検索ビュー 対戦車兵器

この項目内で、特定の言葉で検索するには、[編集] メニューの [このページの検索] をクリックします。

入力した言葉とまったく同じ言葉で検索されます。見つからない場合は、別の言葉で検索してみてください。

対戦車兵器
I. プロローグ

戦車などの装甲戦闘車両(軍用車両)を破壊する兵器の総称。通常兵器にくらべてとくに大きな装甲貫徹力をもつのが特徴で、小は歩兵投擲(とうてき)式(手榴弾)から大は大口径の対戦車砲、ミサイル発射機までをふくむ。通常、歩兵携行(けいこう)式および牽引(けんいん)式のものをさすが、対戦車車両をふくむ場合もある。

II. 種類と弾頭

火砲(大砲)と無誘導の対戦車ロケット、誘導式の対戦車ミサイルに大別され、火砲としては対戦車銃、対戦車砲、無反動砲がある。

装甲を貫徹するために、弾丸の速度、重量に依存するものと、弾丸内の炸薬(さくやく)の爆発力に依存するものがある。現在の主流は、成形炸薬弾とよばれる爆発力に依存する特殊弾頭で、とくに歩兵携行火器、対戦車ミサイルのほとんどがこの弾頭を使用している。これは成形炸薬弾が、弾丸の速度に無関係な貫徹力をもっているため、軽量小型の発射機でもじゅうぶんな威力がえられるためである。

III. 運用

対戦車兵器は通常、歩兵部隊によって運用される。歩兵部隊内には各種の対戦車チームが編成されており、対戦車ロケット、対戦車ミサイルが装備されている。歩兵部隊の対戦車戦闘は積極的なものではなく、受動的、防御的なものである。これは、歩兵部隊の対戦車兵器が以前にくらべてかなりの威力と射程をもつようになったとはいえ、無防備の歩兵が戦車などの装甲戦閾車両よりも圧倒的に不利だからである。

敵戦車攻撃に対してじゅうぶんな準備がおこなえる場合には、対戦車ミサイル、対戦車ロケットを重層的にくみあわせた防御陣地を構築して敵を撃破する。それ以外の場合でも、できうるかぎり遮蔽物(しゃへいぶつ)などを利用して隠蔽(いんぺい)された状態(カムフラージュ)から攻撃することが不可欠である。

IV. 対戦車兵器の歴史

対戦車兵器は戦場に戦車が出現すると同時に出現した。はじめは通常の火砲を水平射撃して、対戦車兵器として使用していたが、やがて歩兵の小銃から発射する徹甲弾が開発された。その後、これらは専用の対戦車砲と対戦車銃へと発展した。

1. 対戦車ロケット

第2次世界大戦で、戦車の装甲防御力が強化されると対戦車兵器の性能も向上していった。だが、対戦車砲は88mm、100mm、128mmと巨大化して非実用的なものになってしまった。また、対戦車銃は口径20mmまでは大型化したが、それ以上の巨大化ができなかったためつくられなくなった。

これにかわって大戦中期以降実用化されたのが、成形炸薬弾を使用した歩兵携行式の対戦車ロケットで、ドイツのパンツァー・ファウスト、アメリカのバズーカ砲が知られている。

2. 対戦車ミサイルの登場

誘導式の対戦車ミサイルは、大戦中のドイツの技術をもとにして、フランス、ソ連などで1950年代に実用化された。ソ連のサガー対戦車ミサイルは73年の第4次中東戦争(中東戦争)で威力を発揮し、戦車無用論が提唱されたこともあった。

しかし最近では、鋼鉄の装甲板にセラミックや樹脂などをくみあわせた複合装甲や爆発物をもちいて成形炸薬弾の威力をそぐリアクティブ装甲などの特殊装甲の採用で、戦車の装甲防御力が向上した。そのため対戦車ミサイルも弾頭威力の向上、タンデム弾頭という二重の特殊弾頭や、トップアタックといわれる戦車上部をねらう方法の採用など強化がすすめられている。

V. 日本の対戦車兵器

太平洋戦争中、旧日本軍はほとんど有効な対戦車兵器を開発することができなかった。対戦車砲は威力不足で、開発も諸外国の水準に達していなかった。歩兵携行の兵器では、ドイツの技術により「タ弾」とよばれる成形炸薬弾が完成していたが、広くは使用されなかった。

戦後、自衛隊では歩兵携行の対戦車兵器としてアメリカ製のバズーカ砲を導入し、その後スウェーデン製のカール・グスタフ無反動砲、ドイツ製のパンツァー・ファウスト3、国産の01式軽対戦車誘導弾を使用している。対戦車ミサイルについては1960年代から国産の64式対戦車誘導弾、79式対舟艇対戦車誘導弾、87式対戦車誘導弾、96式多目的誘導弾システムが開発されており、世界水準の装備が実用化されている。