| 検索ビュー | 茶道具 | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
茶の湯でもちいる道具には、古い時代に生まれたものから現代のものまで、多種多様のものがみられる。しかしいずれの時代においても、茶の道具はその時代の美術工芸の高い水準のもののうちからえらばれ、とくに千家流の茶道では、千家十職の名でよばれる茶の工芸を家業とする古い家筋によって、千利休以来の茶道具の伝統がまもられている。
茶道具はいわゆる鑑賞を目的とする美術品とは性格がちがう。茶道具は道具という言葉のとおり、使い方によって、生かされもするが、価値をうしなってしまうこともある。茶会(→ 茶事)の目的やほかの道具とのとりあわせ、あるいは季節などのタイミングなどに適した使い方がもとめられる点に茶道具の特徴がある。
| II. | 掛物 |
床の間にかざられ、当日の茶の湯の主旨・主題をしめすのが掛物である。掛物は茶室にかざられる道具の中でももっとも大切なもののひとつとされる。掛物の内容は多岐にわたるが、「絵画」と「書跡」の2つに大別できる。
茶室にかざられる絵画には墨絵(水墨画)と色絵がある。書跡には、中世以前の名筆による仮名書き、中国の高僧や日本の禅僧によって書かれた墨跡、江戸時代以降の代々の家元による書などがあげられる。中国の高僧による墨跡などは、筆者の徳をしのぶ心から、高貴な名物裂(めいぶつぎれ)をもちいて表装されることが多い。また絵に詩句などをくわえた「賛」(画賛ともいう)とよばれる墨書も多くみられる。また古く王朝時代末から伝来する和歌などの仮名書きは「古筆」とよばれ、著名な歌人・公卿などの名筆の手になるものが尊重される。
| III. | 釜と風炉 |
茶室では炭火によって釜(かま)に湯がわかされ、茶が点(た)てられる。茶によって客のもてなしをすることについて、「釜をかける」という慣用の言葉があるのは、道具としての釜の大切さをしめしている。
茶の湯では1年が「炉」と「風炉」の時期にわけられる。11月初旬の立冬から翌年5月初旬の立夏までの半年は、茶室の炉を開き、釜を畳の面より低い「炉」にかけて釜を煮たてる。また立夏のあと半年は「風炉」とよばれる火鉢に釜をかける。
一般に冬の時期は大ぶりの釜、夏の時期は比較的小ぶりの釜がもちいられる。また炉に釜をかけるときは、炉の上に「炉縁(ろぶち)」の名の木製の枠をつかい、これにも茶室の大小、時候に応じて種類は多い。また夏の時期にもちいる釜をかける「風炉」も種類は多く、鉄や唐金(からかね。青銅)の金属製のもの、土風炉とよぶ陶器に黒漆をぬったものなどがみられる。
| IV. | 花入 |
茶室の床の間には花を生けるため花入がもちいられる。花入は、床の間の上におかれる「置花入」、床の間の床柱の釘(くぎ)にかけられる「掛花入」のほか、床の間の天井からつってもちいる「釣花入」などの種類にわけられる。花入には金物(金属製)、焼物、竹、籠(かご)製などの各種がみられる。
金物では中国より移入された古銅とよばれる金属の花入が多くもちいられる。焼物の花入では青磁・白磁などの「石もの」とよばれるものや、伊賀焼や瀬戸焼など通常の陶器で「土もの」とよばれるものがある。
竹の花入には、一重切(いちじゅうぎり)とよばれる、花を生ける窓をひとつ開けたものがもっとも多くもちいられ、床にかけてつかわれる。二重切、三重切という長い掛花入もみられる。これら竹花入を床の間におくときは、丸香台(まるこうだい)とよぶ丸い板をしいてつかう。
また竹の花入は一般に茶人の自作とされる。みずから形をきめてみずから切るか、あるいは職人に切らせるのである。竹花入には、つくった茶人の手によって、花入の「銘」や「花押」が漆書で裏面に書きいれられることもある。
| V. | 茶碗 |
抹茶(まっちゃ)を客にすすめるのにもちいる茶碗(ちゃわん)はまことに多種多様である。なかでも楽茶碗(→ 楽焼)は千利休の意匠で、楽長次郎(らくちょうじろう)によって焼かれ、今日まで楽家代々により焼かれてきたものである。また利休の時代から「土風炉」(焼物の風炉)をつくってきた永楽家では、幕末の了全(1770~1841)より茶碗をつくりはじめ、次代の保全(1795~1854)は京焼の名工とされる。
