亡命
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亡命
I. プロローグ

政治的、宗教的、人種的迫害の危険から、本国をのがれて他国にうつり保護をもとめること。亡とは逃、命とは名のことで、「名籍を脱して逃亡すること」が原意。20世紀にはいると大量に発生して国際機関による対処がもとめられるようになり、今日では難民問題としてあつかわれている(難民)。

英語のrefugeeは「亡命者」とも「難民」とも訳されるが、大量の場合を難民とし、単独の場合を亡命としたり、個々の事例における庇護の付与を亡命とするなど、扱いは多様で、移民、難民、亡命のおのおのを画然と区分けすることは困難である。

事実、国連の「難民の地位に関する条約」(難民条約)では、上記した政治的、宗教的、人種的迫害により本国をのがれている人々を難民としており、亡命との区別はない。また自然的、経済的理由で流出する人々を条約では難民の規定にいれておらず、その点からも亡命と難民は同一のものと理解される。ただ日本においては、これまで主として政治的亡命をさして亡命と考えられてきており、少人数がみずからの意志をもって他国に保護をもとめる場合をさしていた。この項ではそうした点をふまえ、歴史的に亡命の問題をあつかうことにする。

歴史的にみれば、亡命は否定的意味ばかりでなく、亡命者をうけいれた国がその亡命者の力によって社会的、文化的変容をとげるという積極的な面をもっていたことも、みのがせない点である。