| 検索ビュー | 固有種 | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
生物種の中で、分布が特定の地域に限定されるものを固有種という。固有種の中には広い分布域をもつものもあるが、その場合でも分布域が1つの大陸をこえない種をいう。
| II. | 成立の要因 |
固有種の割合が高い地域としては、大陸からへだたった島、とくに大陸と一度も陸続きになったことがない海洋島や、地質学的に古い湖、高山、深海などである。それに対して、同じような地理的な特性をもつ地域でも、隔離されていない地域では固有種の割合は低くなる。
| 1. | マダガスカルとマウイ |
大陸からへだたった地域で、高い固有種の割合をしめす顕著な例としては、マダガスカル島の熱帯雨林をあげることができる。ここに生息する28種の霊長類のうち93%は固有種で、144種のカエルの99%、全植物種の88%が固有種である。極端にせまい範囲に分布する固有種には、ハワイ州マウイ島にあるハレアカラ休火山の噴火口にしか成育していないギンケイソウの例がある。
| 2. | 小笠原諸島 |
日本列島においても、高い割合で固有種がみられるのは海洋島である。日本の代表的な海洋島である小笠原諸島では、全高等植物の40%は固有種である。それに対して、かつて大陸と地続きであった琉球諸島では、固有種は13%を占めるにすぎない。
小笠原諸島には、漂流や飛来によって偶然にはこばれた動植物が、長期間隔離された結果、独自の種分化をとげて固有種となった生物が多い。ワダンノキなどの木本性のキクや、鳥類のメグロのような固有種は、その例である。
| III. | 存続の脆弱性 |
小さな生息域や島に生息している固有種は、人為的な環境変化にさらされたり、帰化種などによって、生息地の生態系の微妙なバランスがくずされると、容易にその個体数を減少させ、絶滅してしまう可能性が高い。
現在、ハワイ島では、固有種の40%が絶滅の恐れがあり、固有生物の宝庫であるガラパゴス島などでも固有種の約60%が絶滅の危機に直面している。日本の小笠原諸島でも固有の高等植物の56%が絶滅の危機にある。
固有種は生物進化や適応などの学問上の重要な課題を解決するうえでも、きわめて貴重である。これらの固有種を保護し、その生息地である生態系の安定性をこわさないための保全策が早急にもとめられている。→ 保全生物学
→ 絶滅の渦