

1. 平炉の構造

平炉は、たとえば約6×10mの耐火煉瓦でつくられ、長方形で水平の炉床と約2.5mの高さの屋根でできている。炉床の前には一連の出入口があり、そこから炉床の前の燃焼室へ通じている。炉床と燃焼室全体は地上におかれ、炉床の下の空間は蓄熱室になっている。この規模の平炉では、11時間ごとに約100tの鋼を生産する。

2. 平炉の操業

平炉には、融解した状態か冷却した銑鉄、屑鉄(くずてつ)のほかに、酸素を補給するため鉄鉱石を混合して装入する。これに溶剤(フラックス)として石灰石(石灰岩)、鋼滓(こうさい:スラグ)をながれやすくするため蛍石がくわえられる。装入する原料の割合には大きな差があるが、標準的な混合物の例では、屑鉄57t(トン)、冷却銑鉄11t、溶解した銑鉄45t、石灰石11t、鉄鉱石0.9t、蛍石0.2tなどである。炉に原料が入ると、燃料ガスに点火し、蓄熱のために、技師が炎の方向を逆転させ、炎を炉床の上で前後させる。

3. 平炉の作用

平炉の機能は、酸化によって原料の炭素含有量をへらし、石灰石と反応してスラグを生成するケイ素、リン、マンガン、硫黄のような不純物を除去することにある。このような反応は、炉内の金属が融点に達しているときにおこる。融解した金属の炭素含有量が目標値に達するまで、炉内の温度は数時間にわたって1540~1650°Cに維持される。

4. 平炉での成分調整

かつては熟練した平炉技師が、溶鋼の状態を観察して、ほぼ正確に炭素含有量を判断していたが、正確に溶鋼の成分を判定するには、炉から少量の金属をとりだし、冷却して物理的検査や化学分析にかける。

溶鋼の炭素含有量が目標値に達すると、炉の後方に出鋼口をあける。溶鋼は短い導管から、炉の下方にすえられた大きな取鍋(とりべ、または、とりなべ)へとながれる。この取鍋から鋳鉄製の鋳型に注入され、長さが約1.5m、断面が50cm角程度の鋼塊になる。鋼塊は、鉄鋼製品の原料となるが、造塊工程をへずに連続して鋼を製造する連続鋳造法が普及している。

5. 反射炉

反射炉は、平炉の1種で、耐火煉瓦でつくられた溶解と精錬用の炉。初期のものは、浅く広い炉床の上にアーチ型の天井がある。高温の燃焼ガスと空気を炉の端からふきこんで燃焼させ、天井からの輻射熱(ふくしゃねつ)と火炎の熱で材料を溶解する。鋼の生産のほか銅などの精錬にもつかわれる。

幕末期には、おもに大砲製造用に各地に反射炉が建設された。伊豆韮山(伊豆の国市)の代官江川太郎左衛門が建設にあたったもの、大島高任が水戸藩などで製作したものなどは有名である。

IV. 転炉

19世紀後半に開発されたベッセマー法では、ベッセマー転炉という西洋ナシ形の高い炉を使用する。この転炉は、横にかたむけ、湯飲みからそそぐようにして溶解した鋼を出し入れする。回転するので転炉だという誤解があるが、転炉の意味は、転換炉すなわち銑を鋼に転換するということである。ベッセマー

1. LD法

LD法でもベッセマー法と同じ形の転炉をつかう。しかし、空気ではなく、高純度酸素を高圧で上部からふきこむ。炉に溶銑がいれられ、炉が直立の姿勢にもどると、水で冷却されたランス(酸素槍)が炉内におろされる。ランスの先端は原料から約2mの位置にあるが、原料と先端の距離は、必要に応じて調整される。この先端から大量の酸素を高速で炉内にふきこみ、高温で撹拌し、炭素やほかの不純物を酸化して銑鉄を鋼にかえる。炉の上部から純酸素をふきこむので、純酸素上吹転炉ともいう。

LD転炉は、1952年にオーストリアのフェスト社のリンツLinz工場で最初の商用炉が、翌53年にオーストリアのエアムク社のドナビツDonawitz工場で2号商用炉が稼働したため、2つの工場の頭文字をとってこの名がつけられた。この精錬工程に要する時間は50分以内で、1時間で約300tの鋼が製造できる。

1970年代になると、攪拌力(かくはんりょく)を強めるために炉の底部から酸素をふきこむ純酸素底吹転炉が開発された。純酸素底吹転炉では溶銑の上部の温度があがりにくいなどの欠点があったため、80年代には純酸素上底吹転炉が開発され、普及した。

