都市問題
印刷するには、[ファイル] メニューの [印刷] をクリックします。
都市問題
III. 世界の都市問題

世界的にみて現在の都市問題は、先進諸国よりも開発途上国でより深刻である。ここ数十年にわたって開発途上国での人口爆発、都市爆発が指摘されている。第2次、第3次産業が未発達でありながら、第1次産業の分野で合理化が進行したことによって、農村から都市に流入した人々がスラムを形成せざるをえなかった。このようなスラムは日本における山谷や釜ヶ崎(愛隣地区)のように、市街地の一角を占めるスラム街とはことなる。たとえば、ペルーのリマ・カヤオの周辺には、スラム町が数カ所あり、そのおのおのが数万の人口を擁する独立した町で、官憲も簡単にはいりにくい、いわば一種の治外法権地域となっている。こうしたスラム町が貧困、伝染病、犯罪、テロリズムなどの温床になっている。スラム町以外にもインドの路上生活者のように、路上に生まれおち路上で一生をおわる人々が何十万人をかぞえる現実もある。

また、同じ開発途上国とはいっても経済発展が加速している国々では、都市が急激に拡大膨張する例が多くみられる。今や中進国の地位を占める韓国のソウルのように、全人口の4分の1を占める大都市の人口稠密の圧力は想像を絶する。交通問題ひとつとっても、もはや道路は巨大な駐車場といわれるほどである。バンコクや中国の経済成長がいちじるしい沿岸部諸都市にも同じようなことがいえる。12億人の人口をかかえる中国が事実上移動の自由をみとめてからは、これらの先進大都市への移動は激しさをますばかりである。グローバルにみるならば、開発途上国の都市爆発、なかんずく経済発展のいちじるしいアジア、とりわけ東アジアにおける大都市の爆発こそ最大の問題といわなければならない。