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| IV. | 両眼視差 |
第3は両眼視差(Binocular Parallax)である。両眼は左右はなれているので、奥行きのある物体をみるときに、左右それぞれの目の網膜像はわずかなずれをしめす。これを視差という。これが頭の中で一つに融合するときに立体感(奥行き感)をもたらすのだという考えは、かなり昔からあった。この考えにもとづいてつくられたのがステレオスコープ(実体鏡)である。これは視差に応じて水平方向に少しずれた平面図形をこの実体鏡の左右の房にいれ、これを左房は左目で、右房は右目でみるようにすると、視野の中央に像がうきあがって立体的にみえるというものである。
この効果は実体鏡をもちいなくともつくりだすことができる。たとえば両目の位置に2台のカメラをおいてある人物の写真をとり、これを左目の位置のカメラの写真には青色をかけ、右目の位置のカメラの写真には赤色をかけて二重写しにやきつけ、それを左目が青、右目が赤のセロハンのはいった眼鏡でみると、その人物は背景からうきあがってみえる。これはとびだす写真としてかなり前から知られ、かつてはこの原理にもとづいたとびだす映画もつくられた。また、ほかの要因に影響されずに両眼視差だけによる立体視の効果をとりだそうとしてつくられたのが、最近話題のランダムドット・ステレオグラムである。このように、両眼視差は物の立体感の知覚にかなり重要な役割をはたしているが、奥行き知覚そのものにどれだけの寄与をしているかについてはまだ不明な点が多い。