V. 電炉

炉によっては、火力ではなく電気で鉄を融解し精錬する。このような炉は、電気炉あるいは略して電炉という。精錬状態を厳密に調整でき、不純物が混入しにくいので、ステンレス鋼や精密な成分調整を要する合金鋼の製造に真価を発揮している。

電気炉の種類には、抵抗体に電気をながして発熱させるもの、電極と原料の間にアークをとばして発熱させるもの、電磁誘導をつかうものがある。

近年の精錬作業は、温度などの条件がコンピューターで自動的に管理され、気密性の高い炉でおこなわれる。工程の初期には、高純度の酸素がランスから注入され、炉内の温度を上昇させ鋼の精製に要する時間を短縮する。炉内に注入される酸素量は、常に厳密に制御されているので、不要な酸化反応をおさえることができる。

ふつうは電気炉の装入物の大部分は屑鉄で、使用前に成分分析したうえで分類する。これは、屑鉄中の成分が鋼の性質を左右するからである。屑鉄内の炭素などの不純物の除去を促進するため、少量の鉄鉱石と乾燥した石灰などもくわえられる。

1. アーク炉

炉に原料が装入されると、電極が原料の表面近くにさがり、電極から原料にアーク放電し、その金属をとおって次の電極に放電する。その際に原料内の電気抵抗によって熱が発生する。この熱は非常に高温で、急速に金属を溶解する。

2. 高周波誘導炉

別名で高周波溶解炉といい、コイルの中に原料をおいて、中空コイルに高周波電流をながし、コイルの内側においた導電体の原料に渦電流を発生させて加熱する。短時間で高温になり、熱効率も高いが、高周波の電源、コイルの冷却装置、異常放電の防護設備などが必要で、大量に金属を溶解するのはコストがかかる。そのため、金属の研究用に真空炉にしてつかったり、高級な材料の製造につかうことが多い。

VI. 鋼の種類

鋼は、(1)炭素鋼、(2)合金鋼、(3)高強度低合金鋼(HSLA鋼)、(4)ステンレス鋼、(5)工具鋼の主要な5種類に分類される。

1. 炭素鋼

鋼の90%以上は炭素鋼である。炭素鋼の炭素含有量には幅があるが、ほかの元素の含有量はマンガンが1.65%、ケイ素が0.60%、銅が0.60%未満である。機械や自動車の車体、建築用鋼材の大部分、船舶の船体、ばね、ヘアピンなどが炭素鋼の製品である。

2. 合金鋼

合金鋼の成分は特殊で、通常の炭素鋼よりマンガン、ケイ素、銅の含有量が高いだけでなく、一定量のニッケル、クロム、バナジウム、モリブデンなどがふくまれている。主要な成分によって、ケイ素鋼、クロム・モリブデン鋼、高マンガン鋼などという名称があたえられる。自動車の歯車や車軸、ローラースケート、食卓用ナイフなど、耐摩耗性が必要なところにつかう。

3. 高強度低合金鋼(HSLA鋼)

HSLA(High Strength Low Alloyed)鋼は、主要5グループの中でもっとも新しい製品である。HSLA鋼は、少量のニオブやバナジウムなどを添加した鋼で、高価格の元素がきわめて少ないため、通常の合金鋼より低価格である。しかし、特殊な処理がほどこされているため、炭素量が同じ炭素鋼より、強度ははるかに高くなっている。

たとえば、HSLA鋼製の貨車の壁は、同じ強度の炭素鋼製の貨車の壁よりうすく、その分だけより多くの貨物を輸送できる。また、HSLA鋼製の貨車は、通常の貨車より軽量なので、これを牽引(けんいん)する機関車の負担が軽くなる。現在ひじょうに多くの建物が、枠組みにHSLA鋼を使用している。HSLA鋼製の大梁(おおばり)は、強度を低下させずに細くできるので、事務所や貸室にあてるスペースが広くなるからである。

4. ステンレス鋼

クロム、ニッケルなどの元素を添加した鋼はステンレス鋼とよばれ、湿気、酸、ガスなどの腐食作用に対して強い。

5. 工具鋼

工具鋼からは多くの種類の工具や、さまざまな製造作業に使用する機械類の切断部品や、研削部品がつくられている。工具鋼にはタングステン、モリブデンなどの元素がふくまれ、高い強度と硬度、耐久性がある。工作機械では加工しにくいので、放電加工などの方法で成形する。

VII. 鋼の熱処理

前1000年ごろの古代ギリシャ人は、すでに、熱処理によって鉄製の武器を焼入れするという、当時としての先端技術をもっていた。

1. 鋼の組織

純粋な鉄には、a鉄、g鉄、δ鉄の3種類の同素体がある。a鉄は常温で安定で、ほとんど炭素をとかさない。g鉄は900~1392°Cで安定で、最大2.1%まで炭素をとかすことができる。1392°Cをこえる温度ではδ鉄となる。