京都の街中や京都郊外の窯で焼かれる陶器を「京焼」の名でよぶことは江戸初期にはじまった。野々村仁清、尾形乾山らの華麗な作品もこれにふくまれ、19世紀初頭に活躍した青木木米、仁阿弥道八(にんなみどうはち。1783~1855)、さらに先述の永楽保全へとひきつがれたのが京焼である。これら京焼以外の日本各地の窯で焼成されたものを国焼の名でよんでいる。この中には萩焼、唐津焼、瀬戸焼、美濃焼などがふくまれる。
以上のような日本で焼かれる焼物のすべてを「和物」の名でよび、「和物茶碗」の名で総称される。和物に対して、中国の産物を「唐物(からもの)」とよぶ。また、朝鮮半島で焼かれたものを高麗物(こうらいもの)といい、井戸茶碗などの高麗茶碗は茶の湯でひじょうに高い地位があたえられている。
「手づくり茶碗」もまた、茶の湯文化では一般的なもので、茶碗づくりの職人でなく、茶人や数寄者(すきしゃ)によってつくられたものをこの名でよぶ。千家歴代の家元が成型し、楽の窯で焼成されたものが多い。
| VI. | 茶器 |
抹茶をいれて茶席にもちだす道具を茶器と総称する。抹茶には濃茶(こいちゃ)と薄茶(うすちゃ)の2種類があるが、一般に濃茶をいれる器を茶入とよぶ。茶入は通常焼物でつくられ、象牙の蓋(ふた)をもつ。この茶入を袋にいれ、袋の上につけられた緒をむすぶ。袋は名物裂とよばれる、中国やさらに西方の外国から移入された織物でぬわれることが多い。薄茶をいれて茶席にもちだす器は薄茶器ともよび、これには多くの種類がある。代表的なものに棗(なつめ)がある。黒塗のもののほか、蒔絵をほどこしたものももちいられる。
| VII. | 茶杓(ちゃしゃく) |
抹茶をすくうのにもちいる匙(さじ)が茶杓である。竹、木、象牙など種類は多い。一般に竹の茶杓で、節が中ほどにある中節の竹茶杓がもっともよくもちいられ、この形は利休好みといわれる。利休による「中節の茶杓」が生まれてから、この竹茶杓を基準として、利休以後の千家代々の家元をはじめとし、有名な茶人によって茶杓がけずられている。
茶杓は竹筒におさめ、木の栓がある。この筒に作者みずから銘を書きいれ、花押を墨書する。
| VIII. | 水指(みずさし) |
茶室で茶を点てるときに、茶碗をすすぐ水、釜の湯をおぎなうときにもちいる水、湯の煮え加減をととのえるための水など、水をいれて茶室でもちいる器が水指である。水指は各種の材料でつくられる。木の生地をつかうもの、金属や磁器、陶器など種類は多い。
| IX. | 棚物 |
棚は水指、茶入などの道具をかざりつけるのにもちいられる。正式なものは台子(だいす)であり、4本の柱をもつものがもっとも格が高い。そのほかにも、多種の棚がもちいられるが、大棚と小棚の2つに大別できる。
| X. | 建水(けんすい) |
茶を点てる点前(てまえ)のときに、不要の水や湯をすてる器である。これにも金属をはじめ、陶磁器、曲物(まげもの)など種類は多い。
| XI. | 香合・炭道具 |
茶室に客をまねくとなれば、炭をつぎ、香を焚(た)く、いわゆる「炭点前」がおこなわれる。香をいれる香合には焼物、木や塗り物などさまざまな種類がある。
| XII. | 茶筅(ちゃせん) |
抹茶と湯をまぜて、茶を点てるのにもちいる竹製の道具。流儀によって竹の質や穂の形がことなり、表千家では煤竹(すすたけ)のものを、裏千家では白竹のものなどをもちいる。
| XIII. | 懐紙(かいし) |
茶席で客が懐に携帯する紙。菓子を食べるとき、濃茶の飲み口をふくとき、懐石の時などさまざまにもちいる。
| XIV. | 柄杓(ひしゃく) |
釜や水指から湯や水をくむのにもちいる竹製の道具。→ 柄杓
| XV. | 袱紗(ふくさ) |
点前のときに茶器や茶杓をきよめるのにもちいたり、客の道具拝見のときに下にしいてもちいたりする。
| XVI. | 蓋置(ふたおき) |
釜の蓋をのせたり、柄杓をおくための台。竹のものや焼物、金属のものなどさまざまな種類がある。
| XVII. | 茶巾(ちゃきん) |
点前のときに茶碗をふくための麻製のもの。