各温度での鋼や合金鋼の物理的特性は、おもに炭素含有量と炭素の分散によってきまる。鉱物と同じように金属でも、構成している元素と結晶の構造によって分類され、顕微鏡などで観察される構造を金属の組織という。金属組織学

熱処理する前の鋼のほとんどは、フェライト、パーライト、セメンタイトという3つの組織の混合物である。これらは、鉄と炭素との合金だが、それぞれ性質がちがい、安定して存在できる温度もことなる。

1.A. フェライト

フェライトは、a鉄の組織で、ごく微量の炭素しかとかさず、クロム、モリブデン、タングステンなどの元素は、多量にとかす。炭素鋼の中では、ほとんど純鉄に近い状態で存在し、やわらかくて延性がある。

1.B. セメンタイト

セメンタイトは高温の鋼の中で生成し、化学式Fe3Cでしめされ、炭素を6.7%ふくむ。210°C以下では強磁性(強磁性体)をしめす、灰白色の組織である。延性にとぼしくかたくガラスのようにもろい。熱していくと炭素と鉄とが分離していく。

1.C. オーステナイト

オーステナイトは鋼の中にみられる組織で、g鉄に1.7%以下の炭素などの元素がとけたものである。炭素鋼では、725°C以上の温度で安定して存在している。ニッケル、マンガンなどをふくむ鋼では常温でも存在し、やわらかくてねばり強い。

1.D. パーライト

パーライトは、鋳鉄と鋼にみられる組織で、フェライトとセメンタイトが層状になったものである。オーステナイトをゆっくりと冷却していき、727°Cでフェライトとセメンタイトが同時に結晶になった共析晶で、0.85%の炭素をふくむ。斜めから光線をあてると、真珠(パール)のようにかがやいてみえるのでパーライトという。フェライトよりもかたく、セメンタイトより延性にとむ。

1.E. マルテンサイト

オーステナイトを急速に冷却すると、針状のきわめてかたい組織ができるが、これをマルテンサイトという。元素の成分はオーステナイトと同じだが、原子の配置が連続して変化することで硬度が増加する。この組織を加熱していくと、セメンタイトとフェライトにかわる。

2. 熱による鋼の変態

鋼を加熱すると、フェライトとパーライトはオーステナイトに変化する。オーステナイトには、鋼の中で遊離した炭素を溶解する性質がある。鋼をゆっくり冷却すると、オーステナイトはフェライトとパーライトにもどるが、急速に冷却すると高温で安定な組成がそのまま凍結されて、原子の配置がずれたマルテンサイトに変化する。

熱処理によって鋼を硬化する工程は、古くからの言葉では焼入れという。鋼をオーステナイトの生成温度である750~800°C程度に加熱し、水や油につけて急速に冷却すると、マルテンサイトを生成する。この処理で大きな内部応力(応力)による変形がおこるが、鋼を低温で再加熱する焼戻しや焼なましによって、応力を減少できる。焼戻しすると、マルテンサイトの一部はセメンタイトとフェライトになり、硬度と強度は低くなるが延性とねばりは増加する。

熱処理工程の目的は、フェライトの中のセメンタイト粒子の量、大きさ、形、分布を調整して、鋼の機械的な特性を向上させることにある。

3. 熱処理の改善

基本の熱処理をつかって、多くの工程が実用化されている。冶金学者は、オーステナイトからマルテンサイトへの変化が、冷却工程の後半でおこることや、この変化につづいておこる体積の変化により、急激に冷却した場合は、金属にひびが入ることを発見した。とくに焼入れでは、冷却する速度が材料の性質に大きな影響をあたえる。ひび割れを防止するため、これまでに3つの工程が開発されてきた。

タイム・クエンチング法は時間焼入れともいい、一定の温度にしてある焼入れ溶液に、熱した鋼を一定の時間ひたして焼入れをおこなう方法である。

マルテンパー法は、マルテンサイト時効(時効)ともいい、鋼を同じようにマルテンサイトが生成しはじめる温度よりやや高い温度にした冷却溶液にひたし、材料全体がほぼ同じ温度になってからとりだし、マルテンサイトが生成する温度まで空冷する。鋼がマルテンサイトを生成する温度は、組成によって約288°Cから室温までである。

オーステンパー法では、マルテンサイトを生じない温度で、組織の変化がおこる温度に維持されている金属か、塩の溶融液に鋼をいれ、その中で変化を完全に終了させてから最終冷却をする。

VIII. 鋼の成形

鋼は、棒、パイプ、鉄道のレール、H形鋼やI形鋼のように、いろいろな大きさや形の製品となって市場で販売されている。製鋼につづく工程では、加熱した鋼塊を圧延などにより要求された形に成形し、熱処理や表面をガルバナイジングして製品とする。鋼の仕上げ加工は、その結晶構造を緻密にし、均質化し、硬度を高くするなど、品質を向上させる目的でもおこなわれる。

1. 圧延

次の圧延工程では、連続鋳造法が導入されていない場合、鋼塊が最初にとおる機械は一般に分塊圧延機(ブルーミング・ミル)である。連続鋳造法が導入されている場合は、この分塊圧延工程が省略されて、製鋼から直接、圧延工程へおくられる。圧延工程におくられる材料は、断面が長方形で大きく、鋼板の材料となるスラブ、断面がスラブより小型で正方形に近く形鋼(かたこう)などの材料となるブルームなどとよばれる。

1.A. 厚板の圧延

鋼を加工する基本工程は熱間圧延で、スラブは均熱炉とよばれる炉で加熱し、上下対の金属ローラーの間をとおり、鋼がひきのばされてうすくなるにつれて、上下のローラーの間隔を狭くして、規格の大きさと形に圧延する。

1.B. 薄板の熱間圧延

自動車など現代の製造業は大量の薄板鋼板を必要としている。連続圧延機は、熱間圧延によって迅速に薄鋼板を製造する。厚さ11cm以上の高温のスラブが連続圧延機にかけられると、しだいにうすくなり、目的とする厚さになる。

連続圧延機には酸化物除去装置、鋼板が機械の末端に達したとき、自動的にまきあげる装置をふくむ多くの付属装置がついている。

1.C. 冷間圧延

鋼が高温のうちに圧延するほうが加工しやすいが、冷却してから圧延することもある。これを熱間圧延に対して、冷間圧延という。温度は金属組織が再結晶をおこす温度以下にする。冷間圧延の素材は、熱間圧延された薄板をもちいる。電磁石やモーターなどでつかう鋼板は、磁力線の方向に結晶が長くのびているほうが、強い磁力を出せる。そのため、冷間圧延で、結晶が圧延する方向に長くならぶようにする。また、自動車のボディーなど、プレス加工につかう鋼板も冷間圧延によるものが多い。

1.D. 形鋼の圧延

ブルームは、圧延機にかけられて、さまざまな断面をもつ製品にしあげられる。鉄道のレールやI形鋼、H形鋼、山形鋼のような建築用の鋼材は、圧延機のローラーに、もとめられた形になるよう溝がほってあるものやロールをくみあわせて使用する。

IX. 鋼材の成形

鋼板や鋼塊の状態から、用途に応じて、さまざまな形状の鉄鋼製品がつくられる。

1. パイプ

通常のパイプは、細長い鋼板を円筒形にまるめ、板の両端を溶接してつくられる。

接ぎ目のないシームレスパイプのような管は、かたい金属棒を、傾斜している1対のローラーの間にとおしてつくるなどの方法がある。ローラーの間には、マンドレルという先のとがった心棒がとりつけてあり、ローラーがパイプの外壁をつくると同時に、マンドレルが金属棒に孔(あな)をあけながら外側へ広げて内壁をつくるようになっている。

2. ブリキ

缶詰の容器などにつかうブリキ缶の成分は、99%以上が鋼である。熱間か冷間で圧延された鋼板を溶解したスズの中にくぐらせてめっきをかける場合と、電気めっきによるものがある。まきあげられた鋼板をゆっくりほどき、化学溶液の中にくぐらせる。同時に電流は、純粋なスズ片をとおって同じ溶液の中にながれ、ゆっくりとスズを分解し鋼の表面に付着させる。

自動販売機などでみるスチール缶の材料をつくるには、鋼板や鋼片は、めっきをかける前に2回目の冷間圧延をし、鋼板をかたくて極端にうすいものにする。鋼材がより少なくてすむため、結果的に重量が軽くなり材料費も節約できる。

ダイ:ガルバナイジング

3. 特殊な表面処理

鋼を硬化するために、熱処理とことなる表面処理もつかわれている。肌焼きという方法では、鋼片を炭素か窒素の化合物の中で加熱し、表面の硬度を極度に高める。炭素を材料の表面近くで高濃度にする方法は、ガス浸炭法(しんたんほう)といい、木炭(炭)やコークス、またはメタン、一酸化炭素のように炭素をふくむガスの中で鋼を長時間加熱する。

表面近くに窒素化合物を生成させる処理法を窒化といい、特殊な組成の鋼をアンモニアガスなどの中で加熱し、鉄と窒素との化合物をつくって硬化する。

シアン化法は、別名で青化法(せいかほう)とか薬焼きといい、赤熱した鋼にシアン化塩をふりかけたり、シアン化塩の溶液につけ、炭化物と窒化物の両方を生成させて硬化する。